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読書録:20世紀とは何だったのか

佐伯啓思『20世紀とは何だったのか』(PHP文庫)
本書は京都大学の講義科目「現代文明総論」の内容を書籍化したもので『西欧近代を問い直す』の続編にあたる。あちらは先に読み終えていたのだが、こちらは積んである間に本が歪んでしまい、その矯正のために一年空いてしまった。
いちおう、本書も『西欧近代を問い直す』も内容は独立しているので、一方を単独で読んでもおもしろいが、本書を読む際は、できれば『西欧近代を問い直す』を先に読んでおきたい。
近現代(概ね19〜20世紀)を論じようとすると、政治・経済・産業・文化いずれもが著しい発展を遂げ、なおかつそれらが徐々に分離していくため、一体で論じようとすると難しい。そこで、佐伯先生は代表的な思想家をピックアップし、学史風に並べることで、この時代の特質を描き出そうとされている。大学の講義や一般向け概説書であれば、それで充分かもしれない。興味が湧けば、参考文献を辿って深掘りしていけばいい(ただ、挙げられている参考文献が少なすぎるような⋯⋯)。
僕は近現代になるとからきしダメなのだが(そもそも、中高生時代の日本史で、明治以降を時間切れで習っていないのである)、おおよそ18世紀あたりから、ヨーロッパでは時代の流れ(発展)が加速する。フランス革命を仮にヨーロッパのターニングポイントとすると、日本はそれより半世紀ほど遅れて時代の流れが加速し始める(黒船来航を仮にターニングポイントとした場合)。こうした展開の早さと、国民国家と植民地が混在した地政学的複雑さが合わさって、近現代(〜第二次世界大戦まで)は押さえるのが難しくなっている気がする。
特に、二つの世界大戦がややこしく、どちらも単純に「〇〇と〇〇の戦い」と言い切れない。これが、両大戦を泥沼化させた一因ではないかと思うのだが、この二つの世界大戦で、帝国主義ヨーロッパはガタガタになってしまったらしい。その隙をついて大躍進したのがアメリカと旧ソ連だったと言えるが、これは自由主義と共産主義の極北どうしである(これは広井良典先生の表現である)。
そうした中、力を持ってきたのが「大衆」なのだが、その結果、日常感覚が判断基準とされるようになり、あらゆるものから巨視的な判断が遠ざけられてしまったような気がするが、この大衆をめぐる議論は複雑で、うまく要約できない。このあたりはオルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』とエドワード・サイードの『知識人とは何か』あたりを読んで考えてみたい(どちらも持っているが未読)。
本書ではケインズについても触れられており、社会経済学者としての佐伯先生が垣間見られる。

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親魏倭王(元学芸員:考古学) 現在、経済的な事情もあって、一部記事を有料にしております。 記事購入と併せ、内容が気に入っていただけましたら支援していただけると助かります。