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天門を守る星の神々「大将軍八神社」80体の神像と安倍晴明末裔の宝物【京都市上京区シリーズ/西陣・北野界隈シリーズ/京都ツウシリーズ】

千年の都・京都の北西、陰陽道で「天門」と呼ばれる地に、方角の吉凶を支配する尊い社が鎮座しています。延暦13年(794年)、平安京遷都の際に桓武天皇が都の守護を願い造営した「大将軍八神社」です。
 最大の見どころは、特定期間のみ公開される「方徳殿」に納められた80体の神像群。天体の巡りを三次元で表現した「立体星曼荼羅」は、平安・鎌倉期の造形美と、宇宙的な神秘を今に伝えています。
 2025年1月の十日戎、そして11月の特別公開。二度の参拝を通じて目にした、恐ろしくも美しい星の神々の姿。北野天満宮の喧騒から少し離れたところで、静かに、しかし力強く都を守り続ける神域の魅力に迫ります。

 宝物館には80体の神像がある有名な神社(常時開館していないので要注意)。駐車場はあるが3台ほどで入れにくい。余裕のある方は北野天満宮から歩くのが良いかも。

変更履歴

2025/12/23:初版


▼HP▼アクセス

▼見どころ

→由緒

  • 由緒としては桓武天皇が平安遷都の際に都城を護る方除けの神として奈良の春日の地より勧請したのがはじままり

  • 大将軍とは陰陽道の太白(金星)の精で方位を司る神格で、本殿手前の星印のある塔がその方位を示している。中世には八坂神社に所属していたと言われている

  • 794年、平安京遷都の際、桓武天皇の勅願によって、大将軍神を奈良春日山麓より平安京大内裏の北西角(陰陽道の天門)の地に勧請し、国家守護、国民の繁栄を祈念したのが始まり

    1. 大将軍神

      1. 陰陽道・道教の信仰による方位を司る星神

      2. この神の方位を犯すと厳しい咎めを受ける

      3. 古来、非常に恐れられてきた

      4. 荒ぶる神・スサノオを同一視されることがある

  • 社号は初め、陰陽道のお堂として大将軍堂と称された

  • 平安朝以来、王城鎮護の神として朝廷や武士の篤い祟敬を受け、その後民間にも拡大

  • 鎌倉期から戦国期には京都、上・中・下の内の上大将軍堂として信仰を仰がれた

  • 応仁の乱の荒廃後に神社として復興

  • 村の氏神としての信仰も始まり、江戸時代に大将軍神を始め、暦の神八将神とスサノオノや、その御子八神が習合

  • 聖武・桓武両天皇を共にお祀りし、大将軍八神宮と改称

  • 白虎大将軍の通称で京都西方守護の信仰や、「方除厄除十二社参り」の一社として参詣を集める

  • 神仏分離令や廃仏毀釈運動の影響により、現在の信仰形態となる

  • このときにスサノオ、暦神八神、御子五男三女神、桓武天皇が合祀され、これ以降現在の大将軍八神社と称するようになった

  • 現在も建築・移動・婚姻・旅行・交通など毎日の生活に於いて、あらゆる厄災から人々を守護する方除・厄除の神として信仰を受けている

→境外/一の鳥

2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年11月:特別公開
2025年11月:特別公開
2025年11月:特別公開
2025年11月:特別公開

→境内:参道から拝殿・本殿

2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年11月:特別公開
2010年代
2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月


2025年1月
2025年1月

→境内:拝殿・本殿

2025年1月
2025年11月:特別公開
2025年11月:特別公開
2025年1月
2025年1月
2025年1月

 祭神は次の通りで多し・・・。

  • 大将軍神 :スサノオ、天津彦根命(アマツヒコネノミコト)

  • 大歳神:天忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)

  • 大陰神:イチキシマヒメノミコト

  • 歳形神:田心姫命(タキリヒメノミコト)

  • 歳破神:湍津姫命(タキツヒメノミコト)

  • 歳殺神:天穂日命(アメノホヒノミコト)

  • 黄幡神:活津彦根命(イクツヒコネノミコト)

  • 豹尾神:熊野樟日命(クマノクスビノミコト)

