国内AIエージェント動向(2026/6/25号)
更新日:2026/6/25
エグゼクティブサマリー
2026/6/24は、国内AIエージェント活用がPoC段階から実業務の実行基盤へ移行していることが鮮明になりました。DevinやADFは開発工程の自律化を進め、DeNAや零壱製作で開発期間短縮や全社標準化が具体化。RCS/SMS、LINE販促、Yahoo!ショッピングでは、AIが提案だけでなく配信・探索・購買支援まで担い始めている。一方、OktaやWorkatoの事例は、権限管理、監査、実行制御を分離する企業向けガバナンスの重要性を示した。

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1️⃣ 自律型開発AI「Devin」、国内ユーザー数が前年比1582%増 DeNAでは約3000人が利用
📎 出典:Cognition AI Japan事業戦略説明会(ITmedia AI+)
Cognition AI Japanは6月24日の事業戦略説明会で、自律型ソフトウェア開発AI「Devin」の国内利用拡大を公表した。2026年5月時点で国内ユーザー数は2025年比1582%増、導入企業数は140%増と説明。DeNAでは約3000人が利用し、レガシー刷新プロジェクトを従来半年想定から約1カ月で完遂した事例を紹介した。Devinはクラウド、IDE、CLIから成り、設計・実装・運用までを一気通貫で支援し、各エージェントが独立したMicroVM上で作業する構成などにより、補完型支援から「自律型エンジニア」への移行を示す国内事例となっている。
2️⃣ AI CROSS、AIエージェントからRCS・SMS配信を直接操作できるMCPサーバーを提供
📎 出典:AI CROSS株式会社 プレスリリース
AI CROSSは法人向けRCS/SMS統合配信基盤「絶対リーチ!RCS」のMCPサーバーを2026年6月24日に提供開始した。Claude Desktop、Claude Code、GitHub CopilotなどのAIエージェントに自然言語で指示するだけで、配信送信、キャンセル、受信取得、配信結果検索、URLクリック数や月別レポートの取得など8種のAPIを通じて送信・管理・分析を完結できる。契約者はAIエージェント側の設定ファイルに接続情報を追加するだけで利用可能で、顧客接点の実行系APIがMCP経由で開放されることで、生成AIが分析・提案にとどまらず外部コミュニケーションを直接操作する段階が到来したことを示す。
3️⃣ ナレッジセンス「Cowork」、ブラウザ業務のテンプレート保存と定期実行に対応
📎 出典:株式会社ナレッジセンス プレスリリース
ナレッジセンスは法人向けAIエージェント「ChatSense」のブラウザ操作エージェント「Cowork」に、よく使う指示と開始URLを保存し、任意のスケジュールで自動実行できる「作業テンプレート」機能を追加した。毎日・毎週・毎月などの定期的なブラウザ業務を、保存済みプロンプトの呼び出しだけで自動化でき、定期集計や転記といった反復作業を自然言語で構築したテンプレートに任せられる。許可サイト限定の自動化や高リスク操作時のユーザー確認、管理者向けドメインブロックリストなど既存のセキュリティ機能とも連動し、自律性を高めつつ実行範囲と承認点を制御する企業向けエージェント運用が具体化した。
4️⃣ 零壱製作、AI駆動型開発基盤「ADF」を全社導入 開発期間を最大50%短縮へ
📎 出典:株式会社ニーズウェル プレスリリース
ニーズウェル子会社の零壱製作は、SOTATEK JAPANのAI駆動型ソフトウェア開発フレームワーク「Agentic Development Framework(ADF)」を全社導入した。AIエージェントが要件定義、設計、コード実装、テストなど各工程を自律的に支援し、人とAIの役割分担により開発の迅速性と品質の両立を図る。適用案件では開発期間を従来比で最大50%短縮する見込みで、仕様不備やコード問題の早期検出、品質の安定化、コスト最適化を計画的に測定し、受託開発と自社プロダクトを横断する全社標準としてAI駆動型開発を推進する方針だ。
5️⃣ サブスクライン、店舗のLINE販促をAIエージェントで設計する3カ月実証を開始
📎 出典:株式会社サブスクライン プレスリリース
サブスクラインは、公式LINEの友だちが300人以上いる来店型店舗を対象に、AIエージェントによるLINE施策を3カ月間運用する実証プログラムを開始した。AIが顧客・売上データを基にあいさつ文、ステップ/セグメント配信、クーポンなどを設計し、店舗の確認・承認後に配信する。予約数・来店数・客単価・リピート率・クリック数・ブロック率などを観測し、成果と顧客反応を同時に検証。実名事例としての掲載協力を条件に初期費用(通常10万〜50万円、最大50万円)を免除し、最終実行権限は店舗側が持つHuman-in-the-loop型の商用PoCとなっている。
6️⃣ Okta、AIエージェントの接続権限を一元管理する「Cross App Access」を拡大
📎 出典:Okta Japan株式会社 プレスリリース
