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時給1万円のアルバイト その3 捜索

大きな警察署。
そこに拓はいた。取調室。ドラマでしか見たことのないような場所。
イスと机があり、少し離れたところにテレビが置いてある。
拓は椅子に座っていた。前には岡野と島崎が立っている。
「だから!何のことか?」
島崎「しらばっくれんな!」
バン!机を叩く島崎。取調室でこんなことを本当にやっているんだ…そんなこと考える余裕もなかった。
崎「お前が石橋響を殺したのはわかってんだ!」
「だから!俺はやってない!第一なんで俺響さんを殺すんだよ!」
島崎「お前が口論してたのを近所の人が聞いてんだよ」
口論していた?

「うるさいなぁ!」

たしかに石橋と拓はもめている時もあった。しかし、それは圭子の事で悩んでいただけで…
「いや、それはたまたまだよ」
島崎「それに証拠だってある」
「証拠?」
島崎「そうだ」
そういうと島崎は机の引き出しを開けた。中にはナイフが入っている。
島崎「これは殺人に使った凶器だ。これにお前の指紋がべっとりついている」
「なんだって?」
島崎「それだけじゃないぞ。現場にはこれまたお前の指紋がついた本とクッキーのゴミもあった」
「本とゴミ?」
島崎「それに、お前の服のそのシミはなんだ?」
「え?これは……わからない」
島崎「それは返り血だよ」
「え?」
島崎「洗濯しても完全には落ちなかったようだな」
「そんな」
島崎「それに、監視カメラにも犯行の様子がきっちり写っている」
「なんだって!?」
島崎はリモコンのスイッチを押した。

テレビでは拓がナイフを持って男に迫っている様子が映っていた。
拓の声「ぶっ殺してやる!ぶっ殺してやる!」
拓はそう言いながら男に迫っていた。そこで映像が止まる。

「なんだ?これ」
島崎「この後犯行に及んだ。違うか?」
「違う!これは何かの間違いだ!」
島崎は机から小さなカセットプレイヤーを取り出した。
島崎「それに、被害者との電話の会話もあるぞ」
そういうとスイッチを押した。そこから石橋と拓の声が聞こえてくる。
石橋の声「お前から母さんと取った訳じゃないんだ」
拓の声「かえせ!かえせ!」
石橋の声「わかってくれよ」
拓の声「うるせえ!」
石橋の声「母さんの手術代はなんとかするから」
拓の声「金ならいらねえんだよ!今すぐこっちこい!」
スイッチを押す島崎。
島崎「この通り、動機、証拠、すべて揃ってんだよ」
拓には心当たりのないことばかりだ。
島崎「もう言い逃れ出来ないな」
「違う!俺は一ヶ月監禁されてたんだ!」
ふと部屋のカレンダーが目に入った。カレンダーは7月になっている。
「7月?どういう事だ?今5月じゃないのか!?」
島崎「何寝ぼけた事言ってるんだ」
拓はカレンダーの近くにいき壁を叩く。
島崎「今は7月だろ!」
「そんな……あ、そうだ!」
拓はポケットからスマートフォンを取り出す。しかしボタンを押すが反応がなかった。
「おい、携帯貸してくれ!あの会社に電話すれば……」
岡野がポケットからスマートフォンを取り出し拓に投げる。岡野から受け取るり、自分のスマートフォンを見ながらボタンを押す。
電話の声「おかけになった電話番号は現在使われておりません」
「そんな……」
拓は力なくだらんと腕が下がる。
島崎「もう逃げ道はないな」
「俺は知らない、やってないんだ!」
島崎「往生際が悪いぞ!こんなに証拠が揃ってるんだぞ」
「それは……」
部屋に警察官が2人入ってきた。
島崎「もう観念しろ」

