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突然の退職。「薬局の目指す方向についていけません」~12社目の転職組が去った日、残された職員はなぜ少しだけホッとしたのか~

はじめに:12社目の退職

全国の薬剤師、そしてスタッフからの「少しお時間よろしいでしょうか」という言葉に、毎回心臓をすり減らしている薬局経営者・管理者の皆様、今日もお疲れ様です。歌舞伎薬剤部長です。
突然のことでした。
「退職したいです」
理由を聞くと、彼はこう答えました。
「この薬局が目指している方向についていけません」
履歴書を見れば、今回で12社目の転職です。
「またか……」
正直、最初はそう思いました。何度も環境を変え、その度に辞めていく。それは本人に問題があるのだろう、と。
でも、少し立ち止まって考えてみます。
本当に「また辞めた人が悪い」で終わらせていいのだろうか、と。
そしてもう一つ、私たちが目を背けてはいけない残酷な真実があります。
その人が退職すると知ったとき、残された職員の間に**「少しホッとした」という安堵の感情**が広まることがあるのです。
これは、冷たいことなのでしょうか。
今日は、退職という出来事から見えてくる「組織のミスマッチ」と「残された人の心」について深く考えます。

① 「ついていけない」は、能力不足ではない

薬局には、それぞれ経営者が掲げる「目指す方向」があります。
地域医療に根ざしたい、在宅医療を極めたい、対人業務にシフトしたい、DXで生産性を高めたい、収益性を徹底したい。
しかし、現場の職員からすると「私はそこを目指したいわけではない(ただ淡々と処方箋を捌きたい)」ということも往々にしてあります。
これは、どちらが正しくてどちらが間違っているという話ではありません。能力不足でもありません。単に**「進みたい方向が違った」**というだけなのです。

② 12社目という数字が突きつけるもの

「12社目の退職」。これは確かに、本人に「忍耐力」や「適応力」の課題がある可能性を示しています。
一方で、「12回も環境を変えなければ、自分に合う場所を見つけられなかった」とも考えられます。
ここで問われるべきは、本人ではありません。採用した「会社側」です。
「なぜ、私たちはこの人を採用したのか?」
面接時に、価値観、仕事観、キャリア観、そして組織への期待値をどこまですり合わせできていたでしょうか。
採用とは、能力のマッチングではありません。「価値観のマッチング」なのです。

③ 「辞めたい人」を無理に引き止めるべきか

人手不足の昨今、退職の申し出を受けると、管理者はつい「もう少し頑張ってみない?」「配置を変えるから」と引き止めたくなります。
でも、本人の向かいたい方向と、組織の向かう方向が完全にズレているのなら、引き止めることが本当に双方の利益になるのでしょうか。
無理に引き止めれば、本人はモチベーションを失い、会社は不満を抱え、周囲のスタッフは気遣いで疲弊します。
時には、お互いの未来のために「気持ちよく送り出すこと」も、管理者の重要な仕事なのです。

④ 【神業事務さんの金言】残された職員に起きる「感情の解放」

ここで、退職の手続きを滞りなく進めながら、現場の空気がフッと軽くなった瞬間を絶対に見逃さない、豪華絢爛な『十二単』を身に纏う神業医療事務さんが、衣擦れの音を響かせて進み出ました。彼女は静かに、誰も口に出せない感情の正体を突きます。
「部長。退職が決まった時、残された職員が『あの人がいなくなるなら、少し働きやすくなる』とホッとする。そして直後に『そんなことを思ってはいけない』と罪悪感に苛まれる。このジレンマにこそ、組織の真実が隠されています。
管理者は、その安堵の感情を否定してはいけません。むしろ、**『なぜ、その人が去ることで現場は安心したのか』**を考えなさい。そこに、職場がずっと抱えていた『見えない問題』の答えがあるのですから」

⑤ 組織の問題を「個人のせい」にしてはいけない

退職者が連続すると、経営者は「あの人は何度も転職しているから」「最近の若い薬剤師は根性がないから」と、個人のせいにして片付けようとします。
もちろん、本人側の問題もあるでしょう。
しかし、組織側(採用基準、教育体制、理念の浸透度、人間関係)の問題を検証しないまま個人のせいにして終わらせれば、必ず次の人も辞めます。
退職を単なる「損失」として終わらせるか、組織を改善するための「データ(フィードバック)」として活かせるか。ここが分かれ道です。

⑥ 採用で見るべきは「何ができるか」だけではない

「事務殿の言う通りッ!!」
ここで、条件面だけが羅列された求人票を真っ二つに引き裂き、歌舞伎薬剤部長がバシッと扇子を開いて見得(Mie pose)を切ります。
「いよぉぉッ!!
面接で『何ができますか?』とスキルを聞くだけでは足りぬ!
『あなたはどんな薬剤師になりたいですか?』と問え! そして会社側も『うちはこういう価値観を大切にしている!』と正直にぶつけろ!
そこで合わなければ、勇気を持って採用を見送るのだ! それは冷たいからではない! お互いが不幸にならないための、最大の誠意なのだァァッ!!」

⑦ 管理者が最後に考えるべきこと

退職者を送り出したあと。
管理者が本当に見るべきなのは、去っていく人の背中だけではありません。
**「残った職員の顔」**です。
「また人が減って大変だったね」ではなく、「今、職場はどう感じる? 無理していないか?」と深く聞いてみてください。
もしかすると、そこに次の退職を防ぐ最大のヒントが隠されているはずです。

おわりに:残った人たちの心の中へ

人が辞める。
経営者にとっては痛手であり、残った職員にとっても業務負担が増える。だから、退職はできるだけゼロにしたいと誰もが願います。
でも、目指す方向が違う人を、無理やり同じ船に乗せ、同じ方向を向かせる。
それは、本人にとっても、組織にとっても、決して幸せなことではありません。
「ついていけません」と去っていく人がいる。
それは、その人の堪え性がなかったからなのかもしれません。
でも同時に、**「私たちは、本当に同じ方向を向いていたのか?」**と組織自身に問いかける、貴重な機会でもあります。
そして、その退職を知って「少しホッとした」と感じた職員がそこにいるのなら――。
管理者が本当に向き合うべき問題は、辞めた人の理由ではなく、
残った人たちの心の中にあった、「見えない我慢」なのかもしれない。

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歌舞伎薬剤部長 いよぉ〜っ!地方医療法人・薬局のリアルを叫ぶ46歳薬剤部長に、温かいご支援をお願いいたしまする!皆様からの「おひねり」は、日々の激務と戦うための活力源として、ありがたく頂戴いたします。これからも現場のリアルを熱くお届けしますぞ!いざ!