見出し画像

悪夢の始まり!!アウトオブコントロール【#8家にまつわるストーリー】

2020年は長年の夫の夢実現の年になるはずだったのに突然の癌宣告、新型コロナウィルスによるロックダウンへの突入と……これまでに想像すらできなかったことが次々と起こってきました。

⬇こちらからの続きです。

とはいえ、夢を語るなら「命あっての物種」ですから、まず何よりも夫の治療に専念し、少しでも寿命を延ばすことが先決です。

ERで宣告を受け、不安の交錯するなかまずは次男の家に到着しました。娘夫婦ともそこで落ち合い、事情を説明。子どもたちにとっても、“寝耳に水”の父親、いや家族の窮地でした。とりあえず、土地勘のある次男夫婦に運転を変わってもらい、紹介された病院へ急ぎました。

病院封鎖が始まるとニュースで聞いてはいましたが、病院の駐車場にはポリスの車が何台も停まっていて物々しい雰囲気です。大きな病院ですが、出入り口は全て封鎖されており、救急専用の入り口もポリス数人がブロックしています。

この異様な雰囲気だけでも、自分たちが映画の中にでもいるような妙な感覚でした。これが幻であり、現実じゃないならどんなにうれしいことか……。

入り口で患者以外の付添いは1人のみと言われ、次男夫婦は門前払いとなりました。紹介状を見せ4階の病棟に着いたときには深夜2時をまわっていました。案内された病室には、簡易ベッドがあったのでそこでわたしは泊まれそうです。

この日ほど1日が長いと感じたことはありませんでした。心身ともにクタクタです。隣で夫が苦しそうに横たわっているのを見ると、わたしの中に張り詰めている糸を絶対に切るわけにはいかないと思えてきます。

感じのいいナースが様子を見に来て「たいへんな1日だったと思うけど、とにかくふたりともゆっくりお休みなさいね」と穏やかな笑顔対応です。さすがプロだなと感じつつ、ほんとにそのとおりだと思いました。

ここでわたしまで倒れてしまうわけにはいかないのですから。

土曜、日曜と検査が続き、とりあえず月曜に開腹手術となりました。病室のテレビでは新型コロナに関するニュースが続いています。報道によると医療施設では、クリニックは封鎖、病院も一般外来は受け付け中止とどんどん深刻な事態に進んでいます。

この調子だと明日からこの病院も閉めますとか言い出しかねません。夫の手術はちゃんとできるのだろうか?などといろいろと不安になります。そんな心配がマックスになっているところに案の定、ナースから残念な連絡が入りました。

「とってもお気の毒なのですが、今夜から付き添いの方はここに居られません。夜の9時には病院を出て下さい。ただ、手術は明日の予定なので、あなたについては今交渉していますからミーティングが終わったらすぐに報告しますね」

とのことだった。

ところが、しばらくすると

「ごめんなさい。これは病院のルールではなく法令なので例外は認められませんでした」

とのことで、わたしも追い出されてしまいました。

なんなんでしょう!!この地獄!

突然癌宣告を受けてその日に自宅から150kmも離れた病院に夜中に入院してきました。検査の結果を聞いても希望が持てる結果ではないうえ、苦しむ夫の横に付き添うことも認められません。次から次へと最悪の方向にことが進んでいる気がしてきました。

ふたりとも現実を受け止めるだけで身も心もズタズタだというのに、自分の体からどんどん力が抜けていくことを実感していました。ただでさえ、キャパシティオーバーなことが起こっているというのに、こうしたやりとりでさらに気をもみ、心が疲弊していきます。

結局、手術患者の身内1人だけ、手術中に限り院内待機を認められました。そりゃあ、そうでしょう。万が一のことがあっても麻酔の効いてる本人の意思確認がとれないのですから、家族がいなければ困ることも起こりえます。

突然、父親の癌を知らされ驚いてデトロイトからすっ飛んで来た末息子も、娘夫婦の家で待機中です。たった10分の距離にいるというのに病院に来ることも許されませんでした。しかたなく、家族全員がバーチャルで繋がれるようにと、夫のラップトップをセットアップし、病室と結びました。手術前のドクターとのやり取りも家族全員がビデオ通話で参加できるようにし意見交換しながら手術を乗り越えました。

ここでは、家にまつわるストーリーなので後の闘病に関する詳細は省略しますがこの先も、コロナ禍突入+闘病開始+新築工事進行中……とまさに、あれこれそれが同時進行する悪戦苦闘の日々で時間が過ぎていくことになります。

とりあえず、州の法令によるロックダウンを受けて、家の工事も5月まで中断となりました。

もっともこの時点では夫の命のほうが大切であり、とても家どころではなかったので、工事中断は1つ考えることが減ったという意味では助かりました。

ただ、当初の契約では夏前に完成するはずの家が、夏前には無理となりました。一刻も早く完成させて、夫をこの家で寝かせてやらねばならないのに……。

画像1

【この状態でロックダウンに突入です】

【#9家にまつわるストーリー】に続く








いいなと思ったら応援しよう!

yahoi /ライフエディター・エッセイスト 🌺 共感、応援いただけたならうれしいです。 感謝の気持ちは次のどなたかに恩送りします。