メディアの話。「国宝」は最良の「アニメ」だった。
「国宝」。
最高に面白い。
以下、ネタバレ。
あ、でも内容の説明はしてません。
アニメだ、この映画。
みながらの感想がこれだった。
アニメだ、と言うのは、もちろんポジティブな意味で、である。
まず、圧倒的なストーリーのわかりやすさ。
マジックで描いたように輪郭のはっきりしたキャラクター。
これ、作ったのが松竹じゃなくて、東宝ってのもよくわかる。
歌舞伎の現実じゃなくて、歌舞伎の意匠を借りたファンタジーだから。
歌舞伎と直結している松竹じゃ、映画にできない。
ツッコミ入りまくるだろうから。
いろいろ、ありえないことがある。
けど、そもそも
冒頭から全てありえないので、
「歌舞伎」という「異世界ファンタジー」として楽しめばいい。
冒頭のシーンは、これは「ファンタジー」ですよ、という告知、でもある。
実に親切である。
そう割り切って見られるところも、アニメ。
血と実力を
イケメン二人に割り振る。
そこに絡む大人。
一人は血を継ぐ男。
もう一人は孤高の国宝。
イケメン二人の未来を暗示する。
次に演出。
10分から15分ごとに、次のシーンに移るテンポ。
そして徹底的にアクション。
説明を徹底的に省き、アクションでつなぐ。
俳優たちのアクションスターぶりが実に素晴らしく、
見てて全く飽きない。
歌舞伎も暴力も。
演出のポイントは、目の光。
登場人物の目を徹底的に追いかけて、光らせる。
このテンポの良さ、いい意味で「重くなさ」で
3時間をあっという間に描き切る。
見事な大衆映画。
映画はこうじゃなくっちゃ。
エンドロールを見たら、
脚本は、細田守さんの「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」の奥寺佐渡子さん。
ああ、アニメっぽいと思ったのは奥寺さんの力か。
奥寺さんの脚本は、日本の映画のテンポを変えた。
アニメが日本の映画の基軸となっている、最初の中心を作った人の一人。
アニプレックスが制作に入っているのも関係あるんだろうか。ミリアゴンスタジオは、アニプレックスの子会社だったはず。
後付けなんだけど、ああ、これはヒットするなあ、と。現在のヒット映画の原則は、アニメで鍛えられたキャラクターとテンポ、ってのが結構重要な気がする。
で、ちょっと首を捻ったのは、
最後のシーン。
カメラを構えた女性と主人公とのやりとり。
突然説明になっちゃう。
理由はわかる。
主人公が「修羅の道のアウトロー」の「要素」は見せるけど、
全然、悪いやつに見える演出がされてないので、女性に説明させるしかないんのだ。
あそこ、一言ずつのやり取りで良かったような。
あと、ラストシーンは、時間5分の1にした方が、良かった気がする。
冒頭とラストが呼応する演出にするだろうな、と、冒頭と途中からわかるので。「パーフェクトワールド」や「バード」でイーストウッドがやっていた手法。
ところで、私はあらゆる作品を見たり読んだりする際、「絶対に」他人の評論や意見を見ないことにしている。映画の場合、その映画の紹介も、シナリオも、キャスティングもなるべく知らないようにしておく。
「はじめてみる」ことが楽しいから、である。
で、「はじめてみた」うえで色々妄想するのが、楽しいからである。
