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受けは手だけの動作にあらず

「受けは手だけの動作ではない」なんて言うと
「そりゃそうだ、踏ん張る足からパワーは来てるから」
と返す人もいるかもしれない。
だが、これから話すことは、そういうことではない。

では、さっそく本題に入ろう。
突きはミットやサンドバッグなどの「叩く対象」があれば一人でもある程度の練習ができる。
一方、受けは相手の攻撃があって初めて成立する動作であり、一人では練習しづらい。
もちろんシャドウで受けの練習もできるが、それはあくまで形の確認程度にとどまる。
能動的に動く攻撃と、受動的に動く受けでは、技が成立する要素に違いがある。

受けを分解して考えると、
「正しいタイミング」「正しい間合い」「正しい力の方向」
この三つが重要な要素と言える。
そして、それらは連動している。連動させるためには、司令塔として脳の働きも関係してくる。
つまり、これらが全てが「受け」の要素となるので、腕の動きだけ切り出して考えても意味がない。

それは、ゾウの鼻だけ見せて「これがゾウだ」と言う行為に似ている。
確かに長い鼻はゾウを代表する特徴に間違いない。
でも、鼻以外の頭や耳、胴、足、尻尾もあってのゾウなのだ。

同様に、受けも腕の動きだけでなく、上体、頭、足まで含めて形を考える必要がある。
また、どの間合いで使うのか、接触した時の力加減や力の方向も含めて理解すべきだ。

さらに、脳の働きでもう一つ言えば、
相手の攻撃を正しく「認知」すること、
そして適切な対応法を瞬時にイメージする能力も求められる。
その脳内処理の結果として、ようやく「受け」の動作が現れるのだ。

したがって、実際に使うことを考えるならば、動作の訓練だけでなく、認知の訓練や、認知から動作へ繋ぐ過程の訓練も必要となる。
もちろん攻撃だって認知能力は使うし、手だけの動作ではない。とは言え、その重要度の割合は大きく異なる。
いくら受けの練習を積んでも、試合ではブロックとバックステップばかり使われることがそれを証明している。

受けを腕だけの動作と捉えてはいけない。
全身を使った動作として創り上げることが重要だ。
加えて、使える技にするには、体の動かし方だけでなく、脳内の訓練も行う必要がある。
そこまで含めて、初めて「受け」となる。


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