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最高権力者に必要なものは


大河ドラマ『光る君へ』を観ています。ご覧の方も多いと思いますが、2024年11月17日の放送では、ついに藤原道長が「この世をば……」の歌を詠みました!
この歌は最高権力者に上り詰めた道長が、「世の中はすべて俺様の思い通りだからな。俺がそう思えば満月だって欠けたりしないから」という極めて傲慢な心を歌ったものだ、と言われています。

しかし今回は道長と紫式部の関係を描くドラマの流れで詠まれる歌です。これまでの慢心説とは違ったものになる……と思ったのですが、観ていても今ひとつわかりませんでした。
巷間では、紫式部へのラブソングなどの解釈もとりあげられています。確かに、画面にはそれを匂わせる回想シーンもありましたが、果たして?

それよりも気になることがあります。
道長は「この世をば」を口にする前に、「歌が詠みたくなった」と言って、大納言藤原実資に返歌を求めます。
これは亡き三条天皇に与していた実資への牽制ともとれます。三条天皇は道長にとっては政敵でしたからね。
それを感じ取ったのか実資は「歌が素晴らしすぎて返歌ができません」と持ち上げたうえで、故事に倣って全員での唱和を提案します。
この態度で、道長も実資の忠心を感じ取ったのかもしれません。

それはいいのですが。
自分の歌を、その場にいる全員で唱和されるって、恥ずかしくないでしょうか?
それも何度も何度も。
ぼくだったら、いたたまれない気分になりそうですけど……。

いやいやいや、そんなことで照れたりしていたら、最高権力者にはなれないのでしょうね。

最高権力者に必要なもの。
それは皆が自分の歌を唱和するのを聞きながら、恥ずかし気もなく「よしよし」と思えるような図太い神経。