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【秋葉原アンダーグラウンド】 第8章 9話

アキモトとロンは激しい放電現象により研究室に入れないでいたが、それが収まるとすぐに中へと入っていった。


「ミカサくん!オウくん!」

「先生、こちらへ!・・・うっ・・・」


ロンが先にベッドへと近づく。ミカサは無傷のまま、まるで死んだように眠りについていた。その傍には黒焦げの遺体が、ミカサの手を握ったまま倒れていた。顔も崩れてはいたが、明らかにオウの遺体だった。


「くそっ・・・なんてことだ。」

「ロンくん・・・オウくんは死んでしまったのかね。」

「えぇ・・・もはや息もしていません。ミカサのほうは・・・呼吸しています!生きています!」


ロンは心電図と脳波計を探したが、ミカサの放電により全て壊されていることに気付いた。慌てて部屋を飛び出し、他の部屋からそれら機器を調達してきた。しかし、心臓は正常に動いていたが脳はほとんど動いていなかった。呼吸も弱い。ロンは呼吸器をミカサの口に当てた。その後アキモトの手により精密検査を受けた。


「先生、ミカサは・・・」

「脳死だ。今は深い眠りについているようだがね・・・」

「いつかは目を覚ましますよね?」

「すまない・・・私の身勝手でこのような事態を招いてしまった。」


アキモトの謝罪はロンに向けて、いやオウの遺体も含めたここにいる全ての者に対して行われていた。ロンはアキモトに頭を上げさせると、今後の話をし始めた。


「今回の件は他言無用、オウの遺体もこちらで処理するということでよろしいですか?」

「いつかは明るみになることだ。隠したところでどうしようもならない。」

「では少しだけ私に時間をくれませんか?必ずやミカサの目を覚まさしてみせます。」

「そうだね。世間がミカサくんのことを知ったあかつきには本当の意味で殺され、あれこれと体をいじくりまわされるだろう。そんなこと、特にオウくんは望んでいないはずだ。いいだろう。あとは君に任せる。私はこの世界から身を引くことにするよ。」


そう言うとアキモトはオウとミカサに再度頭を下げ部屋を出ていった。ロンは一人部屋に残り、オウの遺体をミカサから引き剥がし、隣のベッドに寝させてやった。


「オウ、聞こえているか?ミカサはオレがもらう。これは世紀の大発明だ。他のやつらには一切くれてやらん。これから忙しくなるぞ。それまで、少しばかりの間ミカサの隣にいさせてやる。」


ロンは高揚する気持ちを抑えきれず、笑いながら部屋を出ていった。


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「まさか・・・サラくんの血清を打ったのか?」

「ご名答です、先生。残念ながら私の力だけではミカサを甦らせることはできなかった。だがそれから約10年、サラ、そして天才シンが現れた。私は彼らとの研究に賭けることにした。そしてその結果ミカサは蘇った。サラくんにはオウたちとの研究で得た能力の種をお裾分けしたがね。」

「話はわかった。だがミカサくんだって正義感が強い子だ。君の野望を知ったら手を貸すだなんてする訳がない。」

「巫女の力でオウを復活させると言ったらどうです?」

「それは・・・」


正直なところありえる話だ。ミカサはオウのことを好いていた。理由はそれだけで十分だろう。サラの血にも能力の種が入っているということは、ミカサ同様暴走する可能性もある。それでロンは時間がないと言っていたのだ。


「だが君の話から察するに、今後必要なのはワンくんの持つ能力の抹消剤だろう。マリくんをどうこうする必要はないはずだ。」

「そうですね。今すぐにでもワンの持つ薬がほしいところではあります。でもそれじゃあ世界を相手にする武器を失ってしまう。」

「そうか。それでマリくんを無理矢理目覚めさせ、マリくんを兵器として保有したいということか。でもねロンくん、マリくんにその力はないことはわかっているはずだ。」

「おっしゃる通りです。確かに妹ルリの後を追って約半年後、彼女は研究に志願した。ミカサの力でデータを盗み見ていましたが、何年経っても力が顕現する様子はなかった。だから私は昔マリから取った血液から遺伝子データを解析した。そしたら母サラの遺伝子はきちんと受け継いでいることがわかったんですよ。」

「なるほど。だが、例えそうだったとしても彼女は能力を発現させられなかっただろう?それに今から能力の種を植え付けようとしても、二度打ちの禁忌、すなわち拒絶反応が出て死んでしまう。」

「それが調べていくうちに、わずかではあるが能力を保持していることがわかってきたのですよ。水などの自然系ではないので特定するのに苦労しましたけどね。」

「なんだって・・・それでマリくんは一体何を宿しているというんだね?」

「ルリが人を生かす能力なら、マリは人を殺す能力ですよ。」


ロンの思いもよらない発言に、アキモトはただ呆然と立ち尽くしていた。


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