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終末期患者の方針変更にどう向き合うか? - 在宅看取りから救急搬送への転換を考える

こんにちは。やまとドクターサポートの原田です。毎週開催している「15分間医師カンファ」では、現場での気づきや悩みをテーマに、やまとの全診療所の医師が様々な視点から解決策を考える場を設けています。今回は終末期患者の方針変更、特に在宅看取りから救急搬送への転換について話し合いました。

Take Home Message

  • 家族との継続的な関係性構築が重要

  • 方針変更は起こりうることを前提とした対応が必要

  • 多職種連携による支援体制の確立

カンファでの意見交換

A医師:「3年以上診療していた患者さんについて、皆さんのご意見をいただきたいと思います。当初は在宅看取りの方針でしたが、最期に救急搬送となったケースです。ほぼ独居で、お孫さんと同居されていましたが、訪問時は訪問看護師やヘルパーが対応することが多く、家族との直接の会話が限られていました。このケースで何が足りなかったのか、振り返りたいと思います」

B医師:「それは家族との関係性構築が十分でなかったということでしょうか?」

A医師:「はい。一度の説明では十分に伝えきれなかったように思います。家族と会える機会が限られていたことが大きな課題でした」

C医師:「いよいよという時になって方針が変わるのは、実はよくあることだと思います。特に独居や家族との接点が少ないケースでは、難しさを感じます。私の経験では、家族との関係性次第でこちらからの提案の受け入れ方が大きく異なります。時には、その場の判断で病院搬送の方向に動くこともあります」

A医師:「具体的にどのような工夫をされていますか?」

D医師:「私は在宅診療に関しての説明パンフレットを渡す時に、特に注意していることがあります。在宅で難しくなりやすい症状として、呼吸の問題と意識障害やせん妄の問題があると思いますが、その点を想定できる範囲で重点的に説明します。その上で、これらの症状が出現した時にご家族で受け入れが可能かどうかを、具体的に確認するようにしています」

E医師:「看護師さんの力を借りることも重要ですね。実際、看護師さんから『病院に行っても自宅でも、いよいよの時はできることは変わらない』という説明をしてもらうことで、家族の不安が和らぎ、在宅看取りにつながったケースを何度も経験しています」

A医師:「ACP(アドバンスド・ケア・プランニング)の説明はどのようなタイミングで行われていますか?」

F医師:「早めに書類を渡して、状態が変化した時に『あの時にお話しした状態になってきていますね』という形で、繰り返し説明することが大切だと思います。ただし、いくら準備をしても、最期になって方針が変わることはあります。そういう時は、強引に在宅にこだわるのではなく、柔軟に対応することも必要です」

A医師:「急な方針変更の際の対応はいかがでしょうか?」

G医師:「その時は必ず、最後の声かけとして3つのことを伝えるようにしています。『残された時間が短いこと』『病院でもできることは変わらないこと』『いつでも戻ってこられること』です。これにより、家族の後悔を少しでも減らせればと考えています」

H医師:「私も同感です。さらに、方針変更の背景には、例えば『正月に一人で亡くなるのは気の毒』といった家族の思いや、『想像以上に症状の進行が早い』といった予想との違いがあることも多いです。そのため、定期的な状況確認と、先を見据えた説明が重要だと感じています」

I医師:「実は最近、DNR(蘇生拒否)の事前指示について、救急隊との協議会を開催しています。患者さんの事前の意思と文書が確認できれば、搬送しないというプロトコールの作成を進めています。システムとしての取り組みも必要だと考えています」

実践的なアプローチ

  1. 関係性の構築

    • 定期的な家族との面談機会の確保

    • 多職種からの情報収集

    • 家族の不安や懸念の早期把握

  2. 情報提供の工夫

    • 段階的な説明

    • 状態変化に応じた繰り返しの説明

    • 具体的な状況の予測と対応策の共有

  3. 多職種連携

    • 訪問看護師との密な情報共有

    • ケアマネジャーを通じた家族支援

    • 介護スタッフとの連携

  4. 方針変更時の対応

    • 家族の気持ちの変化を受容

    • 新たな選択肢の提示

    • 継続的なサポート

おわりに

終末期の方針変更は、医療者側の「失敗」ではなく、自然な経過の一つとして捉える必要があります。重要なのは、家族との継続的な関係性構築と、状況の変化に応じた柔軟な対応です。

また、「在宅看取り」という方針を固定的に考えるのではなく、状況や家族の思いの変化に応じて、柔軟に対応していくことの重要性も確認されました。

本日の議論が、皆様の診療現場での判断の一助となれば幸いです。

やまとドクターサポートの原田でした。