だれのしわざ?
エゾノツガザクラの花びらが切り取られ、中身が丸見えになっています。
さて、誰の仕業でしょう?ヒントは大雪山の頂上付近でも見かけるかわいい動物です。
プロローグ
大雪山の広尾根は花畑。夢中で撮っているときに、花びらが鋭く切り取られ、中身が丸見えになっているエゾノツガザクラがありました。あたり見るとちらほら見かけます。

ずっと誰の仕業だろうと思っていましたが、謎が解けました!
01 8月の花園
8月にもなると頂上付近のチングルマは穂が目立つ季節ですが、雪渓のそばは春を迎えています。エゾノツガザクラやチングルマが競うように咲いています。

その花園に飛び込んできたのはエゾシマリス。エゾノツガザクラの花に一直線。花の前で止まり、鼻をヒクヒクさせています。

体勢を整えて花を両手で持ちもぐもぐしています。とっても優しい手つきで花を押さえ、花びらをかじっています。
謎が解けました!
エゾシマリスの仕業だったのです。木の実が少ないこの季節、壺状の花の中にある蜜は貴重な食べ物なのでしょう。

辺りを見ると花びらがきれいに切り取られ、中身が丸見えになっているエゾノツガザクラの花があちこちにあります。
02 新たな謎
エゾノツガザクラの花びらを切り取る犯人はわかりましたが、どうして、こんな手の込んだ食べ方(飲み方)をするのでしょう。
花ごともいで蜜を吸えば簡単にたくさん飲めるように思いますが、一つ一つ優しく両手に掴み、時間をかけて花びらの一部を切り取っています。木の実を瞬時にかみ砕くほどの顎をもつ彼らにとって花をもぐのはたやすいはずなのに。
下山後、3日ぶりのお風呂(温泉)に浸っているときにふと思ったのは、「花を残しておけば食料になる種が秋に実ることを知っているのでは」。
ほんとうにそうかはわかりませんが私の中では腑に落ちました。
エゾノツガザクラにとっては災難と思っていましたが、エゾシマリスに受粉をしてもらっているのかもしれないと思うと自然の尊さを思わずにはいられません。
03 さらなる謎
6月にキバナシャクナゲを頬張るエゾシマリスに出会ったことを思い出しました。一輪取ってはくわえて、蜜を吸っていました。すべての花を堪能すると素早い動きで斜面を下っていきました。

エゾノツガザクラは花をもがずにキバナシャクナゲはもいでいます。「キバナシャクナゲは早ければ7月下旬には種が実るのにどうしてだろう?」
キバナシャクナゲを調べてみました。明確な答えは見つかりませんでした。ただ、シャクナゲは種はもとより葉も茎も花も有毒成分を含んでいるとのこと。
彼らは、種が食べられないことを知っており、花ごともいでいたとしたら合理的ですね。蜜を吸っていたこと自体が心配ですが、オオマルハナバチも花に集まっていたので蜜には毒はないのかもしれないですね。
04 食べもの
エゾシマリスの食料は、木の実や草の種だと思っていましたが、今回の謎解き(?)を機に調べたところ木の実や種が少ない夏は花の蜜を吸うようです。その他にもキノコや昆虫、小鳥の卵など意外にも雑食でした。
高台で虫を咥えたまま、鋭いまなざしであたりを伺っていたノゴマがエゾシマリスを見つけると体当たりして追い出している場面に出会ったことがあります。その時は雑食ということを知らなかったので不思議に思っていましたが、子育て中の小鳥たちにとっては、天敵だったのですね。

エピローグ
タイトルは、『エゾシマリスの教え-花も実も-』にしていましたが、はじめに答えをいうのも面白くないと思って変えてみました。
エゾシマリスが教えてくれたのは、
その場限りの利にとらわれない
互いに助け合ってともに繁栄する
ほんとうのところをエゾシマリスとエゾノツガザクラに聞いてみたいですね!
