工業技術院新人研修(1979年4月)
工業技術院の各研究所の研究室を訪問する「演習」。1週間に亘り、機械技術研究所の新人研究職7名でスケジュールに従って研究室を訪問する。
当たった研究室は大変だ。
電総研
電総研では「自然言語を認識する」研究室が担当だった。
研究内容の紹介
研究者がマイクに向かって「机があります」と言うと、計算機が「わかったゎ」と女性の音声で答えて、緑色の軌跡が記憶されて残るディスプレイに机の正面図を描く。
次に「机の右に本棚があります」と言うと、「わかったゎ」と言って、右隣に本棚を描く
さらに、「机と本棚の間に袖机があります」と言うと、「わかったゎ」と言い、机、本棚を描き、間に袖机を描こうとするが、図が重なって失敗する。
画面が消えた。
研究者がとても嬉しそうに笑っている。
しばらくして、正面図が描き直される。
今度は机、本棚、袖机の寸法が変化し、うまく画面に収まっている。
研究者「このように、この人工知能は、失敗から学んで絵を描き直す能力を持っているのです」と、得意顔で説明してくれた。
プログラム作成演習
まだ導入されたばかりのCRTコンソールが各自にあてがわれ、「1時間で自分の好きなプログラムを作ってください」と指示が出た。
自然言語処理研究室だったので、「人工無能」を作成することにした。
以下の「人工無能医者」があることは、すでに知っていた。
***人工無能医者***
人工無能医者「今日はどんな症状ですか?」
患者が何を答えても
人工知能医者「それで?」
数回の同じ問答の後
人工無能医者「病気ではありません」
患者「ありがとうございました」など、何を返しても
人工無能医者「おだいじに」
******
私の創った人工無能
「はじめまして。私は人工知能です。あなたの質問3つにお答えします」
IF…..THEN WRITE… 文が数十連続する
質問に「neme」が含まれれば「My name is Tomoaki YANO. 」
質問に「born」が含まれれば「I was born in Wakayama in1952. 」
3問終了すると「お付き合いしてくださってありがとうございました」
で終了
制限時間までひたすら文を追加する
私のプログラム披露で、研究者の質問が立て続けにヒットし、プログラムが終了した。
驚いたことに、同僚も含めてそこにいた全員がキツネにつままれたような顔をしていた。
月面着陸ゲーム
その研究室には「月面着陸ゲーム」が入ったミニコンピュータがあった。
時間を持て余した担当研究者が「月面着陸ゲームを順番に試してみよう」と提案し、前の6人は着陸船が月面に激突したり、燃料切れで宇宙の彼方に飛んでいった
次はブロック崩しとインベーダーゲームで鍛えた私の番。
慎重に逆噴射して減速し、姿勢を変えていると、月面と平行に宇宙船が漂いはじめた。
かなりの時間漂っていると、なんと!左端から「マクドナルド」が現れた。
「何じゃこれ、あそこに着陸しよう」と姿勢を変えると、同僚よりも指導の研究者の方が興奮している
「こ、これは! ひょっとするとひょっとしますよ!」
「ま、まさか!」
宇宙船はマクドナルドの近くに軟着陸した
すると、宇宙船のタラップから宇宙飛行士が降りてくるではないか!
宇宙飛行士はマクドナルドに入店し、
画面に「congratulations!」の文字が出た
追記:
— YANO Tomoaki@MAGDA2022in鹿児島2日目OS8-11 (@yanotomoaki) October 22, 2022
同じ演習で、月面着陸ゲームにトライして、
初見でマクドナルド近傍に着陸
宇宙船から下りてマックに行く宇宙飛行士が現れ、
皆を驚かせたのも私です https://t.co/8oPMQOi8Wf
おわりに
研修では製品科学研究所や微生物工業研究所など、つくばにある研究所を一通り回った
人間型ロボットの感想として
機械技術研究所はゴツくて力持ちの「鉄人28号」、

電子技術総合研究所は知能が発達してスマートな「鉄腕アトム」を目指しているイメージがあった。

製品科学研究所でもロボット研究を紹介された記憶があるが、内容は忘れてしまった。
工業技術院新人英語研修(1979年)
TOEIC判定C+の工技院職員を集めた英語研修が
2週間に亘って東村山研修所で行われた。
昔は4週間だったが、短縮されたとのこと
授業
英会話講師は、全員英国人で、富士通など大手企業の研修所でも英語講師を務めている。
オール英語の授業で、実用英会話のテキストを使用する。
商談で使用できるレベルに英語力を引き上げるのが目標
講義は聴き取り、英作文、英会話がある。
研修所で朝9時から午後4時まで2時間x3単元の授業。
全て宿題が出る。
講師陣
講師はクセのある外人が揃っていた。
講師A:「おれは、バラの漢字が書ける。お前たちの中に薔薇を書けるやつがいたら出てきて板書しろ」など、毎回漢字ネタを振る
講師B:娘にカードを持たせたら、百貨店の品物がFREEと勘違いして「魔法のカードだ」と喜んでいた、など、長々と雑談する。娘は有名な芸能人
講師C:映画好きで、映画のビデオを流して一部を聞き取り練習するが、映画の評論・解説がやたら長い
みな、「東村山の英語研修は、企業研修と比較して毎年、皆飲み込みが早い」とお世辞を言っていた
講義後
授業が終わり、夕食の後、研修所のバーで酒を飲みながら雑談する。酒は激安。最終日にまとめて支払うシステム。
みな、バーで雑談していたのに、翌朝には宿題がしっかり仕上がっている。講義が始まると、どんな問題にも誰かが手を上げて答える。
自分が劣等生で何も知らないのだと思い知らされる。
今まで、真面目に勉強すればすぐに成績上位者になっていた私は、「いくら勉強しても周りより上達したという感覚がない」初めての経験をした。
ある晩、バーで受講生の一人が話しかけてきた。
受講生:矢野さん、みんなすごく優秀だと感じていませんか?
私:そのとおり!いくら勉強しても順位が上がらない
受講生:でもね、みなTOEICで C+の成績の者が集められているんですよ。
ぼくは英単語は自信があるけれど、全く聞き取りができない。耳がいい矢野さんがうらやましいですよ
なるほど!「自分一人 vs 自分以外全員」で能力比較をするから自分に劣等感を持つのかと納得できた。
講義終了時にTOEICを受験して研修が終わるのだが、みな、200点ほど成績が上がっていた。
おわりに
英語研修は充実して楽しかった。
東村山研修所は課長研修など、さまざまな研修に使われているが、
私はその後東村山研修所に限らず、
泊まり込みの研修を受けることはなかった。
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