散りばめられたモチーフは島の風景の一部へと
旅を続け、月日を経て、視点を重ねることで、風景の
捉え方も変化していく。美しいもの、雑多なもの、
計り知れないもの、懐かしいもの。目の前の風景は、
今を映しながらも、時の経過とともに、自分も対象
も変化して、やがて過去のものとなる。旅はその
瞬間を切り取り、一期一会の風景を描いてくれる。

日本各地から集められた素材は、それぞれに記憶を帯びて

直島で愛される建物として風景を紡ぐ

色、形、自然、様々なものが入り混じる外観は

時とともに、風景となじむようにして

建物は緑を包み、包まれて

多国籍なパッチワークの外観を生み出している

建物に張り巡らされる記憶の形

この建物は美術作品でありながらも

島民と旅人のための銭湯でもある

いつものフォントデザインに、ここではハートも
何事も愛する気持ちを持ち続ければ

幸せはいろんな形で、眼の前に現れてくれるに違いない

アートでもある銭湯の営業時間は13時からで

外観だけでも、アートの気配に思う存分に浸かる

建物の至るところに込められたアートのかけら

港の風景とつながるなじみの形

赤と青のカーテンに緑の扉。建物は色とりどりに華やかに

鉄の円柱が支える屋根の軒下には象の写真

対面の白いタイルの柱の側にも同様に、象といえば
空からやってきて銭湯に設置された象のオブジェ

建物をまとう素材は、色や形を自由に変えながら

壁面を色づけ、建物の記憶をつむぐ。選ばれた色や形は

芸術家の過去から現在への視点の上にある

ガラスのショーケースのサボテンは

建物の囲む無機質なモノと緑の間にある

外壁に張り合わせたタイル、瓦、石、陶板は

そこにあることが必然かのように、一つの風景を形作る

情報量の多さに、ここが銭湯であることを忘れそうにも

なるが、屋根の上にのびるサインの赤い、ゆの文字に
また心が浮き立つように、わくわく感が溢れ出す
竣工から時を経て、建物は緑と一体となり
作品を手掛ける大竹伸朗氏が、つむぎ続けた
形の記憶が、I♥湯にも思う存分につめこまれる
芸術とはかくあるものだとインタビューで感じ

大竹伸朗氏にふれたいつかの旅に思いをはせる

木屋旅館のショップに置かれた大竹伸朗氏のグッズの中
から、偶然にも大竹伸朗氏の活動の原点ともなった

別海のTシャツを手に取り、そして今に至る
直島に建てられたI♥︎湯。島民と旅人のための銭湯
でもある美術作品は、直島の街でひっそりとでも、
強烈な存在感を放っている。銭湯が開くのは13時
で通り掛かった時は、まだ朝も早く静かな時間帯。
突如あらわれる様々な形、色、素材。スクラップ
ブックのように建物にちりばめられたモチーフや
形に圧倒される。物の裏側にある記憶、自由な構成。
物質としての力強さ。それぞれに記憶を帯びつつ、
訪れた人の感情を伴う。そこで選ばれた数々のもの
は芸術家の記憶の集合体で、過去からの延長線上
にある。そして紡がれた物語をまとう島の先へ。
