進捗報告をぶっ壊す(1)
大規模なITプロジェクトで行われる「進捗報告」という謎の儀式について取り上げる。
以前も書いたのだが、反響が薄かったので、説明のアプローチを変えてみたい。
進捗報告。それは週次の会議で行われる。
クライアント側も関係者全員、受託業者側も関係者全員が参加する。
コンサルタントもPMO業者として加わることがある。
何か重大な意思決定があるわけではない。
受託業者のマネージャー級が次々と発言し、クライアントに対して「当チームでは現在3人日程度の遅れが発生していますが、対応中ですので来週までには回復する見込みです」というような説明をする。
人日とは、1人が1日の労働時間をかけて行う作業の大きさを表す単位である。労働時間の長さについて公式の定義はない。つまり1人日が何人時にあたるのか、労働に伴う間接作業を含むのか(本稿の例でいえば進捗報告会議の出席時間のような成果が伴わない時間を作業時間に含むのか)は人によって解釈が異なる。3人日であれば、理論的には3人で分担すれば1日で終わるし、6人ならば半日で終わる。
受託業者からの説明にあたって毎週進捗状況がとりまとめられて数ページの資料が作成される。十数人、数十人という高単価人材が1時間かけて資料の読み上げに耳を傾ける。
その時間で作業をすれば3人日分の遅れは取り戻せるのではないか。
そして、翌週の報告を聞くと「5人日分の遅れがあります」とのこと。
回復させるのではなかったのか。「申し訳ありません。先々週の3人日は回復しましたが、先週別のタスクで新たな遅れが生じました。」
聞いていていい気分ではないし、何のために行われているのかもわからない。
遅れているんだ… それで?
→特に問題にはなりませんので。
どうして?
→それは… 回復に向けて対応を進めていますので。
理由になっていないし。それに先週から状況が変わっていないよ。
→後で確認します。
この遅延の中身、知っている?
→それは、今報告差し上げた通りで。
そうじゃなくて、あなたがちゃんと見てるかって聞いているの。
→リモートから担当者に説明をさせます。ねぇ、マイクオンにして話して。
いやいや、リモートの方、結構ですよ。
リーダーであるあなたが見ているかを尋ねたの。知らないんだよね。
→申し訳ありません。
我々の時間を取って、報告したかったんだよね。
→はい。
中身を知らない人から問題にはならないとだけ伝えられて、何をどう判断したらいいの。
・・・・・・・
実際はこういう会話にはならない。
日本のIT界隈では、話す側も聞く側も、PMが報告資料を読み上げる儀式が当たり前だと思っているからである。
今回の連載では、結論を先に書くことにする。
(2) 進捗報告に代えて行いたいこと
(3) 進捗報告とは
(4) 従来の定量化の限界
より詳しく知りたい人だけ最後まで読んでください。
(2)が難しいと感じたら、(3)(4)を読んでから(2)に戻ってきてください。
次回に続く。
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