もしもコーヒーカップに心があったら――YANAMO WORKSが描く「見守る」物語
毎朝手に取るコーヒーカップ。いつも側にいるのに、特別じゃない。でも、もしもそのカップに心があって、あなたのことを見守っていたら?
そんな温かくてちょっと不思議な世界観を、AI技術を駆使して表現したオリジナルMV「コーヒーカップ」が誕生しました。制作者のやなもさん(YANAMO WORKS)に、制作の裏側と込められた想いを伺いました。
コーヒー好きから生まれた擬人化ストーリー
Q: この「コーヒーカップ」という曲は、どんなきっかけで作ろうと思われたんですか?
まずは単純にコーヒーが好きなので、コーヒーに関連するもので作品を作りたいなと思いました。それから、みなさんにとっても身近な存在であるというところもいいなと思いました。そのコーヒーカップを通して、女性の生活を描くというような、見守られているというような感じを出したかったですね。
Q: なぜコーヒーそのものではなく「カップ」だったのでしょう?
コーヒーよりもコーヒーカップの方が、より多くの人に一般的かなと思えたのと、正直AIで生成するのに失敗しないだろうなという思いもありました(笑)。それから、共感ができる部分がないとやっぱりだめかなという思いはあるので、コーヒーカップを通した人の状況のような部分も伝えて、親しみある感覚を持たせたかったですね。
歌詞には「一人暮らしのあなた」「彼と喧嘩した昨日の夜」といった具体的なシーンが登場します。ただ可愛いだけでなく、誰もが経験したことのある瞬間を描くことで、視聴者が自分の経験と重ね合わせられる作品になっています。
Claudeと紡いだ歌詞、こだわりの「トラジャ」
Q: 歌詞はどのように作られたんですか?
歌詞は、Claudeと一緒に作りました。「トラジャの苦み」「ひらり舞い上がる」「彼氏との喧嘩」「一人暮らしの女性を食器棚から見守っている」というあたりを入れてほしいというお願いをして、まずは作ってもらいました。
Q: 「トラジャ」という具体的なコーヒー豆の名前が出てきますね。
トラジャ、まず単純に自分が好きだということと、好きな人には「おっ?」っと思ってもらえるし、「トラジャって何だろう」って聞き手が思うのもありかなと思いました。トラジャは深煎りが良いので、ちょっと苦い味と、喧嘩の心境などを絡めたりしています。
Q: 「ひらり舞い上がる」という表現も印象的です。
ひらり舞い上がるはコーヒーカップにはありえない動きなので、そこは映像にしたかった部分ではあります。重い気持ちを、ふっと軽くさせるというような効果も狙っています。

SUNO AIで生まれた可愛らしいメロディ
Q: 曲のスタイルはどのように決めたんですか?
曲のイメージもとりあえずClaudeさんに決めてもらいましたが、最初から可愛らしくて良い曲調で気に入ったので、STYLEのところは変更していないんです。
SUNO AIで生成された「whimsical pop」スタイルの楽曲は、おもちゃのピアノの音色が印象的で、まさにコーヒーカップの可愛らしさを表現するのにぴったりでした。
Q: 歌詞の手直しはありましたか?
全部は覚えていませんが、例えば最後、コーヒーカップで終わっていたのですが、印象付けるため「コーヒーカップ」を2回繰り返して、「これが私」という歌詞を追加してちょっと自己紹介風の物語風に終わらせてみました。
バーチャルシンガー「RiKaCo」誕生秘話
※ここに最初のピンク髪の女性(RiKaCo)の画像
ポップな衣装に身を包んだピンク髪の女性――これが今回のバーチャルシンガー「RiKaCo(リカコ)」さんです。
Q: このキャラクターはどのように生まれたんですか?
ピンクの女性は、コップを擬人化したというか、曲がとっても可愛くておもちゃのピアノなんかも入っていて、頭の中でピンクっぽくてポップな雰囲気が頭の中に出来上がったので、それを文章にしてランウェイに作ってもらいました。少し、きゃりーぱみゅぱみゅさんの衣装なんかを意識した部分もあります。
Q: 「RiKaCo」という名前の由来は?
こちらもコーヒー豆のコスタリカから文字を取ってリカコとしました。
コーヒー豆の産地からキャラクター名を取るという細やかなこだわり。トラジャといい、コーヒー好きならではのディテールです。
RUNWAY LMとの格闘――120個の動画生成
Q: 映像制作で苦労したことは?

意外に苦労したのは、コーヒーカップの笑ってる口が「鼻」に認識されて、新たに口ができるとかはありましたね。あとは持ち手が2つになったりとかはよくありました。
Q: そういったミスはどう対処したんですか?