Okta Japanは、AIエージェントと業務アプリ間の接続をアイデンティティ境界内で一元管理する標準プロトコル「Cross App Access(XAA)」のエコシステム拡大を発表した。Anthropic、Canva、Cloudflare、Docker、Slack、Zoomなど25社以上が統合に参画し、静的APIキー依存を減らし中央ポリシーに基づくスコープ限定トークンと監査ログで権限管理を強化する。XAAはOAuth拡張として設計され、MCPの「Enterprise-Managed Authorization」拡張にも正式採用済みで、Okta顧客には8月、Auth0開発者には7月末から順次利用可能となる予定だ。
7️⃣ 日本IBM、AIエージェントの開発から業務実行まで担うBPO拠点を北九州に新設
📎 出典:日本IBM ニュースリリース
日本IBMはIBM九州DXセンター内に「AIエージェント・オペレーション・ハブ」を新設し、企業の間接業務に対するAIファーストBPO拠点として、業務分析からエージェント設計・開発・保守・運用、実業務の実行までを一体提供する。業界・業務別100種類以上のAIエージェント・アセットや、既存マニュアルなどからエージェントを自動生成する「AI Agent for BPO」を活用し、間接業務の50%以上の自動化を視野に業務変革を推進する。PoC納品にとどまらず継続運用責任も負う点が特徴で、北九州に加え札幌・沖縄などBPO拠点への拡張も計画されている。
8️⃣ Yahoo!ショッピング、メモから商品探索をバックグラウンド実行するAI機能を開始
📎 出典:LINEヤフー株式会社 プレスリリース
LINEヤフーは「Yahoo!ショッピング AIエージェント」の機能拡充第2弾として、欲しい物や目的をメモしておくだけでAIが商品候補を提案する「AIお買い物メモ」をアプリで順次提供開始した。テキスト・音声・写真・検索履歴・商品詳細ページなどからメモを登録すると、AIがバックグラウンドで商品を探索し、通常数分後に通知する。提案後は商品比較から購入までYahoo!ショッピング内で完結し、同一ストアを優先して送料負担も考慮する。「沖縄旅行に行きたい」などの目的から必要な商品群を展開でき、トラベル・天気・地図との連携を含む「Agent i」ブランド下のエージェンティックな買い物体験の具体実装となっている。
9️⃣ アオラナウとWorkato、判断・実行・記録・監査を分離したAIエージェント構成を公開
📎 出典:アオラナウ株式会社 プレスリリース
アオラナウはWorkatoと共同で、AWS Summit Japan 2026において企業向けインシデント対応AIエージェントのデモ展示を行う。Claudeが自然言語の理解・判断を担い、Workatoが業務システムへの実行制御、ServiceNowが処理結果の記録、AWSが監査ログ管理を担当する構成を実演し、判断・実行・記録・監査を分離した安全な接続方式を紹介する。「暗黙知をAI資産に。」をテーマに、規程や履歴、SLA、例外条件など担当者の判断基準を再利用可能な「Skill」として構造化する「SkillOps」の考え方も提示し、生成AIをチャットにとどめず本番業務へ定着させるマルチシステム設計を示す。展示は6月25日・26日に幕張メッセで行われる。
🔟 GMO、8300人規模のAIエージェント活用を支える音声入力環境を全社展開
📎 出典:GMOインターネットグループ プレスリリース (プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)
GMOインターネットグループは、約8,300人のパートナーを対象にAI音声入力で生成AIに指示することを推奨する「プロジェクト・ウィスパー for AI byGMO」を2026年6月22日に開始した。オフィス全席に専用マイクを順次配置し、「Typeless」「Aqua Voice」などの音声入力ツールでテキストより情報量の多いプロンプトを送る環境を整備する。背景には、生成AI業務活用率97.8%、AIエージェント活用率71.4%、1人あたり月約53.9時間削減という社内実績があり、AI音声入力をインターフェース基盤として業務プロセス再構築と業務エージェント実装を並行推進し、「8,300人で8.3万人分」の生産性とハイパーオートメーション化を目指す。
総合考察
2026/6/24のトピックから見えた特長は、AIエージェントが「便利な補助ツール」から「業務プロセスを動かす主体」へ進化していることが読み取れました。特に開発、BPO、マーケティング、EC、顧客接点領域で、自然言語指示を起点に実行・記録・分析までを連結する流れが強まっている。同時に、実行権限をAIへ渡すほど、認証、監査ログ、承認設計、操作範囲の制限が競争力の前提になる。今後はAI導入そのものよりも、既存業務をどこまでエージェント前提に再設計できるかが企業間格差を生みそうです。
今後注目ポイント
AIエージェントの本格導入では、導入数や利用率よりも、どの業務判断をAIに委譲し、どこに人間承認を残すかの設計力が重要になる。
MCPやXAAの広がりにより、AIが外部サービスを操作する前提が整いつつあり、権限管理と監査の標準化が急速に競争領域化する。
開発AIの成果は単なる工数削減だけでなく、レガシー刷新や品質安定化など、これまで後回しにされてきた技術負債解消に波及しそうだ。
LINE、RCS、ECなど顧客接点でのAI活用は、配信内容の最適化から実行自動化へ進み、マーケティング運用の人員構造を変える可能性がある。
BPO拠点や全社音声入力の事例は、AIエージェントの普及がツール導入ではなく、働き方と業務設計の再編として進むことを示している。