  • 左客人宮→聖武天皇

  • 右客人宮→桓武天皇

2025年1月
2025年11月:特別公開
2025年1月

 拝殿・本殿裏にも摂社・末社がありますが、それは後述するとして、先に拝殿・本殿をぐるっと回った写真をどうぞ。

2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月

→境内:拝殿・本殿周辺

2025年1月
2025年1月
2025年11月:特別公開
2025年1月
2025年1月

 表面に深い溝が刻まれたこの石は、かつて京都と大津を結ぶ街道などに敷かれていたもの。ぬかるみや坂道で牛車の車輪が沈み込まないよう、石に溝を掘り、現代の「線路」のような役割を果たしていました。文化2年(1805年)頃、心学者の脇坂義堂らが私財を投じて整備したといわれる、当時の物流を支えた知恵の結晶です。

 天体の巡りという壮大な宇宙を祀るこの地で、かつての京都の暮らしを足元で支えた「道」の記憶に触れる。そんな新旧の歴史の重なりも、この神社の奥深い魅力のひとつです。

2025年11月:特別公開
2025年1月
2025年1月
2025年1月

→摂社・末社「大杉社/豆𠮷社」一願成就

  • 大杉社:大杉大明神(産土神。地の神・巳さん)

  • 豆𠮷社:豆𠮷明神(大杉大明神の眷属)

2025年1月【大杉社】 大杉大明神さん

 この地の守護神(産土神)であり、「地の神・巳(み)さん」として古くから地域の人々に親しまれてきました。

 かつてこの地にあった巨木に由来するとされ、現在は「一願成就」の神様として篤い信仰を集めています。隣には、大明神の眷属(使者)である豆吉明神を祀る「豆吉社」が寄り添うように並んでいます。

 天体の巡りを司る華やかな星神たちの影で、私たちの足元と日々の暮らしを地から支え続けてくれる「巳さん」。本殿をぐるりと回り込んだ先にあるこの清浄な空間は、自分自身の原点に立ち返り、心静かに一つの願いを託すのに最適な場所です。

2025年11月:特別公開
2025年1月
2025年11月:特別公開
2025年11月:特別公開
2025年1月

 「地の神・巳さん(大杉大明神)」の眷属(神の使い)としてお仕えし、主祭神と私たちを繋ぐ橋渡しのような役割を担っています。「豆吉」という親しみやすい名には、どこか小さな願いも大切に拾い上げてくれるような温かみが感じられます。大杉社と合わせて参拝することで「一願成就」の信仰はより深まるとされ、地元の参拝客からも長く愛されてきました。星々の神々が司る壮大な運命の巡りの中で、足元の暮らしに寄り添い、素朴な祈りを優しく聞き届けてくれる。そんな、神域の懐の深さを象徴するような大切なお社です。

2025年1月
2025年1月

→宝物館(5月1日~5日、11月1日~5日のみ公開)

 神像はすべて平安時代から鎌倉時代にかけてのもの。

2025年1月

当殿には、八十体の大将軍神像群(重要文化財)が立体星曼荼羅様に安置されています。
ご神像は木像で、大将軍信仰が最高潮に達した平安時代中期から鎌倉時代(10世紀~13世紀)にかけて奉造。
像の形式は武装像五十体、束帯像二十九体、童子像一体となっています。
他、殿内には陰陽道安倍家、又、江戸幕府天文方・渋川春海などに関わる古天文暦道関係資料(京都府指定文化財)や、平安時代より現代に亘る数多くのご神宝類を保存展示しています。

公式HP:当神社について|大将軍八神社│方除・厄除の大将軍神
2025年1月
2025年11月:特別公開

 2025年11月にようやくタイミングが合いました。後述します。

→巳

2025年1月
2025年1月

→摂社「歳徳金神社」

方位の「光と影」を象徴する、極めて陰陽道らしいお社です。ここに祀られているのは、その年の「恵方」として喜ばれる吉方の神・歳徳神と、一方で凄まじい祟りをなすと恐れられる凶方の神・大金神(だいこんじん)。対極にある二神が一つのお社に並ぶ姿は、吉凶が表裏一体であることを物語っています。

