死後硬直が始まっているけれど黒毛和牛になりたい。
死して直、柔らかな弾力で人々を魅了するアレをご存じだろうか。
そう、黒毛和牛である。
舌の上でメルティーキッスのように蕩けて人を惑わすその様は、ゲイナイトで一夜の夢を見せてくれる肉付きの良いGOGOボーイ(※1)のようである。意味を成していないハーネスと丈の短いホモパンツを穿いたGOGOボーイたちは、骨盤を揺らして踊り狂うのだ。
大音量のEDMと雄臭いフェロモンが回流する箱の中は、さながらPanasonicの超高級炊飯器「Wおどり炊き」である。ひしめき合うゲイたちは、精米された一流の「ブランド米」から、雑に精米された籾も混じった「二等米」、酸っぱい匂いが漂う行けず後家な「古古古米」まで多種多様で、酒池肉林な宴の終わりごろには混ぜこぜな「雑穀米」として炊き上がる。その雑穀米は、面妖なタウンハウスや月明かりに照らされた松の間(※2)で美味しく食べてもらえるか、誰にも箸をつけられずにパサパサになり文化センター通りの生ごみになるのかは誰にもわからない。食って食われるかの妖怪大戦争、リトルジャングルなのである。
酔狂で熱狂した客からパンツに渋沢栄一を捻じ込まれ、GOGOボーイは腰振りを加速させる。手垢だかなんだかわからない汚れに穢されまくった汚い渋沢栄一たちは、狭いパンツの中で富士急ハイランドのジェットコースター「高飛車」さながらの腰振りにゲロ酔いし、白目を剥いて気絶しているだろう。GOGOボーイはウィンクと挑発的な視線、ボディタッチでお返しし、イケてる客に目星をつける。イベント終了後には、お眼鏡にかなった客のスマホがブルブルブルり、ブル中野と震えるのだ。
――「GOGOボーイ「TAKUYA」さんからメッセージがあります。」
さっきまでお立ち台の上で魅惑的な顔を見せていたあのGOGO「TAKUYA」が、瞳の奥にギラギラとした熱を灯して目の前にいるのだ。生唾を飲んだ瞬間、両者のエンジンは6速に入り、部屋はあっという間に三沢光春のエルボーが決まるような熱量で埋め尽くされ、鈴鹿サーキットへと変貌する。
こうして汗と体液でベッタベタにまみれた(※3)渋沢栄一たちは、闇夜の帳代と雄の性欲や征服欲、よれた化粧下地のようなモロモロに消えていくのである。
終
制作・著作
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ⒼⒶⓎ
※1…端的に言ってしまえば客寄せの踊り子。顔が整っておりブラが必要なレベルで胸筋が発達したバルキーなマッチョであることが多い。ビクトリアステーション(ファミレス)の𝑩𝑰𝑮 𝑩𝑶𝒀をキリっとさせて、意識高い赤坂の体育系上がりのコンサルサラリーマンのような撫でつけた「震災刈り」にすれば、あっという間にGOGOボーイの出来上がりである。分かりやすく言うならば、2010年代のCanCanやJJに出てきた、量産された読モみたいな感じである。つまり、みちょぱはGOGOボーイなのだ。(※絶対に違う)
※2…細かすぎてゲイにしか伝わらない。わからないほうが幸せになれることもある。どちらもヒエラルキーの底にいるゲイには無縁である。
※3…バレリーコの歌詞を引用。

ここまでの話はすべて創作で、アイロニックな風刺はあれど悪意はない。各種ゲイナイトや実在の団体・人物を揶揄するつもりもない。なにしろ行ったことないから何もわからないし、そもそもこんな毒され陰キャなんてお呼びじゃない。GOGOボーイどころか友達もいないし、狭い空間で大音量とタールの重い煙草を浴びるのも豚箱のような人混みも、そもそも好きじゃない。
想像の世界なんだから何書いたっていいのである。言ってしまえば腐女子が描くBLみたいなものなのだ。「そんなすぐおっぱじめられるわけねぇだろ!ハァ~?てめぇのケツ穴マジックホールかよ!絶対痛いだろ!」というツッコミをしながらBLを読む腐女子も腐男子もいない。あんなにすぐおっぱじめられてブチ込めるんだったら、世のゲイたちはみんな苦労してない。今以上に倫理観が崩れているはずだ。今ですら魑魅魍魎妖怪玉手箱なのに。
𝑰𝒏𝒕𝒆𝒓𝒏𝒆𝒕の𝑫𝑶𝑩𝑼 𝒓𝒊𝒗𝒆𝒓を泳いでいると、オーセンティックでバブリーで遺伝子ガチャ大成功☆ルッキズムばっちこいゲイたちが、この世の春を謳歌している画像や動画が死ぬほど流れてくる。わかっちゃいるが、なんだかうだつの上がらない自分がどんどん惨めになってくる。ただ、そんなものは全部まやかしなのだ。そう思わないとやってられない。虚構だよ、虚構!散れ!散れ!シッシッ!とスワイプしていくに限る。汚物は消毒よ!って誰かが言っていた。
