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血圧の薬の種類と違い|5つの薬を徹底比較

高血圧の治療薬にはARB・ACE阻害薬・カルシウム拮抗薬・サイアザイド系利尿薬・β遮断薬の5クラスがある。それぞれの仕組み・副作用・使い分けを知ることで、自分が飲んでいる薬への理解が深まります。


はじめに

「血圧の薬をずっと飲み続けなければいけないの?」「いくつも種類があってどう違うのかわからない」—高血圧と診断された多くの方がこうした疑問を持つ。日本高血圧学会が2025年に発刊した最新ガイドライン(JSH2025)では、降圧薬は複数のクラスが存在し、患者の合併症・生活習慣・体質に応じて選択されることが明示されています[^1]。


ARBとACE阻害薬:腎臓・心臓を守る第一選択薬

ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)とACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)は、いずれも血圧上昇に関与するレニン-アンジオテンシン系を遮断する薬だ。腎臓の保護効果や心不全・心筋梗塞後の改善効果が臨床試験で示されており、糖尿病や慢性腎臓病を合併する高血圧患者では特に推奨されます[^1]。

ACE阻害薬の代表的な副作用は空咳で、日本人を含むアジア人では発生率が高いとされており、咳が続く場合は医師・薬剤師に相談し、ARBへの切り替えを検討することになります。

22の臨床試験・143,153人を対象とした大規模なネットワークメタアナリシス(Lancet誌)によれば、新規糖尿病の発症リスクをサイアザイド系利尿薬を基準(1.0)として比較すると、ARBが0.57倍、ACE阻害薬が0.67倍と、いずれも有意に低いことが示されています[^2]。糖尿病予備群を抱える高血圧患者にとって、薬の選択が長期的なリスクに影響する。


カルシウム拮抗薬:日本で最も処方される降圧薬

カルシウム拮抗薬(CCB)は、血管平滑筋のカルシウムチャネルを遮断することで血管を拡張し、血圧を下げる。降圧効果が安定しており、腎機能・肝機能への制限が少ないため、日本で最も広く処方されるクラスの一つとなっています[^1]。

代表的な副作用は顔のほてり・動悸・足首のむくみで、いずれも血管拡張作用によるものだ。服用開始直後に現れることが多く、徐々に軽減するケースが多い。症状が持続したり生活に支障をきたしたりする場合は、医師に相談を。


サイアザイド系利尿薬:塩分排泄で血圧を下げる

サイアザイド系利尿薬は、腎臓の尿細管に作用して塩分・水分の排泄を促し、循環血液量を減らすことで血圧を下げる。JSH2025では第一選択薬の一つに位置づけられており、他の降圧薬との組み合わせで相加的な効果を発揮する[^1]。

一方で、高用量の使用では血清尿酸値の上昇(高尿酸血症)・低カリウム血症・血糖値や血中脂質への影響が報告されている[^3]。痛風の既往がある患者や糖尿病患者では使用に注意が必要で、定期的な血液検査を欠かさないことが重要です。医師・薬剤師と連携しながら継続することを勧めます。


β遮断薬:心拍数を落として血圧を下げる

β遮断薬は、交感神経のβ受容体をブロックすることで心拍数・心収縮力を低下させ、血圧を下げる。心筋梗塞後や慢性心不全、頻脈性不整脈を合併する高血圧患者では特に有用で、これらの合併症がある場合は積極的に選択されています[^1]。

主な副作用は徐脈(脈が遅くなる)・倦怠感・四肢の冷感で、気管支を収縮させる作用もあるため、気管支喘息患者では原則禁忌とされる。COPD患者では病状や薬剤の種類によっては使用可能な場合もあるが、慎重な投与が必要である。また、インスリン分泌を抑制するため糖尿病患者では低血糖症状をマスクする可能性があり注意が必要です。

JSH2025では、合併症のない高血圧に対してβ遮断薬は他の4クラスに比べて位置づけが補完的となっている一方、心不全・頻脈・狭心症を併発するケースでは第一選択の一つとして推奨される[^1]。自己判断で急に服薬をやめると反跳性の血圧上昇・狭心症悪化を招く恐れがあるため、減量・中止は必ず医師の指示に従うことが重要です。


血圧の目標値と治療ステップ(JSH2025)

JSH2025の最大の改訂点は、従来は年齢・合併症別に設定されていた降圧目標が、原則として全年齢一律で「収縮期血圧130 / 拡張期血圧80 mmHg未満」に統一されたことだ[^1]。

治療の標準的なステップは以下の通り:

  1. ステップ1:ARB/ACE阻害薬・CCB・サイアザイド系利尿薬のいずれか1剤で開始する

  2. ステップ2:目標に達しない場合、速やかに2〜3剤の組み合わせへ移行する

391件のRCTを統合したネットワークメタアナリシス(British Journal of Sports Medicine誌)では、主要な降圧薬クラスはすべて収縮期血圧を有意に低下させることが確認されており[^4]、どのクラスも一定の有効性を持つ。薬の選択は合併症や副作用の有無によって個別に判断されるため、医師・薬剤師に相談しながら決めることが大切です。


まとめ

降圧薬は同じ「血圧を下げる薬」でも、作用機序・副作用・向いている合併症がクラスごとに大きく異なる。服薬中に疑問や副作用の懸念が生じたときは自己判断で中断・変更せず、必ず医師・薬剤師に相談してほしい。


参考文献

[^1]: 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」https://www.jpnsh.jp/guideline.html, 2025年
[^2]: Elliott WJ, Meyer PM. "Incident diabetes in clinical trials of antihypertensive drugs: a network meta-analysis." Lancet, 2007;369(9557):201-7. DOI: 10.1016/S0140-6736(07)60108-1(PubMed PMID: 17240286)
[^3]: 浜田紀宏「合併症のある高血圧の治療:高尿酸血症」日本内科学会雑誌 第100巻 第2号, 2011年. https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/2/100_406/_pdf
[^4]: Naci H, et al. "How does exercise treatment compare with antihypertensive medications? A network meta-analysis of 391 randomised controlled trials." British Journal of Sports Medicine, 2019;53(14):859-869. DOI: 10.1136/bjsports-2018-099921(PubMed PMID: 30563873)


この記事は公開情報をもとに、医薬品の専門的知識を持つ執筆者が解説したものです。個別の医療判断については必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
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