 恐ろしい存在を単に遠ざけるのではなく、正しく祀ることで災いを鎮め、守護へと変えていく。そんな、かつての人々の切実な知恵と精神性が息づいています。2025年の参拝でも、天体の巡りという逃れられない運命に対し、敬意を持って調和しようとするこの社の静かな佇まいに、深い感銘を受けました。

2025年11月:特別公開
  • 歳徳神:吉方を司る神

  • 大金神(だいこんじん):凶方を司る神

2025年1月
2025年1月
2025年1月

→末社「五社」

 日々の暮らしに身近な御利益を授ける五つの末社の合祀殿です。2025年1月の「十日戎」に訪れた際、幸運にも扉が開かれ、中の貴重な神像と直接対面することができました。祀られているのは、商売繁盛の「エビス」、産業の「イナリ」、学問の「カンコウ(道真)」、長寿・金運の「フクロクジュ」、そして開運の「ダイコク」の五神。方位を司る壮大な星神だけでなく、こうした親しみ深い神々が地を固めるように都を守っています。

 十日戎の特別な日に、暗がりの奥から現れた神像たち。その静かな眼差しに、京都という街が育んできた信仰の層の厚さを改めて実感した、誠に有り難いひとときでした。

2025年11月:特別公開

右から順に次の通りです。

  • コトシロヌシ(エビスさん):商売繁盛、漁業の信仰

  • 稲荷神(イナリさん):産業、農耕の信仰

  • 菅原道真(カンコウさん):学業の信仰

  • 長者神(フクロクジュさん):金運、長寿の信仰

  • 大物主神(ダイコクさん):交通、開運招福の信仰

2025年1月

 十日戎に来たら扉が開いており、ここに神像が・・。

2025年1月
2025年1月 コトシロヌシ(エビスさん):商売繁盛、漁業の信仰
2025年1月
2025年1月 稲荷神(イナリさん):産業、農耕の信仰
2025年1月 菅原道真(カンコウさん):学業の信仰
2025年1月 大物主神(ダイコクさん):交通、開運招福の信仰
2025年1月 長者神(フクロクジュさん):金運、長寿の信仰
2025年1月 長者神(フクロクジュさん):金運、長寿の信仰
2025年11月:特別公開
2025年1月

→末社「三社」

 人生の岐路や日々の彩りを守護する三尊の神々を祀る合祀殿です。向かって左から、女性守護の信仰を集める「命婦神(オキツネさん)」、芸事や才知を司る「宗像三女神(ベンテンさん)」、そして道開きと道中安全を導く「猿田彦神(サルタヒコさん)」が並びます。

2025年11月:特別公開
  • 命婦神(オキツネさん):女性守護の信仰

  • 宗像三女神(ベンテンさん):芸事の信仰

  • 猿田彦神(サルタヒコさん):道開きの信仰

2025年1月
2025年1月
2025年1月
2025年1月 命婦神(オキツネさん):女性守護の信仰
2025年1月 
2025年1月 宗像三女神(ベンテンさん):芸事の信仰
2025年1月
2025年1月 猿田彦神(サルタヒコさん):道開きの信仰
2025年1月

▼宝物館:圧巻の神像たち(2025年11月)-立体星曼荼羅-

 圧巻の80体の神像!!だが厳密には76でした。ただ、前述の通り社にもいるので80体なんでしょうね。大将軍神像八十躯を「立体星曼荼羅」というようで、密教の「金剛界開曼荼羅」と「胎蔵界曼荼羅」に繋がることから神仏習合を色濃く残してものだなと思った。

  • 立体星曼荼羅について

    • 大将軍八神社は、陰陽道の方位神「大将軍神」を祀る神社であり、「立体星曼荼羅」は陰陽道と天文思想が融合した造形である

    • 平安京の守護としての星信仰(北極星・北斗七星信仰)を表している

    • 「立体曼荼羅」は、仏教では平面に描かれる曼荼羅を三次元的に神像で構成したものであり、東寺(私のNOTE)の影響を受けたのかもしれないし、もしくは逆なのかもしれない