ミスを修正するためにプロンプトを直すというよりも、何回か似たような動画を生成して、良いなと思ったのを採用するという感じですね。
Q: 何本くらい動画を生成したんですか?
曲は2分18秒で、とりあえずいろいろな動画を作成し、60個くらい用意したものを切り貼りしています。没にしたのもあるので、倍は生成していると思いますが、比較的コーヒーカップだったので失敗は少なかったのかなと思います。
2分18秒の曲のために120個もの動画を生成し、その中から30-40個を厳選――膨大な作業量です。
Q: 制作期間はどれくらい?
構想から完成まで、本当に一週間くらいですね。120個生成は作業時間としては二日くらいですかね。
パズルのように組み立てる編集作業
Q: 編集で特にこだわった点は?
編集はPowerDirectorというソフトを使っています。ここはもう、集めた素材をパズルのように当てはめていくので楽しい作業ですね。音楽の切れ目と映像の切れ目がうまく合うように修正したり、フェードをかけてみたり、今回はあまり入れてませんがエフェクト入れてみたりとかですね。
Q: 制作途中で変更したことはありますか?
今回の場合は、コーヒーカップの映像を載せ始めてから、やっぱりシンガーの映像があったほうがいいということで、作り始めたというのはありましたね。やっぱり人がこっちに向いて歌っているというのはあったほうがいいかなと。
「ヤナモロジー」――日常を温かく表現する世界観
Q: 今後の課題は?
リップシンクが、人の声以外の楽器の声にも反応してる部分があって、そこは何とかできないものかなと思いましたが、どうやったらいいのかよくわからない部分で、今後の課題かなと思っています。
Q: この作品を通じて視聴者に何を感じてほしいですか?
このMV見て、まずはコーヒーでも飲もうかなと思ってもらえたらそれでもいいかもしれませんね。トラジャ買ってみようとか(笑)。それから、ひょっとして、この子も見てくれているのかななんて、ちょっとでもそんな気持ちが生まれたら嬉しいですね。そんな気持ちもヤナモロジーですね。
Q: 「ヤナモロジー」について詳しく教えてください。
ヤナモロジーはまだ完璧に定義はできていないんですが、やなも(YANAMO WORKS)が作るやなもらしさ、ジブリのジブリらしさのようなものってあるじゃないですか、言葉じゃうまく説明できないけど、そういうものにしていきたいですね。いつかは言語化できるものに。
少し暖かくて、少し不思議で、少し面白いみたいな、その日常を暖かく表現というようなことはしたいなと思います。もちろん曲やMVとしては真剣なテーマも取り上げては行きたいと思います。
Q: 今後も同じような手法で作品を作る予定は?
今後も、身近なものをテーマにした作品は作りたいです。例えばハサミの視点とか、そんな曲作ってるメジャーアーティストはいないと思うので、一種の差別化なのかなと。
作品の見どころ
コーヒーカップが宙に浮く「ひらり舞い上がる」シーン ― 重い気持ちを軽くする象徴的な表現
食器棚から見守るコーヒーカップの視点 ― 日常に寄り添う温かさ
RiKaCoの可愛らしいリップシンク ― きゃりーぱみゅぱみゅ風のポップな世界観
フォークダンスのようにくるくる回るコーヒーカップたち ― 楽しさと賑やかさの演出
トラジャの苦みと喧嘩の心境を重ねた歌詞 ― コーヒー好きならニヤリとする細部へのこだわり
使用したAIツール
SUNO AI(楽曲制作)
whimsical popスタイルの可愛らしい楽曲を生成。おもちゃのピアノの音色が印象的。
Claude(歌詞制作・スタイル提案)
対話を通じて歌詞を共同制作。曲のスタイル提案も担当。
RUNWAY LM(映像生成)
FIRST→LAST機能で静止画から動画を生成。リップシンクも実現。120本以上の動画を生成し、厳選。
nanoBanana(画像生成)
RiKaCoの様々なポーズを生成。
PowerDirector(動画編集)
30-40本の映像素材を組み合わせ、音楽とシンクロさせて完成させた。
おわりに
AIツールを巧みに使いこなしながら、わずか一週間で完成させた「コーヒーカップ」。技術はあくまで手段で、そこに込められたのは「日常の身近なものが、実は私たちを見守ってくれているかもしれない」という温かい世界観でした。
次はトラジャを淹れて、この曲を聴きながら、あなたのコーヒーカップに「いつもありがとう」と心の中で呟いてみませんか?
ぜひMVをご覧になって、あなたも「ヤナモロジー」の世界を体験してみてください。
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