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第2話 恵庭・義経秘宝伝説と黄金の意味


冒頭

『ポンタと北へ消えた義経』の中で、恵庭の義経秘宝伝説はとても大きな役割を持っています。


ラルマナイの滝

この写真を見返すと、恵庭は私の中で「黄金伝説の場所」というより、「何かが静かに隠されていそうな場所」として残っています。

黄金。

秘宝。

隠された財宝。

こういう言葉は、物語を書く側からすると、どうしても心を動かされます。

でも、今回の小説では、黄金を単なる財宝としては扱いませんでした。

私が書きたかったのは、黄金そのものではなく、黄金に託された思いでした。

恵庭に残る義経秘宝伝説

恵庭市教育委員会・恵庭市史料デジタルアーカイブ「恵庭年代記」には、ラルマナイ川上流の熊の沢山中に、義経の家臣が財宝を埋めたという伝説が紹介されています。


源義経の黄金伝説

現地の写真があると、こうした伝説が急に現実の地形と結びつきます。

伝説は、空中に浮かんでいるわけではない。

山があり、川があり、道があり、そこを歩いた人がいる。

そう思うと、義経の黄金伝説も、ただの冒険譚ではなくなっていきます。

もちろん、これも史実として断定するものではありません。

けれど、土地にそういう話が残っている。

それだけで、創作の入口としては十分すぎるほど魅力があります。

なぜ人は、そこに義経の財宝があると語ったのか。

なぜ黄金は、北の山の中に隠されたことになったのか。

その問いから、物語が動き始めました。

友人に案内してもらった恵庭

恵庭も、北海道の友人に案内してもらった場所です。


恵庭市内

自分ひとりで地図を見ていたら、ここまで物語の中心にはならなかったかもしれません。

誰かに案内してもらう。

その土地に立つ。

あとから記録を読み返す。

そういう積み重ねの中で、恵庭の黄金伝説は、私の中でただの「面白い伝説」ではなくなっていきました。

この本は、そういう意味でも、ご縁から生まれた物語です。

もし一人で資料だけを読んでいたら、黄金伝説は「面白い素材」で終わっていたかもしれません。

でも、実際に連れて行ってもらった記憶がある。

写真も残っている。

そのことが、物語を書くときの足場になりました。

黄金とは何だったのか

小説の中で、義経は黄金を手にします。



白扇の滝

でも、それは欲の象徴ではありません。

逃亡資金でもありません。

私の中では、黄金は「未来への約束」でした。

義経は、衣川で終わったことにされた人です。

自分の名も、立場も、居場所も失った人です。

その人が北へ向かい、もう一度何かを残そうとする。

そのとき、黄金は財産ではなく、誰かに託すしるしになる。

そう考えたとき、恵庭の伝説が物語の真ん中に置けるようになりました。

写真の中の光や水の感じが、あとから小説の「黄金」のイメージに重なっていった気がします。

不思議なものです。

その場ではただ撮っただけの写真が、あとで物語の一部になる。

ポンタの視線

ポンタは商人です。

だから、黄金の価値はよく分かります。

でも、ポンタはただ金額を見る商人ではありません。

人が何を託しているのか。

何を守ろうとしているのか。

何を未来へ渡そうとしているのか。

そこを見る商人です。

だからポンタは、義経の黄金を見たとき、ただの財宝とは受け止めなかったはずです。

これは売るものではない。

これは、運ぶものだ。

そんなふうに感じたのだと思います。

伝説を創作に変えるとき

歴史伝説を書くとき、気をつけたいことがあります。


恵庭の豊かな自然

それは、伝説を史実のように断定しないことです。

でも、だからといって軽く扱うのでもない。

土地に残った話には、土地の人が語り継いできた時間があります。

そこには、願いもある。

祈りもある。

少しの寂しさもある。

私はその部分を、ポンタに見届けてもらいたかったのです。

Kindle版はこちら

『ポンタと北へ消えた義経』Kindle版はこちらです。

恵庭の義経秘宝伝説も、物語の大切な場面として登場します。


参考

  • 恵庭市教育委員会・恵庭市史料 DIGITAL ARCHIVE「恵庭年代記」



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私が以前に書いた恵庭に関わる本です。読んでいただけたらありがたいです。