たけしの映画みたいな(2026.05.08)
退職する先輩が運転席、私は助手席に座っている。
弁当を食べ終えた。開け放った窓から強い風が吹きぬけて、弁当の蓋が飛んでしまったから、慌てて先輩が蓋を拾いに行った。
先輩は蓋を拾ってきて、シートに深く座り、それから笑った。
乾き切った、狂ったような目をして笑う先輩。飛ぶ弁当の蓋。5月の風。視界の端に見える山々の新緑。
「ビートたけしの映画なら、先輩はこのあとピストルに撃たれて死にます。もしくは笑いながらおれを撃ち殺しますよ」
と言ったら、わりと納得してくれたみたいだった。
