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正直村とも嘘つき村とも言えない、あわい。ワレラすべてが属するところ。同期が完了し、ワタクシは「僕」になる。

注意書き
この文章は「無料」です。
文芸的露出狂集団・チ部が販売する「恥部の本(仮)」のイントロダクション記事として、お楽しみくださればと存じます。

(本文 2,091文字)

昼、山本蛇内氏と会っていました。
ワタクシが呼んだか。
あるいは、彼がワタクシを呼んだか。

まあ、そうなることは、予期していました。


場所は、ワタクシには現実、いわばホーム。
山本氏には、たまにだけ出てくる、そういうところ。


彼が今日の昼、出先の初めていく町のファミレスを使った時、ふっとワタクシを思った。
ドリンクバーのマシーンの順番待ちをしている時です。
で、もうワタクシ、コーヒーマシーンの前にいます。
そういうものです。

ホットエスプレッソが、締めの勇ましい音を立てます、

\\フプワヮァーーーーッ‼︎‼︎//

音で、山本氏は前のワタクシを見、
「ああ、山内本蛇いるや」
と、気づきます。

エスプレッソじゃない?
なに、大した問題じゃない

特に驚きとかはないです、お互い。
生まれて初めて会うとかではないので。

毎日とまでは行かないですが、彼が

「何かを、深く思う」

たび、ワタクシは訪れます。

対話の壁打ち相手。
生成AI?それなんかより、何十年も先んじて。
あるいは、ただ側に立つ、並んで歩く。
語りかけたりしません。
ただ、いる。
って感じに、知らない仲じゃない●●●●●●●●●です。

「チ部で書くのは、ぼくだよな?
オートフィクション。
なんで今回、君の名前クレジットになってんだ」

ぼくは答えません。
歩きます。
不親切ではなく、導くべく。
どこへ……、テーブルへではなりません。
いつのまにか、ファミレスの店内は、出ています。


繰り返し歩いてきた風景の中を。
山本氏の夢に、何度でも出てきている、どこか。

山本氏が2歳から幼稚園卒園まで住んでいた、経堂という⸻東京の世田谷にある⸻街っぽい、どこかか。

あるいは、人生でたった一度立ち寄っただけの、どこかのサービスエリアの窓から見えたきりの風景か。

いや。
あの、馬から落ちる旅人像。
鶴川です。
山本氏が小学校時代を過ごした、東京の町田にある鶴川、そこで彼が通学路を遠回りする日、寄る公園に設置されていた像。

「あの景色」、
山本氏が言います、
「ほんとうに、あったのか、見ていたのか……、子供の頃」

この期に及んで何が問題●●●●●●●●●●●?」、
私は言います。
「それがほんとうだったのかとか、記憶が嘘をついているとか、誰が気にするんだい。
きみだってほんとうはどうでもいいでしょ」。

「そう」、彼は認めます。「今さら、検証もできない」

「うん、で、そうやって書けばいいんですよ、オートフィクション。

でもきみ、躊躇している。

例えば、きみは、その人生で、ほんとう言うと女性を路上ナンパしたことなんて、ただの一度もない。
上司や同僚や部下や後輩、顔を知られている人らにそんな行動を見られでもしたら、社会的に終わってしまう。
この恐れが根深すぎるから、そんなこと、絶対にありえなかった。

ただ、ずっと、やってみたいな、と思いつづけていた。
駅で、綺麗な人を見かけるだとか、仕事の訪問先で初めて出会った人だとかに、そうした想像を抱いたりしていた。
内心は、脳内は、別に自由だろ、そう嘯いて。


あるいは、抱く恐れよりもそのヘキの力がまさっているから、大胆にも独身時代、どころか結婚してからも、外でナンパをしたことがある。
駅のコンコース、井の頭公園、旅先、映画を観終わり歩いている時間で。


どっちなんだ、と問い詰められないために、オートフィクションでやるんでしょ?
最高の手法ですよ。
あなたの本物の経験か、こしらえた妄想上の産物か、意味は剥ぎ取られる。
自由になるため、何にも遠慮なく書くために、やれよ、オートフィクションさ、思いっきり?


人は誰も、正直村の出身者ではない。
100%正直なことを吐いて生きていない。
あれな、畑を耕してて、旅人に村の行き先を聞かれて、みたいなクイズに出てくる百姓。
だからって、嘘つき村の出身者でもない。
100%嘘をついて生きてなんかない。
どっちの村でもない場所に生まれ、正直やったり、嘘もつく。何%とかもなくて、行き当たりばったりで、いいようにだよな。


ワタクシらは誰も、生きながらに、オートフィクションの訓練をしている。

その中で、いやしくもプロを名乗り突き抜けたいなら、思いきんなきゃさ。


どうしても、できそうにないなら。

守るべきもの、それが何だか知らないけど、そういうものができてしまって、やりきれなさそうってなら。

代行するって。
請け負いますよ。

なに、ちょちょっとスキャンして同期させてもらえりゃ、わけない」

それで、山本氏はヘッドセットを被り、準備し始めました。

また、ファミレスのような場所に、ワタクシたちはいます。
でもそれが、最初の店なのかは、わかりません。


できたところで、ワタクシ、スタートボタンを押しました…

抽出
では、オートフィクション、
ワタクシの仕事として引き継ぐよ

同期、完了しました。
ワタクシは、それ以降、「僕」になりました。
山本蛇内氏の一人称「ぼく」とは違います。
村上春樹の言う「僕」と同じ概念でしょう。
(そう、村上春樹の小説の多くも、オートフィクションだと理解もできます。)


そういうわけで、「チ部」で騙るのは、ワタクシ……、

いえ、僕。山内本蛇で御座います。


#チ部   #恥部   #恥部本

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