警察官2人に両腕を掴まれ歩いている拓。
警察官「とりあえずは留置場だな」
警察官が喋っているのを横目に拓の向かいには入口が見えた。
「俺はやってないんだ」
警察官「いつまで言ってるんだ。まったく」
「本当だ!信じてくれ!」
警察官「もういい。おとなしくしてろ」
「くそー!」
拓は思いっきり警察官を振りほどき入口に走った。警察官は思いっきり倒れてしまう。
警察官「待て!」
警察官は拓を追いかけていった。


走って逃げている拓。
「いったいなんだったんだ、あの仕事は……」
道を曲がる拓。走りながら後ろを見る。警察官の姿はない。だんだんゆっくりになり立ち止まった。
息を切らしている。顔を上げ、辺りを見回すと親子ずれが歩いている。母親の方が拓に気付く。子供の顔をふさぎ足早に去っていく。
「いったい、何がどうなってんだよ」
汗で濡れた頭を掻く拓。すれ違う人々が横目で拓を見ている。
警察官の声「いたぞー!」
声の方を見ると、警察官が数人追いかけてくる。
「んだよ!」

必死で逃げている。急に立ち止まる。ふと目を上げると、そこには貴が立っていた。
「はぁはぁ……兄貴」
「……拓」
警察官の声「待てー!」
走り始めようとする拓の腕を貴は取った。
「兄貴!?」
「乗れ!」
止めてある車に乗る2人。

運転席に貴、後ろ席で隠れるように拓は乗っている。
外で警察官が走っていくにが見えた。
「もう大丈夫だ」
警察官がいなくなったのを確認し、ゆっくり拓は体を起こした。
「兄貴……ありがとう」
エンジンをかける貴。車が動き出した。

「久しぶりだな」
「兄貴!俺は」
「わかってる」
「兄貴……」
「すまん、ちょっと寄るとこがあるんだ」
「あ、あぁ」

ビルがあり「ゴールドジム」と書かれた看板がある。
中から山下鈴が出てきて車に近づく。車のドアを開け中に入る鈴。ドアが開き助手席に鈴が入ってくる。
「ふ~疲れた~……え!?」
鈴は拓に気付いた。
「え?アナタもしかして……」
「大丈夫だ」
貴は鈴を見て話した。
「俺の弟だ」
「え?貴の?」
そういうと貴は車を出した。社内でも鈴は拓の方を見ている。

「ねえ?どういうこと?」
「こいつはやってない」
「だってニュースで見たよ」
「俺はやってない!」
「拓、いったい何があった?」
貴はバックミラー越しに拓を見ている。
「兄貴、実は……変なバイトをして。一ヶ月監禁されたんだ。それで……バイトが終わって外に出たら、このザマだ」
「とにかく、家に来い」

木村家。そこは貴の家だ。大きな豪邸。駐車場に車が止まる。

家の中には大きなソファとテーブルがあり、拓と貴が座っている。
拓は着替えて、着ていた服は畳んで袋に入れて部屋の端に置いてある。
奥から鈴がお茶を持ってくる。
「その一ヶ月監禁するバイトってなんなの?」
そういうと鈴はテーブルにお茶を置いた。拓はお茶を一気に飲んで、大きく息を吐いた。
「俺もよくわかんないんです。とりあえず、なんかの実験らしくて」
「実験?」
「そこで一ヶ月過ごして、残りの二ヶ月は、記憶にないんだ」
「う~ん。どうなってんだ」
「くそ!いったい今後、どうすりゃいいんだ」
拓は頭を抱えるしかなかった。
「心配するな。俺がかくまってやるから」
「兄貴……ゴメンな、迷惑かけて」
「迷惑なんて思ってねえよ」
拓は部屋を見回した。
「にして、この家に来るのもいつ振りだろ」
「さぁな?母さんと父さんが離婚して……あ、そういや母さんは?元気してる?」
母さん…その言葉にハッとする拓。
「そうだ!母さんだ!」
「母さんがどうかしたのか?」
「実は……」

