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いつか訪れた美術館へ

物事は見方を変えれば、その形も変わりゆき

かつて見た風景も、同じようで、目に留まらなかった
ものもある。あいにくの空の下、奈義町の旅は続く。
靄がかる空気を抜け、奈義町といえばの建物へ向かう。
偉大な建築家が残した、この地と強く結びつく建物へ。


もう一度、道路を渡り、えんじ色と黒と
筒状の形が記憶に残る建物へ。色と形をもう一度なぞるように
あの時の浮き立つような高揚感を思い出す
筒状の建物は今もしっかりとそこに建ち
当時の感動を呼び起こしてくれる
奈義現代美術館はアートと建物が一体となる建物で

その筒の中の空間にも、もう一度会いに来た

以前に訪れた時は、まだ小さかった子供を追いかけるように
今回の旅は、その時の記憶をなぞるように
新設された石の彫刻も、当時は目に映ることもなかったはず

それも今では旅の目的のひとつ。旅するほどに視点は

移ろい変わっていく。彫刻と敷地と
建物の特徴的な色と形を確かめるようにして
敷地に設けられた彫刻群は、アーティストインレジデンス
という制度で、芸術家が街に入り込み製作したもの
散りばめられた彫刻作品と、建物の関係性も楽しみながら

建物自体がアートと深く結びつく奈義現代美術館へ

石の彫刻は様々な形で
それぞれで建物との関係性を作っている
などと敷地をめぐり、美術館の開館まではあと少しで
期待を胸に、待つことも大切なひとときに

辺りは靄に包まれていても、私の心は晴れるようで

黒いタイルの質感に触れながら
森の芸術祭の場にもなる奈義現代美術館の
アプローチのガラスは風景を映し、私の記憶に語りかけら
以前に訪れた時より、建物の素材感や色や形もより明確に
建物を設計した建築家と、その場を舞台とする芸術家の
作品に込められた思いをたどるように
建物のエントランスを進むと、正面で出迎えてくれるのは

建物を設計した磯崎新によってデザインされた椅子

それはかつて訪れた時もその場所にあり

その偉大な建築家の姿を思い起こさせる


16年前に訪れた建物は、今もそこに建ち続けている。
社会は変遷し、風景は移りゆくけれど、そこに変わらぬ
姿があることに感動を覚える。以前は、まだ小さかった
子供を追いかけるように、建物をめぐったことを思い
出す。人生は一瞬の繰り返しで、その記憶の積み重ねが
今の私を作っている。その連続に感謝しつつこの先も。


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