  • 神像について

    • ここの神像は大きく分けて4つで、大将軍と童子と平安の衣装を被った「衣冠束帯像」、鎧甲冑をまとった「武装神像」となっている

      • 仏像で中尊に当たる場所には、北極星を表す「大将軍」がおり、前にずらっと横に、見慣れた衣冠束帯の神像が安置されている

        • この神像は7体あり、北斗七星を表すような配置で良いだろう

        • 北斗七星像の背後に北極星=大将軍が位置するのは、「北極星を中心に七曜がめぐる」天体観を具現化したもののようだ

      • 四角には仏像で言うと「四天王」にあたる大きな神像立像が安置している

        • 四隅の武装神像は、四方を護る方位神(歳徳神・太歳神など)に対応する可能性も考えられる

      • 大将軍と北斗七星の前には狛犬ならぬ狛神像がいる

        • 狛神像の1体は童子像で、童子はこの一体だけ

        • 童子は眷属神とし、これだけ残ったとする説がある

          • 私見だが仏教との繋がりを感じているので以下の可能性を考える

            • 2階に不動明王立像が安置されていたので、その脇侍だったのではないかとも思う(不動明王の脇侍である矜羯羅童子・制吒迦童子のいずれか)

            • 神社名にもある「八」から八大童子

            • 渡海文殊菩薩と同じく1体

 私は一番好きだったのは、左手の最上段中央の神像ですね。熊野速玉大社(私のNOTE)・熊野那智大社(私のNOTE)・松尾大社(私のNOTE)相当の神像の良さ出ている気がした。中央部分の木材を利用したのかひび割れがあったが、雰囲気が良い。

 2階には安倍晴明で有名な陰陽道の宝物もあった。もちろん、安倍晴明の末裔である土御門関係の宝物もあり、分かる人は楽しめるだろうか。そして、ここに平安時代の不動明王立像が安置されているのも面白い。

安倍晴明の末裔=土御門家とは

  • 安倍晴明(921–1005)以後、安倍氏は陰陽道を世襲

  • 室町期に「土御門(つちみかど)家」と称し、
    天文・暦・方位・占筮を統括する朝廷の公式家となる。

  • 江戸時代には幕府公認で、全国の陰陽師を管轄する立場に。

宝物の中核①:古天文・暦道資料(京都府指定文化財)

宝物館で最も学術的価値が高いのが、以下の系統です。

● 暦(こよみ)・注進暦

  • 年ごとの吉凶・凶方・歳破・大将軍遊行方位を記した暦

  • 婚姻・造作・移動・葬送の可否判断に使用

  • 陰陽師の“実務マニュアル”とも言える存在

● 天文図・星図

  • 北極星・北斗七星を中心とした宇宙観

  • 天体の運行と国家・天皇・災異を結びつける思想

  • 宝物館の**立体星曼荼羅(80体神像)**と思想的に直結

宝物の中核②:陰陽道の秘儀・占術関係資料

● 占筮(せんぜい)・式盤・符

  • 方位判断・日時選定に用いる占術具

  • 陰陽道が「呪術」ではなく、体系化された判断技術であったことを示す

● 護符・祈祷関係文書

  • 大将軍神・歳徳神・金神などへの鎮祭文

  • 「恐ろしい神を排除せず、正しく祀る」思想が明確

宝物の中核③:渋川春海(安井算哲)関係資料

  • 江戸幕府天文方の祖

  • 土御門家と密接に協力し、暦を改暦

  • 中国由来の暦を、日本の実測天文へと近代化

▼メディア情報

これ以降は本NOTEの下にあるコメント欄で追記します。

▼旅行記

京都初詣2025/冬の京都/京都ツウ参り&パワースイーツ/吉野太夫[京都左京⑯中京⑩右京⑬西京⑥下京④]|やんまあ@旅行記

京都上京⑥西京④◆桂離宮&北野天満宮の梅

京都旅行記

▼セットで行く旅行記

京都ツウしか知らない場所!京都の藤/藤原道真💛明子の家/淀君念持仏/松尾大社展へ!◆京都伏見山科⑧中京⑪|やんまあ@旅行記 (note.com)

▼セットで行くところ

▼仏像展



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