クレアチニンが少し高いけど、他は正常。それって腎臓病?
質問をいただきました。
4歳去勢済み雄猫(3.8kg)です。
子猫の頃からクレアチニンが基準値を少し超える値の為、定期的に血液・尿検査をして様子をみています。
BUN値やSDMAの検査は異常はありません。
体質である場合、改善方法はあるのでしょうか?
「若くて元気なのにクレアチニンがちょっと高い」と言われたとき、飼い主として何を知り、どう向き合えばよいか、一般論になりますが解説します。
■ クレアチニン=腎臓の数字だけじゃない
血液検査で「クレアチニン(Cre)」が基準値より少し高いと言われると、多くの飼い主さんは「腎臓病では?」と心配になります。でも、実際にはクレアチニンは腎機能だけでなく、筋肉量や体質にも影響を受ける数値です。
特に「若くて、雄で、筋肉質な猫」では、基準値をやや超えることは珍しくありません。実際、健康な猫でも基準値より少し高いクレアチニン値を持つケースは一定数報告されています。
■ 他の検査が正常なら、「体質」の可能性が高い
今回のご質問では、BUNやSDMA、尿検査の結果もすべて正常とのこと。このように、クレアチニン以外の腎臓指標が正常であれば、腎臓病の可能性はかなり低いとされています。
SDMAは筋肉量の影響をほとんど受けない腎機能マーカーであり、早期の腎障害を見つける上で非常に有用です。SDMAが正常であるという事実は、「腎臓がしっかり働いている」ことを示す有力なサインです。
■ 「体質だから心配いらない」と断定してよいのか?
ここで気になるのが、「体質です」と言われたときに本当に安心していいのか?という点です。
医学的には、「体質」は診断名ではありません。「他の病気を除外していった結果、残った可能性」として扱われるものです。つまり、「体質=安心」と考えるためには、その前に以下の5つのチェックポイントで評価を済ませておく必要があります。
■ クレアチニン高値をどう判断するか:5つのチェックリスト

これらがすべて正常であれば、「その子の個性(体質)」と考えて問題ありません。
■ 「改善方法」は必要か?
今回のご質問の核心はここだと思います。「体質である場合、改善できるのか?」
結論としては、改善(=数値を下げる)必要はありません。むしろ下げようとする行為は逆効果になることもあります。
例えば、タンパク質を制限した療法食を若い猫に使うと、筋肉量が減ってしまい、かえって健康を損ねる可能性があります。
では、何をすればよいのか?それは「改善」ではなく「観察」です。
■ 健康を保つためにできること

つまり、「クレアチニンの数値を下げる努力」よりも、「猫の体調と数値の変化を継続的に見守ること」が、推奨されるスタンスです。
■ 品種特異的な病気のリスクも忘れずに
今回の猫ちゃんはアビシニアンとのこと。アビシニアンは、アミロイドーシスという遺伝性の病気の素因を持つことで知られています。
この病気は2〜5歳の若いうちに発症することもあり、初期には軽度のクレアチニン上昇しか見られないこともあります。だからこそ、「若いから安心」ではなく「若いからこそ慎重にチェックする」ことが重要です。
■ まとめ:「体質ですね」は“調べた上での安心材料”
繰り返しになりますが、「体質ですね」は、きちんと検査を行い、他の異常がないことを確認したうえで初めて使える表現です。
でも、猫の健康を守るうえで大切なのは、「数値」だけではなく、「猫自身の変化」にも目を向けること。
飼い主さんが冷静に、でも丁寧に向き合ってくださることで、安心できる暮らしが続いていくと思います。
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