【秋葉原アンダーグラウンド】 第7章 10話
「ハクはただ鏡の中を移動しただけ。」
ハクはそう呟くと近くの鏡の中へ入っていった。ハクは鏡の中で数本の飛針を握っていた。ちょうど真向かいに立っている鏡に目をやると、その中にもハクの姿がある。その隣にも、その向かい側にも。そこには無数のハクが存在していた。
「そうか、鏡の反射か。となるとハクちゃんも光の速度で移動している訳だ。」
ミライはなんとかその場に立つことができたが、両足の自由が効かない。おそらくさっきの一撃で腱を切られたのだろう。両足はもう使い物にならない。ミライは光の翼を出した。
「こりゃ厄介だね。鏡を破壊しようにも光の速度で逃げられてしまう。しかもついでに急所を突いてくるオマケ付きときた。」
「ロンはね、無限廻廊って言ってた。」
たしかにこの回廊に一度踏み入れたら最後。無限とも言える攻撃により撃沈する。ミライはふーっと息を吐くと鏡の中のハクに向かい呟く。
「無限廻廊を破壊しハクちゃんも破壊する。光対光の対決だよ。一瞬の勝負だ。」
「やっぱりすごいねミライは。みんな絶望するのに、ミライの目は光って見える。」
「それって褒められてるのかな?悪い気はしないけど、次の一瞬で片をつけるよ。よーい、どん!」
その直後全ての鏡は破壊されたが、ミライは無数の飛針で串刺しになりその場に倒れ込んでいた。
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「中まで凍ってないといいんだけど。」
ハクは氷漬けにされた柱に近づき、その氷を溶かし扉を触る。扉には暗証番号付きの鍵がかかっていたが、それは事前にロンから聞いており簡単に扉を開けることに成功した。
「こんにちは、お姫様。」
柱の中には人一人入る大きさのシェルターがあり、その中でマリは眠っていた。ハクはシェルターの脇のほうにあるボタンを押すと、シェルターの水が抜けていき、水に浸かっていたマリが姿を現す。さらにその隣のボタンを押すと、シェルターが開いた。
「一緒に帰ろう。」
そう言うとハクはマリを抱えようとするが、華奢な体のハクにマリを担がせることは不可能だった。困ったハクは少し悩み、あっと閃いた顔をすると、氷の腕を作り出しそのままマリをシェルターから引っ張り出した。よいしょっと言うハクに向けミライが叫んだ。
「待ちなさい!マリはあなたたちが扱っていい代物じゃない!」
ミライは飛針を抜きながらハクの目の前に立ちはだかる。まだ頭や首にも飛針が残っている。
「ミライ、それ以上動くと死んじゃうよ。頭のやつはギリギリ脳を避けて刺したんだよ。いつ脳に触れるかわからないよ。」
「うるさい!私はマリの護衛だ!マリに危険が及べば死ぬ気で止める!」
そう言うとミライは手のひらに太陽のような球体を作り出した。
「私の最大だ。受けてみろ!」
「そんなの食らったら、マリちゃんだって無事じゃ済まないよ。」
「当たる直前に回収すればいいだけのことだ!それで脳に針が刺さっても死ぬ気で飛ぶ!」
「そっか。じゃあ死んで。」
太陽のような球体は光の速度でマリに直撃する。それを放った直後ミライは飛んだが、脳に針が刺さり平衡感覚を失ったままハクに突っ込んだ。巨大地震を思わせる衝撃と揺れ。瓦礫や砂煙が宙を舞う中、ハクはマリを連れ立っていた。
「ハク、名前忘れちゃったけど、亀さんの技使えるの。」
それは紛れもなく、完全顕現した玄武・完整だった。ミライは意識を失い倒れたまま動かない。ハクは一度ミライを見たが、すぐに劇場の入り口のほうへマリを連れ歩き始めた。
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「そろそろ国家で記者会見が始まる時間だ。我々はそれを見計らい、国会議事堂へ乗り込む。カイが最大限仕事をしやすい環境を整備する。」
シン、リツ、シュン、ステイルは地上の、国家議事堂のすぐそばまで来ていた。カイとは別行動を取る算段だった。4人は国会議事堂の四方に分かれそのときを待った。記者会見の始まる30分前、ついに突入した。
「いよいよ始まったか。」
「ちょっと、カイ。何を呑気に言ってるの。助けてあげなくてもいいの?」
「皆、オレを含め各々の仕事をするまでだ。それに、あの4人は強い。」
カイは国会議事堂の中央上空で04と待機していた。そこからは、四方から突入すると同時に激しい爆撃音が鳴り響くのが見て取れた。