拓は病院での一連の話を貴に話した。

「なんだって!なんでもっと早く俺に言ってくれなんだ!」
「いや、先生にいわれて。母さんも本当の事、知らないんだ」
「そか・・・・・・そうだよな」
別に貴に黙っていた訳ではなかった。拓自身も五十嵐に言われ、どうしたらいいのかわからなかっただけだったのだ。
「とりあえず母さんに連絡だ。家の番号は?」
「うん、えっと……」
貴は電話のボタンを押した。

圭子はイスに座り、テーブルに倒れるように泣いていた。
玄関のドアが開き、拓が入ってきた。
圭子「拓!あんた……」
「母さん!俺はやってない!」
圭子「拓!拓!」
「母さん」
圭子「あなたが人を殺す事なんてする訳ないじゃない」
そういうと圭子は拓を見つめた。
圭子「母さんは信じてるから」
「母さん」
貴と鈴が入ってくる。
「母さん、久しぶり」
圭子「貴……本当に貴なの?」
「母さん、もしかして忘れたの?」
圭子「忘れる訳ないじゃない」
貴の両肩に手を置き、笑顔で顔をマジマジと見る圭子。
「母さん、どうしたの?」
圭子「いや、なんか懐かしくて」
「そか……あ、そうだ。今の俺の彼女」
鈴は圭子に会釈をした。
「ゴメン母さん。心配かけて」
圭子「本当よ。急に一ヶ月帰らないって連絡があって……それで三ヶ月連絡取れないくて。それに……」
「俺もよくわからないんだ。いったいどうなってるのか」
「それより母さん。体、大丈夫なのか?」
圭子「体?あぁ、胃潰瘍ね」
「え?」
貴は拓を見た。
「そうそう、胃潰瘍。大丈夫?」
「あーそうそう。大丈夫?」
圭子「うん、今のとこは。薬が効いてるみたい」

その時、ドアをノックする音が聞こえた。外から声が聞こえてくる。
警察官の声「あの?石橋さん。警察ですが」
全員ハッとした。
「警察!?」
「おい、拓。奥へ隠れてろ」
「あ、あぁ」
拓は部屋の奥に隠れた。
警察官の声「石橋さん!開けてもらえますか?」
警察官はドンドンとドアを叩いてくる。
拓が奥に行ったのを確認してドアを開ける圭子。
ドアを開けると外に警察官が2人立っていた。
警察官「どうも。ここに石橋拓容疑者がいると連絡があったのですが」
圭子「さ、さぁ?知らないわ」
警察官「奥さん、本当ですか?」
「本当だよ」
奥の部屋から貴がやってきた。
「ここには俺と彼女と母さんしかいない」
圭子の肩に手を置く貴。
「母さん、病気なんだ。静かにしてもらえませんか?」
警察官「これは失礼しました」
軽く敬礼してその場を去る警察官。圭子、大きく息を吐く。
「もう大丈夫だぞ」
奥の部屋からそっと拓が出てきた。
「くそ!なんでここに居るのを知ってんだ」
「まぁ自宅だからな。張り込んでる可能性もあるか…ん?」
貴はタンスに立てかけている写真立てを手に持った。
拓、貴、圭子、そして前の夫、4人が写っている写真。
「懐かしい写真だな」
「あぁ、この写真だけはどうしても置きたいって母さんが」
うなづく圭子だったが、突然咳をしだした。駆け寄る拓と貴。
「母さん!大丈夫!?」
「母さん!」
圭子「大丈夫。そこの薬取ってくれる?」
指を指す圭子。そこには薬の入った袋が置いてある。
拓は薬を圭子に渡した。鈴は水の入ったコップを渡した。
圭子は薬を飲み、水を飲んだ。
圭子「ふ~。もう大丈夫よ。ありがとう」
貴、大きく息を吐く。
「拓、お前これからどうすんだ?ここには長く居られないぞ」
「うん。とりあえず、自分の無実を証明するよ」
「そうか、じゃあ俺の家を自由に使えよ」
「でも……」
「気にするな。俺ら兄弟だろ」
「兄貴……ありがとう」

