「膵臓」が燃え尽きる〜糖尿病になっていくプロセス〜
いつも「食後の血糖値変化シリーズ」をお読みいただき、ありがとうございます。
これまで、様々な食品で血糖値の変化をデータとともに記事にしてきました。
そういえば、糖尿病に関する記事を書いてなかったなぁということで今回のテーマを書きました。
さて、血糖値が高い状態を放置し続けるとどうなるのか?
その行き着く先は「糖尿病」です。
糖尿病はある日突然かかる病気ではありません。
不健康な生活を積み重ねた結果、体のエネルギー工場が少しずつ機能しなくなって起こります。
「健康診断で血糖値の数値が悪かったけど、別になんともないし、まだ大丈夫でしょ。」
もし今、少しでもそんな風に思っているのであれば、その認識はかなり危険です。
僕は過去に、看護師として病棟や手術室で勤務していました。
現場では「まだ大丈夫でしょ」と油断した先にある、過酷な結末をたくさん見てきました。
今回は血糖値を高いまま放置しておくと起こる糖尿病について、「膵臓が燃え尽きるまでの4つのステージ」に分けて解説します。
糖尿病には色々種類がありますが、ここでの糖尿病は2型糖尿病についての解説になります。
ステージ①:細胞工場へのスムーズな「糖」の納品
まずは正常な状態を解説します。
私たちの体にある約37兆個の細胞は、毎日24時間動き続ける「エネルギー生産工場」でもあります。
食事をして取り込まれた糖は、血液という道路を通って、全身の細胞へ運ばれていきます。
しかし、糖はそのままでは細胞の中に入れません。
細胞の壁には、普段はガッチリと閉まっている「シャッター(糖の取り込み口)」があるからです。
ここで登場するのが、膵臓から派遣される『インスリン』という、鍵を持った配達員です。
配達員がシャッターの鍵穴に鍵を差し込むことでシャッターが開き、糖が工場内へ納品されます。
そして細胞内にある『ミトコンドリア』が糖を燃料にしてエネルギーを作り出します。
『スムーズなエネルギー納品』まとめ
『糖を積んだトラック』が血液の道路を通って工場へ到着
↓
『インスリン配達員』がやってきて、細胞の鍵穴にカチャッと鍵を差し込む
↓
『細胞のシャッター』が開き、糖を工場内へ納品
↓
細胞内の『ミトコンドリア』がそれを燃料にして、『エネルギー(ATP)』を生産
このエネルギー(ATP)が絶えず生産・消費されることで、私たちは生きています。
ステージ②:鍵穴がバカになる(インスリン抵抗性の発生)
ところが、毎日のように糖質を過剰に摂取したり、活動不足などが続くと、この平穏が壊れていきます。
1日を通して大量のトラック(糖)がひっきりなしに押し寄せ、インスリン配達員も休む暇なく鍵をガチャガチャと回し続けた結果……
ついに、鍵穴がバカになって、シャッターが開きにくくなります。
これを「インスリン抵抗性」と呼びます。
こうなると、シャッターがスムーズに開かなくなるため、道路(血液)には少しずつトラック(糖)が溢れてきます。
ステージ③:膵臓の「ブラック環境化」(インスリン過剰分泌の連続)
道路が大渋滞しているのを知った脳は、インスリンの派遣元である膵臓に激怒して命令します。
「おい!まだ道路に糖がたくさん溢れてるぞ!これではエネルギーを作れない!配達員(インスリン)が足りないんだ、もっと大量に投入しろ!」
ここから、膵臓の労働環境がブラック化していきます。
膵臓は自分の細胞の悲鳴を無視して、大量のインスリン分泌をぶっ続けで行うようになります。
ステージ④:膵臓が燃え尽きてダウン(インスリン分泌能力の低下)
こんなブラック労働が、何年も、何十年も続くわけがありません。
限界まで働かされ続けた膵臓はボロボロです。
ある日突然、糸が切れたように、「もう1歩も動けません…」と燃え尽き、インスリンを分泌する能力がガクンと低下してしまいます。
これが、本格的な『2型糖尿病』が完成した瞬間です。
目の前には大量の糖が溢れているのに、工場(細胞)の中に糖が届かないため、細胞は材料不足で悲鳴を上げます。
ATPの生産停止は『死』を意味しますから、どうにかして材料を確保します。
その結果、脂肪や筋肉をガンガン分解して材料を確保、無理矢理エネルギーを作り出そうとします。
糖尿病が重症化すると、食べていても体重が減少するのはこのためです。
体重が減ったからと喜んでいる場合ではないのです。
体内では代謝機能が確実に壊れています。

インスリンが正常に機能していれば、画像のように大きく血糖値が上がったとしても時間をかけて正常値まで戻してくれます。
せっせと細胞に糖を納品してるんですね。
糖尿病になると、平常時の血糖値が高い所に、食事で糖が送り込まれて、血糖値はさらに上がります。
『膵臓が燃え尽きるまで』まとめ
糖質の過剰摂取による、血糖値上昇が繰り返される
↓
細胞の鍵穴がバカになる(インスリン抵抗性の発生)
↓
膵臓が無理してインスリンを大量増産(労働環境のブラック化)
↓
長年の過労で、膵臓が燃え尽きてダウン(分泌能力の大幅な低下・消失)
↓
インスリンが全く足りなくなり、血糖コントロールが悪化して2型糖尿病へ
終わりに
いかがでしたか?
2型糖尿病は、ある日突然なるものではなく、
『膵臓がブラック労働の末に過労死していくプロセス』そのものです。
血糖値が高いだけでは、自覚症状がないというのがかなり厄介なんですよね。
膵臓全体で見ても、
『インスリンを分泌できる細胞はごく僅かしかなく、分泌できる量も有限』
であると言われています。
膵臓を働かせ過ぎてはいけない理由はここにあります。
そして、膵臓が完全に燃え尽きてインスリン量が全く足りなくなると、外から注射でインスリンを補うしかなくなります。
命に関わるからです。
さらに、血液中に放置された大量の糖は、24時間365日、全身の血管や神経をじわじわと破壊していきます。
次回以降は、糖尿病を放置して起こる恐ろしい『三大合併症(しめじ)』について書いていこうと思います。
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