60代で初めて知った「再就職の5つの壁」|年齢だけが原因ではなかった
60代でも、人手不足なら仕事は見つかる。
40年働いてきた経験も、きっと評価される。
あなたは、そう思っていませんか。
僕もそうでした。
ところが、実際に仕事を探し始めると、思っていた景色とはまったく違いました。
仕事がないわけではありません。
しかし、自分の経験や生活条件に合う仕事は、ほとんど見つからなかったのです。
最初は、年齢が原因だと思っていました。
けれど、仕事を探し続けるうちに、『再就職の壁』は年齢だけではないことが分かってきました。
この記事を読んでほしい人
この記事は、定年後も働きたいと考えている方や60代の求人を見て選択肢の少なさに戸惑っている方に向けて書いています。
長年の経験が、再就職でも通用するのか。
給料や肩書きが変わっても、新しい職場で働けるのか。
介護や家庭の事情を抱えながら、続けられる仕事が見つかるのか。
そんな不安を感じている方にも、読んでほしいと思っています。
僕について
僕は現在66歳です。
59歳のとき、妻の介護のため、40年間勤めた会社を退職しました。
その後、ハローワークで仕事を探し、前職の関連会社へ自分から連絡しました。
現在は、前職の関連会社で週3日、契約社員として働きながら、在宅でWebライターの仕事も続けています。
この記事で分かること
この記事では、僕が60代の再就職で実際にぶつかった壁を振り返っています。
年齢だけではなかった応募条件、長年の経験がそのままでは通用しなかった理由、そして今の生活に合う働き方を見つけるために見直したことをお伝えします。
退職するまでは、仕事はすぐに見つかると思っていた
僕は40年間、1つの会社で働いてきました。
発電設備の管理、環境業務、省エネ、分析業務など、さまざまな仕事を経験してきました。
仕事に関係する資格も取得しています。
そのため、会社を辞めても、これまでの経験を生かせる仕事が何かしら見つかると思っていました。
ニュースを見れば、さまざまな業界で人手不足が続いているといわれています。
求人サイトやハローワークにも、多くの求人が並んでいます。
給料や役職にこだわらなければ、60代でも働ける場所はあるだろう。
僕は、そう考えていました。
しかし、ハローワークで仕事を探し始めると、少しずつ現実が見えてきました。
壁①「仕事はある」の意味を勘違いしていた
ハローワークでは、介護職員、施設警備、ガソリンスタンド、交通誘導員、建設現場の作業員などを紹介されました。
もちろん、これらの仕事を否定するつもりはありません。
どれも、社会を支えるために必要な仕事です。
ただ、夜勤を伴う仕事や体力を求められる仕事は、妻を介護しながら続けるには難しいと感じました。
僕が探していたのは、単に「60代でも応募できる仕事」ではありませんでした。
妻の介護を続けながら、無理なく働き続けられる仕事だったのです。
希望する勤務日数や時間、家庭の事情を伝えると、担当者から言われました。
「その条件では、難しいですね」
求人はある。
しかし、自分の経験や生活条件に合う求人は少ない。
僕はここで初めて気づきました。
「仕事がある」と「自分が働ける仕事がある」は、まったく別の話だったのです。
総務省統計局が2025年9月に公表した資料によると、65歳以上の就業者数は930万人で、過去最多となっています。一方で、65歳以上の役員を除く雇用者のうち、非正規の職員・従業員が占める割合は76.9%です。
働く高齢者は増えています。
しかし、現役時代と同じ雇用形態や条件で働いている人ばかりではありません。
壁② 年齢だけでなく、学歴や前職もフィルターになる
仕事が見つからないと、最初に考えるのは年齢です。
僕も、「やっぱり、60歳を超えたから難しいのだろう」と思っていました。
確かに、年齢は1つの壁です。
しかし、求人票を見ていくと、年齢以外にもさまざまな条件があることに気づきました。
学歴、資格、実務経験、勤務時間、夜勤の有無、通勤距離。