3人は貴の家に戻って考えることにした。
拓はソファに座っている考えている。そこに貴がやってきた。
「拓、今日はもう遅い。寝たらどうだ?」
「うん、ありがと。でも、ぜんぜん眠くないんだ」
「そうか」
「あ、そうだ。そういや、父さんは?」
「……」
「また海外に出張中?父さん、相変わらず忙しいか?」
「……う、うん。そうだな」
貴は立ち上がり
「なんか飲むか?」
「うん。じゃあコーヒーでも」
「なんだ、やっぱり眠いのか?」
「違うよ。そういや、甘いコーヒーとかぜんぜん飲んでなかったからさ。なんか」
「飲みたくなったってか。わかった」
ふと部屋の隅に来ていた服が入った袋があった。
「あ、そうだ。その服。捨てるか?」
貴はその袋を取ろうとした。
「兄貴、そのまま置いておいてくれ。何かの証拠になるかもしれない」
「そうか……わかった」
「凶器のナイフには俺の指紋がついていた。が、あれは監禁されていた時に渡されたものだ」
顔を上げる拓。
「つまり、俺を監禁したヤツがこの事件の犯人って事か……」

拓は杉山と内山の顔。いつ見てもニヤニヤして、半笑いの顔。
2人を思い出すとムカムカしてきた。

手を握り締める拓。
「あいつらが犯人か……」
鈴がコーヒーを3つ持ってきた。
「しかし、どうやって見つけよう」
テーブルにコーヒーを置く鈴。
「それに空白の2ヶ月も、何があったんだろう?」
「どう?何かわかった?」
「いや、わかんない事だらけ」
「まぁ飲め。考えるのに糖分は必要だ」
「ありがと」
「お菓子も食べて」
「ありがとうございます」
ソファに座る貴と鈴。拓は砂糖とミルクをコーヒーに入れた。
「そういや、監禁された時の事、何か覚えてないの?」
「おい、鈴」
「何か無実を証明する手がかりがあるかも」
拓はスプーンでコーヒーを混ぜながら思い出した。
「うん、たしか……最初は慣れないからぜんぜん時間が経たなかったんだ。なんせ部屋に何もないし、やる事がなかったから」
「うん」
「寝るくらいしかやる事なかったから。よく寝てたなぁ」
「まぁそうだな」
「でも、よく寝た、と思っても1時間しか経ってなかったりしたなぁ」
「まぁ環境がそれじゃあな」
「他には?」
「後は、なんだろ」
拓はコーヒーを一口飲んだ。
「ちょっとトイレ」
貴は立ち上がり、部屋を出た。
「そういや、なんでこんなバイトしたの?」
「うん、前に母さんが病気なのは話しましたよね?」
「うん」
「今は薬でなんとかなってるけど、いつ発作が起きてもおかしくないんだ」
「うん」
「治すのにお金が必要で、その為に」
「そっか。じゃあお母さんの為にも早く無実証明しないと」
「はい」
「そういや、その監禁ってどこにされてたの?」
「それは……あ、そうか」
貴がトイレから戻ってきた。
「兄貴、とりあえず明日、監禁されてたとこに行ってみるよ。何か思い出せるかもしれないし、ヒントがあるかも」
「そっか。気をつけろよ」
「うん」
「なんかあったらすぐに連絡してこい」
「ありがと」

次の日、拓は早速監禁されたビルに向かった。
と言っても、指名手配犯。辺りをキョロキョロしながら歩いていた。
ビルの前で立ち止まりビルを見上げる。
「たしか、ここだな」
郵便受を見るが何も書かれていない。
「くそ、逃げたか。まぁそうだよな」
辺りを伺いながら中に入っていった。