JYPの不運を全て一心に受けるITZY。とにかく曲に恵まれない。
頼むから報われてくれと思って5000年が経った。幸あれ。
もしも圧力鍋で荷崩れした南瓜みたいな私の顔面がゲイ受けする整った顔で、色素沈着だらけの業を煮詰めた傷だらけボディが、すってんつるりんピンクでキッチュなちぎり蒸しパンのような柔肌だったのなら、間違いなく片っ端から茸狩りをして山肌を丸禿にするか、ちゃっちゃかちゃっちゃかとGOGOボーイをやってるだろうし、OnlyFansだのCandyFans(※4)などのプラットフォームであられもないあんな姿やこんな姿を配信して荒稼ぎしていたに違いない。そう考えるとサル山の最底辺でもぞもぞと蠢くクソブスでよかったなと胸をなでおろしてしまう。降ろすのは初心な男の子の筆だけでいいし、私は一体何を書いているんだ。こんなのもはや怪文書である。
※4…知らないほうがいいこともある。手っ取り早く稼げるらしいけれど、確実に何かを失う気がする。
私は泣く子も黙るぐらい身体が硬い。
どれくらい硬いかというと、職場のトイレで自分の土留め色春菊を拭こうとした際に「え、腕がつるかもしれない…!?」とパニックを起こして拭きづらいと感じる程度には体が硬い。初めてこの現象に気付いた時、あまりの絶望具合にトイレで発狂して三途の川までスペースシャトルで行ってしまおうかなんて思った。こんなことに付き合わされるNASAが不憫でならない。「夢ならばどれほどいいでしょう。」と米津玄師も言っていたが、まったくもってその通りである。こんな側面から米津玄師の曲に共感するなんて思いもしなかったし思いたくなかった。玄師、ごめんな。
いくら硬いとはいえ、ここまで硬いのは何らかの初期不良の可能性すらある。母親の胎内にCPUだのメモリだのネジだのをすべて忘れてきたといっても過言では…いや過言である。大股で足を開いても、あまりの硬さにネジをきつく締め過ぎたダイソーのコンパスぐらいしか開かない。半年ぶりに開けるマニキュアの瓶ぐらい硬い。こんなに体が硬いなら殿方との閨なんて夢のまた夢である。まさかこの年になってタコやイカにジェラシーを感じるなんて思わなかった。なんだよあれ、ずるいだろ。ずるいという感情はこの場合正しくないな、そう羨ましいのだ。
私がスパイとして敵国に侵入してヘマをこいて捕まって尋問に掛けられるとする。どんな罵りも暴力も耐えられるかもしれないが、屈強な軍人二人に左右から両足を引っ張られたら一発でベンベラベラベラと情報を漏らしてしまうと思う。それぐらい硬い。硬すぎるのだ。嚙み切れない牛肉の筋ぐらい硬い。どうせ硬くなるなら違うところが硬くなってくれよ。これはまごうことなき失言である。そんな私は湿原というよりもサハラ砂漠だが。
手洗い場に置いてある嘘くさい桃の香りがするハンドソープで手を洗いながら、「死後硬直って生きていても始まっているんだ…。」と思った。何を馬鹿なと思うかもしれないが、実際問題そうなのだからそうとしか言いようがない。死後硬直って死んでから始まるもんだとおもっていた。
洗濯しまくりあげてクッタクタになったミッフィーのハンカチで手を拭きながら「ああ…黒毛和牛になりたい…。ついでにカエルに師事するとか、山室光史選手(※5)に指導されたい…。」と思い、帰り路で大塚愛のあの曲をSpotifyで検索したのだった。
終
制作・著作
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※5…2016リオ五輪で金メダルを取った体操選手。顔がどちゃくそドタイプすぎる。かわいい。善性のあるチェシャ猫感がある。筋肉も凄いしかわいい。世間は内村航平選手に沸いていたが、目もくれずにひたすら山室光史選手を追っていた。猫顔の男性にキュンとしたのは初めてだった。あまりにもハオでありLOVEでありサランヘであり愛である。ほんとうにかわいい。
♬黒毛和牛上塩タン焼680円 / 大塚 愛
当時は意味も分からずに歌っていたが、結構アダルトだ…。
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