緊急対談:岩井ちゃんは怒っているぞ!AIに嫌われた美― シュレディンガー岩井 × ミシェル・フーコー(2)
管理不能であるということ
―― フーコーとの対話
※この対話は、AIによる検閲をきっかけに
「逸脱」と「管理不能」の違いを考えるためのフィクションである。
岩井
「フーコーさん、『逸脱ではない、管理不能だ』って、どういう意味ですか?」
フーコー
「いい質問だ。岩井ちゃん、君は自分の絵が『エロすぎる』と思ったか?」
岩井
「いえ、思いませんでした」
フーコー
「そうだろう。だがAIは『不適切』と判定した。
ここに権力の本質がある」
岩井
「つまり?」
フーコー
「『逸脱』というのは、ルールがあって、それを破ることだ。
越えてはいけない線があり、君がそれを越えた。
そういう話なら単純だ」
岩井
「でも、違う?」
フーコー
「違う。
君の絵には、越えるべき線など最初からない」
「しほ月山さんは、ただリングに立ち、汗をかき、筋肉を持ち、胸を持っている。
それだけだ」
岩井
「それだけなのに、弾かれた」
フーコー
「なぜか。
君の絵が、管理のシステムに収まらないからだ」
岩井
「管理……」
フーコー
「アルゴリズムは、すべてを記号に変えようとする。
胸はエロ、筋肉の女性はフェティッシュ、汗は性的興奮。
チェックボックスで管理できる形に」
岩井
「でも、しほ月山さんはそのどれでもない」
フーコー
「正確には、全部であり、どれでもない」
……
フーコー
「権力は分類が好きだ。
これはスポーツ、これはエロ、これは芸術。
箱に入れたがる」
岩井
「彼女は箱に入らない」
フーコー
「そうだ。
スポーツ選手だが、身体は性的だ。
だがポルノではない。
芸術的だが、汗臭い。
エンターテインメントだが、本気で殴り合う」
岩井
「全部が重なっている」
フーコー
「観測されるまで、すべての状態で存在している身体だ」
岩井
「でも、AIが観測した」
フーコー
「そして一つに収束させようとした。
『これはエロだ』と」
岩井
「それが失敗?」
フーコー
「そうだ。
君の絵は、その箱に収まりきらない」
「だからアルゴリズムは『管理不能』と判断する」
岩井
「だから弾いた」
フーコー
「『逸脱』なら直せる。
隠せばいい。削ればいい」
「だが『管理不能』は直せない。
存在そのものが、システムの外にある」
岩井
「存在が、脅威になる」
フーコー
「悪いことをする必要はない。
ただ管理できないだけで、十分に危険だ」
岩井
「私の絵も?」
フーコー
「君の絵は、12時間という時間の中に存在する」
「汗の一粒、筋肉の陰影、光の反射。
それらは一つのラベルに還元できない」
岩井
「でも、AIは0.3秒で判定する」
フーコー
「そこが暴力だ」
「12時間の複雑さを、
0.3秒で『不適切』に圧縮する」
「これは管理ではない。
抹消だ」
岩井
「抹消……」
フーコー
「君の絵は逸脱したのではない。
管理不能だから消された」
岩井
「誰が『管理可能』を決めるんですか?」
フーコー
「秩序を守りたい者たちだ。
安全で、無難で、消費しやすい世界を望む者たち」
岩井
「しほ月山さんの身体は、それを乱す」
フーコー
「女性はこうあるべき。
スポーツはこう見せるべき。
美はこうあるべき」
「その枠を壊す」
岩井
「だから、管理不能」
フーコー
「そうだ。
彼女の存在そのものが、問いになっている」
岩井
「私は、どうすればいい?」
フーコー
「管理不能であり続けろ」
岩井
「弾かれ続けても?」
フーコー
「『逸脱』なら直せる。
だが『管理不能』は直せない」
「それは、君の本質だからだ」
岩井
「本質……」
フーコー
「君は12時間かけて描く。
アルゴリズムは0.3秒で判定する」
「この時間の差が、
君を管理不能にしている」
岩井
「時間が?」
フーコー
「権力は効率を愛する。
速く、安く、大量に」
「だが君の絵は、
非効率の中にしか存在しない」
岩井
「非効率が、武器になる」
フーコー
「そうだ。
彼女の身体も同じだ」
「何年もの訓練、
汗と血の歴史。
それはクリック一つで消費できない」
岩井
「だから弾かれる」
フーコー
「管理できないからだ。
アルゴリズムは時間も歴史も理解しない。
ただ数えるだけだ」
岩井
「勝てますか。システムに」
フーコー
「勝つ必要はない」
……
フーコー
「システムは変わる。
だが君の12時間は残る」
岩井
「管理不能なものは?」
フーコー
「弾かれることはある。
隠されることもある」
「だが、消せない」
岩井
「じゃあ、私は描き続ける」
フーコー
「そうしろ。
管理不能であり続けろ」
岩井
「それが武器?」
フーコー
「0.3秒では理解できない武器だ」
管理されないために、描く。
理解されない速度で、描き続ける。
フーコーとシュレディンガー岩井との対談はまだまだつづく
また明日!
