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摂津市の下水道事業の経営と道路陥没




午後3時 道路に3m四方の穴が開く



令和8年5月10日午後3時、大阪府摂津市の千里丘三島線で道路が陥没しました。縦3m、横3m、深さ3m。幸い人的被害はなく、市は速やかに通行止めと復旧対応を行いました。

この事故は、ある意味で「見えないインフラ」の問題を地表に浮かび上がらせた出来事でした。私たちが日常的に使う下水道は、地面の下で静かに機能し続けています。

しかし、その多くは整備から数十年が経過しており、老朽化の進行は日々積み重なっています。摂津市の事例を通じて、下水道事業の経営状況と施設の現状を、公表されているデータに基づいて整理してみます。


何が破損したのか 事故管路の構造

市の公表によれば、破損したのは昭和59(1984)年完成、口径1,500mmの合流管です。マンホールとの接続部の充填コンクリートが剥落し、直前の降雨で隙間から土砂が流入しました。

この管路にはいくつかの構造的な特性が重なっていました。
第1は、合流式であることです。汚水と雨水を1本の管で流す方式で、降雨時に流量が急激に増加します。この流量変化が管内の気液界面を攪拌し、汚水中の有機物から硫化水素を発生させます。硫化水素は空気中で硫酸に変わり、コンクリートをじわじわと腐食させるメカニズムが知られています。

ふたつめは口径1,500mmという大径管であることです。管の内部には気相空間——空気の層——が広く確保されており、硫化水素が滞留しやすい環境が長年続いていた可能性があります。

第3は、マンホール接続部という破損箇所です。複数の管が集まるマンホールは流れが乱れやすく、硫化水素の発生が活発になりやすい構造です。接続部の充填コンクリートは本管より薄く、腐食の影響が先に現れやすい箇所とされています。

完成から41年が経過しており、こうした腐食の進行が一定程度蓄積していた可能性は否定できません。

一方で、市のストックマネジメント(SM)計画の中間見直し(令和6年度)では、全体的な管渠の劣化状況は国の予測を下回る良好な水準にあると評価されており、今回の破損箇所の詳細な経緯については今後の調査結果が注目されます。

下水管老朽化から道路陥没が起こるメカニズム

摂津市 下水道事業の沿革

摂津市の下水道事業は昭和44(1969)年度に開始し、現在は地方公営企業会計(全部適用)のもとで運営されています。

行政区域内人口は約8.6万人で、汚水は大阪府が管理する安威川流域下水道(大阪府立中央水みずきセンター)で処理されています。市内に終末処理場を持たない「流域関連公共下水道」という形態が、費用構造に一定の影響を与えています。

管渠の総延長は約246kmで、安威川以北が合流式、以南が分流式という二重構造になっています。令和5年度末時点で下水道人口普及率は99.3%、水洗化率は96.4%に達しており、インフラとしての整備水準は高い状況です。

一方で、今回の事故管路のような昭和40〜60年代に整備した初期管路が今後一斉に耐用年数を迎える局面が近づいています。


経営指標で見る現状

令和5年度決算をもとに、主要な経営指標を確認します。

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