1つの条件には当てはまっても、別の条件で対象から外れることがあります。
仕事内容には対応できそうでも、「大卒以上」という学歴条件で応募できない求人もありました。
資格を持っていても、企業が求める実務経験とは少し違うこともあります。
僕には40年間の会社員経験がありました。
ただし、その経験の多くは、電力会社や関連する業務の中で身につけたものです。
1つの会社で長く働いてきたからといって、どの業界でも同じように評価されるわけではありません。
むしろ、同じ会社や業界で長く働いてきたからこそ、経験が特定の分野に偏っていることもあります。
僕ができる仕事と、企業が求めている仕事が一致しなければ、40年の職歴があっても採用にはつながりません。
僕がぶつかっていたのは、年齢の壁だけではありませんでした。
年齢、学歴、資格、前職の経験という、いくつものフィルターが重なっていたのです。
壁③ 前職の物差しを手放すのが難しかった
求人票を見るとき、僕は無意識のうちに前職と比べていました。
給料はいくらか。
休日は何日あるか。
これまでの経験を生かせるか。
会社の規模はどのくらいか。
長年会社員として働いてきた人ほど、前職の条件が自分の中の基準になります。
僕は、給料や肩書きに強くこだわっているつもりはありませんでした。
それでも、心のどこかに、
「40年も働いてきたのだから、その経験に見合う仕事があるはずだ」
という思いが強く残っていたのだと思います。
会社に勤めている間は、会社名や所属部署、役職、勤続年数が、自分を説明してくれました。
しかし、会社を離れると、それらがそのまま評価されるわけではありません。
再就職先が知りたいのは、過去にどれほど大きな会社にいたかだけではないからです。
今、何ができるのか。
新しい職場で、どのように働けるのか。
年下の上司や同僚と一緒に働けるのか。
これまでとは違う仕事の進め方を受け入れられるのか。
再就職では、そうしたことも見られます。
僕にとって難しかったのは、給料が下がることだけではありませんでした。
会社員時代の自分を支えていた物差しが、再就職ではそのまま使えないと認めることでした。
壁④「経験があります」だけでは武器にならなかった
再就職活動では、これまでの経験を伝えることが大切だといわれます。
僕にも40年間の経験がありました。
しかし、
「長年、環境関係の仕事をしてきました」
「設備管理や分析の経験があります」
と伝えるだけでは、相手に十分伝わりません。
企業が知りたいのは、経験年数だけではないからです。
具体的に何ができるのか。
どのような仕事なら任せられるのか。
その経験を新しい職場でどう生かせるのか。
そこまで伝わらなければ、長年の経験も「昔の実績」で終わってしまいます。
ハローワークで再就職の難しさを知ったあと、僕は前職の関連会社にいる知人へ電話をかけました。
立派な応募書類を送ったわけではありません。
格好のよい言葉を並べたわけでもありません。
ただ、思い切って尋ねました。
「何か、僕にできる仕事はないですか」
関連会社では、僕がこれまでどのような仕事をしてきたのかをある程度知ってもらえていました。
会社名や勤続年数だけではなく、実際にできる仕事として経験を見てもらえたのです。
その結果、僕は前職の関連会社で契約社員として働くことになりました。
この経験から学んだのは、経験を持っているだけでは武器にならないということです。
相手が必要としている仕事に合わせて、自分の経験を伝え直したとき、初めて武器になるのです。
壁⑤ 一番高かった壁は、自分の中にあった働き方の枠だった
仕事を探していた頃の僕には、いくつもの希望条件がありました。
これまでの経験を生かせること。
収入が大きく下がらないこと。
介護と両立できること。
自宅から無理なく通えること。
長く続けられること。
どれも、僕にとっては大切な条件です。
しかし、すべてを満たす仕事を探そうとすると、応募できる求人はほとんど残りません。
そのうち僕は、「60代には仕事がない」と思うようになりました。
