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復職後、私はまた元の働き方に戻っていった|仕事を抱え込み、再び限界へ


復職初日の朝、私は出勤時間の2時間前に起きました。
久しぶりにバスと電車を乗り継ぎ、会社へ向かいます。
頭にあったのは、「今日一日を何とか終えたい」ということだけでした。



3か月も休んだのだから、少しずつ体を慣らしていけば、また以前のように働ける。

職場に迷惑をかけた分も、これから仕事で返していけばいい。

本気でそう考えていました。

けれど今振り返ると、私は復職の意味を勘違いしていたのだと思います。

目指していたのは、無理なく働ける自分ではありません。
休職する前の自分へ、少しでも早く戻ることでした。

仕事を頼まれたら断らない。
分からないことがあっても、自分で何とかする。
つらくても、できるだけ顔に出さない。

その働き方で一度限界を迎えたはずなのに、私はまた同じ場所へ戻ろうとしていたのです。

もし復職を経験した方なら、こんなことを考えていなかったでしょうか。

「休んだ分を取り戻さなければならない」
「もう周囲に迷惑をかけてはいけない」

私も、同じでした。






この記事を読んでほしい人


  • 復職後、以前と同じように働こうとしている人

  • 仕事を頼まれると、すぐに引き受けてしまう人

  • 「まだ出勤できるから大丈夫」と思っている人

私は会社員時代、うつ病で2回休職しました。

これは、1回目の休職から復職したあと、再び限界へ近づいていった頃の話です。


「仕事が一杯溜まっているよ」


復職初日、私の机は休職前と同じ場所にありました。

ただ、机の上は乱れています。

私が休んでいる間に、誰かが必要な書類を探したのでしょう。

パソコンを開くと、確認できていないメールが大量にたまっていました。

係長からは、

「仕事が一杯溜まっているよ」

と言われました。

課長からは、

「無理しないで。何かあったら言ってよ」

と声をかけられました。

仕事は実際にたまっていました。

課長も、私の体調を気遣ってくれていたのでしょう。

それでも私の頭に強く残ったのは、

「自分が休んだせいで、仕事をためてしまった」

という申し訳なさでした。

初日は、たまったメールを確認するだけで終わりました。

家に帰ったときは、

「とりあえず、一日終わった」

と、ほっとしました。

ところが翌朝になると、また会社へ行けるのかという不安が湧いてきます。

最初は、会社へ行くだけで精いっぱいだったのです。


休んだ分を、仕事で返そうとしていた


何日か出勤できると、以前担当していた仕事が少しずつ戻ってきました。

ほかの人に代わってもらっていた仕事もあります。
途中で止まったままの案件も残っていました。

それらを見るたびに、

「早く自分でできるようにならなければ」

という気持ちが強くなります。

誰かから、休んだ分を取り戻せと言われたわけではありません。

私が自分に言い聞かせていました。

休職したことで迷惑をかけた。
だったら、仕事で埋め合わせなければならない。

休職したことへの負い目を、仕事の量で消そうとしていたのだと思います。

自分では、前向きに頑張っているつもりでした。

でも、体調が追いつく前に、その頑張りが重くなっていきました。


「分かりました」と答えたあとも、仕事は終わらなかった


復職してしばらくした頃、調査結果をまとめていたときのことです。

別の資料作成を頼まれました。
机の上には、期限の近い報告書も残っています。

本来なら手元の仕事を確認し、

「どちらを先にすればいいですか」

と聞けばよかったのでしょう。

けれど、優先順位を考えるよりも先に、口から言葉が出ました。

「分かりました」

調整を頼めば、仕事ができないと思われる。
復職したばかりだから無理なのだと思われる。
また周囲に迷惑をかけてしまう。

そんなことばかり考えていました。

ただ、私が仕事を引き受けた理由は、申し訳なさだけではありません。

「自分ならできる」という意地もありました。

長年やってきた仕事なのだから、これくらいは自分で処理できる。
人に頼るほどのことではない。
自分がやらなければ、仕事が前へ進まない。

そんな自負も残っていたのです。

私は仕事を断れなかったのではありません。

本当は、断りたくなかったのだと思います。

仕事のできる自分でいたかった。

休職前の自分へ戻ったと、周囲だけでなく、自分にも思わせたかったのです。

引き受ける仕事が増えると、判断に迷う場面も増えていきました。

同じ資料を何度も読み返す。
少し確認すれば済むことでも、人に聞けない。

「そんなことも分からないのか」と思われるのが怖かったからです。

もう少し考えれば分かるかもしれない。
人に聞く前に、自分で調べなければならない。

そうしているうちに、時間だけが過ぎていきました。

仕事が遅れる。
仕事がたまる。
遅れていることを知られたくなくて、さらに相談しにくくなる。

休職前と同じ流れでした。

会社から書類を持ち帰っていたわけではありません。

それでも仕事だけは毎日、頭の中へ持ち帰っていました。


自分がいなくても、会社は動いていた


私が3か月休んでいる間も、会社は動いていました。

誰かが仕事を引き継ぎ、足りないところを補ってくれていたのです。

自分がいなければ仕事が回らないと思っていましたが、実際にはそんなことはありませんでした。

少し寂しい話かもしれません。

けれど、それが組織なのだと思います。

一人が休んでも、残った人たちで仕事を回していく。
私がいなくても、会社は動く。

その事実を、当時の私は素直に受け止められませんでした。

自分が空けた穴は、自分で埋めなければならない。
周囲に頼るより、自分が無理をする方を選ぶ。

それが責任ある働き方だと思っていました。

今振り返ると、そこにはおごりもありました。

自分の仕事は、自分にしかできない。
自分がやらなければ、困る人がいる。

そう考えることで、仕事の中での自分の立場を守ろうとしていたのだと思います。

「自分がいなければ」は、責任感でもありました。

でも私にとっては、仕事を手放さないための言い訳にもなっていたのです。


限界に気づかなかったわけではない


一度休職を経験したのだから、次は限界になる前に気づける。

私はそう思っていました。

けれど、実際に見ていたのは、

「まだ会社へ行けるか」

ということだけです。

朝、会社へ行けている。
机に座って仕事ができている。
周囲と普通に話せている。

それができているうちは、まだ大丈夫だと思っていました。

でも、会社へ行けることと、無理なく働けていることは同じではありません。

休日になっても、仕事が頭から離れない。
朝、バス停へ向かう足が、また重くなっている。

休職前と同じ兆候は、すでに出ていました。

限界に気づかなかったわけではありません。

薄々気づいていました。

ただ、それを認めたくなかったのです。

再び調子を崩していると認めれば、また会社を休むことになるかもしれない。

3か月も休んだのに、自分は何も変わっていなかった。

そう認めることが、怖くて、恥ずかしかったのだと思います。

だから私は、

「もう少し続ければ慣れる」

と自分に言い聞かせ、目をそらしていました。


復職は、元の自分へ戻ることではなかった


1回目の休職で、私は仕事から離れました。

けれど、働き方までは見直していませんでした。

本当に見直す必要があったのは、体調だけではありません。

仕事の抱え方そのものを変える必要がありました。

あなたも復職後、休職前と同じ自分へ戻ろうとしていないでしょうか。

元の働き方が自分を追い込んだのなら、同じ場所へ戻ることだけが回復ではありません。

働き方を変えることも、復職です。

けれど、当時の私には、まだそこまで分かっていませんでした。

私は元の自分に戻ろうとして、再び元の働き方へ戻っていきました。

そして、もう一度会社を休むことになります。

次回は、2回目の休職が決まるまでのことと、その休職中に出会った一人の心療内科医について書いていきます。



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