見出し画像

AIと日本語の未来①:言葉順の影響を考える

日本語の言語特性からプロンプトを考える

日本語の言語特性に基づいてプロンプトを設計する際、いくつかの特異性が生成AIの応答に影響を与える可能性があります。

日本語の特異性のうち1つ=語順

日本語の特徴の一つに、語順の特性があります。

  • 語順を変えても文章が成立する

  • 語順を変えても意味が大きくは変わらない

  • 語順を変えると文脈が変わることがある

例えば、以下の2つの文章はどちらも日本語の文章として成立していますし、
意味の概要では「I watched a movie yesterday.」と英訳されます。

  • 「昨日、映画見ました」

  • 「映画、昨日見ました」

しかし、日本語ネイティブの皆さまには、後者の方にやや違和感を感じるかもしれません。この違和感は、文脈がないと成立しにくい文章であることが原因です。

文脈が必要なケース

「映画、昨日見ました」という表現は、特定の文脈が存在する場合にのみ自然に感じられます。
例えば、以下のような場面を考えてみましょう。

  • 「鬼滅の刃にいまさらハマって。先週ぐらいから漫画読み始めて、映画昨日見ました!」

このように、映画以外の消費経験が先にあり、その続きとして映画を観たという文脈があると、「映画、昨日見ました」という表現が自然に使えます。
つまり、日本語の語順は我々ネイティブスピーカーが思っている以上に繊細で、「単文の語順だけで文脈を一定以上変化させることができる言語である」という点が重要です。

日本語の語順が生成AIに与える影響

この日本語の語順の特性が、生成AIにプロンプトを作成する際にどのような影響を与えるかを考えてみましょう。
前述のように、日本語は語順を変えても意味が大きくは変わらない一方で、文脈や焦点が大きく変化する可能性があります。この微妙な変化は、日本語ネイティブにとっては自然に感じられるものですが、生成AIにとっては意図を誤解させる原因となることがあります。

例えば、AIに「映画、昨日見ました」というプロンプトを投げた場合、文脈が提供されていないと、AIは「映画」という単語に強い焦点を当てるか、「昨日」というタイムフレームを過剰に解釈してしまう可能性があります。これにより、生成される応答が期待通りにならないリスクが増大します。

プロンプト作成の難しさ

このように、日本語の語順がもたらす文脈や焦点の変化は、生成AIとのコミュニケーションにおいて難しさを生む要因となります。AIは文脈を深く理解する能力が限られているため、語順の変化に対する敏感さが欠如していることが多く、意図しない応答を生成することがあります。

例えば、「昨日、映画見ました」と「映画、昨日見ました」という2つのプロンプトでは、AIがどの情報を重視するかが異なる可能性があり、結果として異なる内容の応答が返ってくるかもしれません。このような誤解を避けるためには、プロンプトを作成する際に、AIが理解しやすいように語順や文脈を慎重に設計する必要があります。

解消方法

日本語の語順の柔軟性が生成AIに与える影響を解消するために、以下の方法が効果的です。
個人的には、主語や述語が長い場合は前者を、短い場合は後者を使うようにしています。

1. 変数形式でプロンプトを設計する
プロンプトを「{主語}が{述語}した」という形式で構造化することで、
語順や文脈による誤解を減らすことができます。
例えば、「{日付}に{主語}が{アクション}を行った」というように、
AIがどの情報を重視すべきかを明確に伝えるプロンプトを作成することが重要です。
これにより、意図した内容を正確に伝えることができます。

このように意図に応じて語順を調整することで、プロンプトが伝えるべき焦点を明確にできます。

エンジニアリングスキルがある方向けに説明すると、
この方法はJavaScriptの変数宣言に似た考え方です。

let 主語;
let 述語;
let アクション;

主語 = "私";
述語 = "見ました";
アクション = "映画";

このように要素を明確に定義し、
それぞれを意図した順序で配置することで、AIに対して正確な情報を伝えることができます。

2. 文脈を明示し、生成結果を確認・修正する
プロンプトに補足的な文脈を追加することで、AIが誤解しないようにすることができます。
例えば、「昨日映画を見ました」というプロンプトに対して、
「先週から読み始めた漫画の続きで、昨日映画を見ました」といった文脈を追加することで、
AIはその映画が何に関連しているかを理解しやすくなります。

また、AIが生成した応答を確認し、意図通りの結果が得られているかを検証することも重要です。
もし意図通りの結果が得られなかった場合には、プロンプトを修正して再度AIに投げかけることで、
最適な結果を得るプロセスを確立することができます。
この反復的なプロセスにより、プロンプト設計の精度を高め、より意図に沿った応答を引き出すことが可能です。

まとめ

日本語の語順の柔軟性は、ネイティブスピーカーにとっては自然なものである一方で、生成AIに対してプロンプトを作成する際には注意が必要です。
語順が変わることで文脈や焦点が変わり、AIの応答に影響を与える可能性があるため、プロンプト設計においては語順や文脈を慎重に考慮することが重要です。
変数形式のプロンプトや文脈の明示、そして生成結果の確認と修正といったアプローチを活用することで、より精度の高い応答を得ることが可能となります。

いいなと思ったら応援しよう!