けれど、本当は、仕事がまったくなかったわけではありません。
自分の条件に合う仕事が少なかったのです。
そこで僕は、働き方の見方を少しずつ変えました。
正社員として、以前と同じように働くことだけが再就職ではない。
契約社員という働き方もある。
週5日ではなく、介護と両立できる日数で働く方法もある。
会社の仕事だけに頼らず、在宅でできる仕事を育てる道もある。
そう考えるようになってから、少しずつ選択肢が増えていきました。
一番高かった壁は、年齢でも求人の少なさでもありませんでした。
会社員時代と同じ働き方に戻ろうとしていた、自分の中の枠だったのです。
これは、自分が悪かったという話ではありません。
40年間、1つの組織で働いてきたのです。
その働き方や物差しを、すぐに変えられなかったのは当然だと思います。
ただ、前職と同じ場所へ戻ろうとするのではなく、今の生活に合う働き方を考える。
そう見方を変えたことで、僕はようやく次の一歩を踏み出せました。
僕が知った「再就職の壁」の正体
僕は最初、60代の再就職を難しくしているのは、年齢だと思っていました。
しかし、実際に仕事を探してみると、壁は1つではありませんでした。
「仕事がある」と「自分が働ける仕事がある」の違い。
年齢、学歴、資格、実務経験によるフィルター。
これまでの経験と、企業が求める人材とのミスマッチ。
前職の給料や肩書きを基準にしてしまう気持ち。
そして、会社員時代と同じ働き方に戻ろうとする、自分の思い込み。
いくつもの壁が重なって、再就職を難しくしていたのです。
60代の再就職では、これまでの経験を捨てる必要はありません。
ただ、その経験を抱えて待っているだけでは、次の仕事にはつながりにくいと感じます。
今の自分に何ができるのか。
どの条件なら変えられるのか。
どの条件だけは譲れないのか。
これから、どのように働きたいのか。
一度立ち止まり、自分の経験と今の生活を組み直す時間が必要です。
60代の再就職は、仕事を探すだけではありません。
これまでの働き方を見直し、今の自分に合う道を探す時間でもあるのです。
退職から再就職までの経験をKindle本にまとめました
この記事では、僕がハローワークで知った「再就職の壁」を中心に書きました。
妻の介護のため、40年間勤めた会社を退職したこと。
ハローワークで、60代が選べる仕事の現実を知ったこと。
前職の関連会社へ自分から電話をかけ、再び働き始めたこと。
そして、介護と仕事を両立するため、在宅ワークにも挑戦したこと。
その一連の経験を、Kindle本にまとめています。
「井の中の蛙大海を知らず」
昭和、平成と1つの会社で働き続けてきた僕が、その場所を離れ、働き方を変えていった記録です。
『井戸を出て、泳ぎ方まで変えていく|妻の介護で退職し、在宅ワークと再就職を経験した60代元会社員の記録』
退職後の僕は、これまで泳いできた場所を離れ、違う泳ぎ方を覚えなければなりませんでした。
順調に進んだわけではありません。
迷い、立ち止まり、遠回りもしました。
それでも、働き方を少しずつ変えることで、介護を続けながら働く道を見つけました。
定年後や介護離職後の働き方に迷っている方に、僕の経験が1つの参考になればうれしいです。
無料記事より、もう少し深く読みたい方へ
休職・復職、職場の人間関係、60代の働き方など、無料記事では書き切れなかったことをメンバーシップで書いています。
コメントや交流は、したい方だけで大丈夫です。
読むだけの参加も歓迎しています。
「もう少し先まで読んでみたい」と思ったときに、のぞいてもらえたらうれしいです。
▶︎ メンバーシップはこちら
参考資料
総務省統計局
「統計からみた我が国の高齢者-『敬老の日』にちなんで-」
2025年9月14日公表
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします!
いただいたチップは妻の介護用品購入に使わせていただきます!