監禁されていた部屋。手前の部屋にはテーブルとイスが無造作に置いてある。壁には時計。動いていない。
「何か、ないか?」
奥の部屋に入り、部屋を見回すと、壁に30個のキズがある。拓は1日経てばつけていたキズだ。
向かいの部屋。テーブルの引き出しを開ける拓。何も入っていない。顔を上げると動いていない時計が目に入った。
「……時計?」
時計を見ている拓。
「そういや、時間が経つのが遅かったよな」
拓は考えながら部屋を歩き回った。
「まぁそれは、やる事がなさすぎたからか」
外から足音が聞こえる。拓は音の方を振り返った。
島崎の声「こんなところに本当にいるのか?」
ハッとする拓。部屋を見回す。
「ヤバイ、この声は……」
声が近づいてくる。足音が聞こえる。


ドアが勢いよく開いて、島崎と岡野が入ってきた。
部屋を見回しながらゆっくりと歩く。
島崎「ここにあいつがいる、と聞いてきたんだが……本当か?」
岡野「なんだこの部屋」
誰もいない。奥の部屋のドアが開いている。
岡野「ん?奥にも部屋があるみたいですよ」
奥の部屋に行く2人。奥の部屋のドアを閉める岡野。
ドアと壁の間に拓が隠れていた。
「ふ~……」

奥の部屋で島崎と岡野が部屋を見回している。
島崎「なんだこの部屋は。窓も何もないじゃないか」
岡野「ん?」
部屋のキズに気付く岡野。
岡野「なんだこれ?」
岡野の声につられて島崎が近づいた。
島崎「なんだこのキズは。気持ち悪い」
岡野「……ん?この部屋」
島崎「おい、あいつがいないんだ。さっさとここを出るぞ」
岡野「そうですね。もう12時か」
岡野は腕時計は12時を指している。島崎も腕時計を見るが、11時50分だ。
島崎「おい、まだ12時まで10分あるぞ」
岡野「あれ?島崎さんの遅れてるんじゃないですか?」
島崎「そうかな?」
岡野「だって俺のは時間が正確なやつですから」
島崎「この時計ももう古いのかなぁ?」
2人は部屋を出た。

拓は壁際で聞き耳を立てていた。
ハッとする。すぐにさっきいた壁際に移動して隠れた。
ドアが開いて。2人が戻ってきた。
島崎「昼飯でも行くか」
岡野が出てくる。ふと足元を見た。
島崎「おい、どうした?」
岡野「……いえ、行きましょう」
2人は部屋を出た。ドアが閉まる音する。
拓は固まった表情になっていた。大きく息を吐いた。
「危ねえ……ってか、なんでここにいるのがわかったんだろ?」
拓は時計が目に入った。
「時計……壊れてる……ん?」

カップ麺にお湯を入れている杉山。時計は7時を指している。

「そういや、あいつがお湯を入れていた時、7時を指していた。そして」

ふと向かいの部屋を見た。
時計のカチッとした音が鳴り、針が1つ進んだ。その時、杉山は腕時計を見てカップめんを食べ始めた

「食べ始めた時に……時計の針が進んで7時1分になった…つまり、3分経ったのに、時計は1分しか動いていなかったって事か」
時計を見る拓。
「3分が1分?3時間が1時間。3日が、1日」
拓の頭の中での計算がすぐに答えを導いた。
「3ヶ月が……1ヵ月!?つまり、あの部屋での1日は実際の3日だったって事か!?」

拓は奥の部屋に向かう。
「たしかにこんだけ外界からシャットダウンしてた部屋なら時間の感覚が狂う訳だ。なんせ時間の手がかりがない。しいて言うなら」
向かいの部屋の時計を見る拓。
「あの時計ぐらいだからな」

拓は監禁されている中で時間も操られていたのだ。
向こうからすれば、時計を見せることで時間の経過を見せたかった。
しかし、拓はそれを逆手にとった。1分ではなく3分だったことに…
「食事の量が多かったのは、1回の食事で3食分食べさせる為か」

ビルの中から拓が出てきた。日の光が眩しくて一瞬目がくらんだようにもなった。
「よし、とりあえず。いったん帰って情報を整えよう」
拓は歩き始めた。

しかし目の前に岡野が出てきた。
「くそ!」
拓は逃げるように走りだした。

#創作大賞2024  #ミステリー小説部門

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