2回目の復職で残したもの、手放したもの|また仕事を抱え込まないために
あなたが明日休んだら、その仕事は誰かが続けられますか。
2回目の復職で僕が見直したのは、仕事の量よりも「自分の頭にしかない仕事」でした。
また仕事を抱え込まないために、何を職場へ残し、何を手放すのかを考えました。
僕は1回目の復職で、休職前とほとんど同じ働き方に戻りました。
頼まれた仕事は断らない。
分からないことは、まず自分で調べる。
報告書も説明資料も、できるだけ1人で仕上げる。
体は3か月休みました。
でも、仕事の抱え方も考え方も、休職前とほとんど変わっていなかったのです。
結局、僕はもう一度、会社へ行けなくなりました。
2回目の復職では、以前の自分に戻ることだけを考えるのはやめようと思いました。
ただ、何を変えればよいのか、最初から分かっていたわけではありません。
きっかけになったのは、復職して間もない頃、英語の取扱説明書を前にしていた後輩でした。
英語の説明書を前にしていた後輩
新しく導入された分析機器の前で、後輩が取扱説明書を読んでいました。
機器を見て、ページをめくる。
また機器を見て、同じページへ戻る。
説明書の一部は英語で書かれていました。
どこかで行き詰まっていることは、見ていれば分かりました。
その機器を扱った経験があるのは、職場では僕ともう1人くらいです。
声をかけた方がいい。
そう思いながら、すぐには動けませんでした。
復職したばかりの僕は、会社へ行き、自分の仕事を終えるだけで精いっぱいでした。
途中で体調が悪くならないか。
仕事ができなくならないか。
周囲からどう見られているのか。
自分のことで頭がいっぱいだったのです。
後輩も、復職したばかりの僕に質問してよいのか迷っていたのかもしれません。
聞けなかった後輩と、声をかけられなかった僕。
お互いに気を遣ったまま、何日かが過ぎました。
復職して2週間ほどたった頃、僕から声をかけました。
「どこが分からんの?」
すると後輩は、説明書の話をする前に聞きました。
「体調、もう大丈夫ですか?」
僕が後輩の様子を見ていたように、後輩も僕の様子を見ていたんやと思います。
英語で書かれた箇所を見せてもらいました。
ただ、僕もその機器を扱うのは久しぶりでした。
以前の僕なら、経験者なのだから、その場で答えなければならないと思ったでしょう。
分からないと言うのは格好が悪い。
そんな気持ちもあったと思います。
でも、その日は正直に伝えました。
「僕も久しぶりやから、1日時間をもらえる?」
メーカーへ問い合わせ、自分でも内容を確認しました。
口頭で説明するだけでは不安だったので、メーカーの担当者にもう一度来てもらうことにしました。
「一緒に確認しようか?」
後輩は、
「よろしくお願いします」
と答えました。
メーカーの担当者と操作方法を確認し、その内容を職場で使うマニュアルにまとめました。
操作の順番だけではありません。
注意するところや、分析結果をどのように評価するのかも書きました。
完成したものは、メーカーにも確認してもらいました。
後輩へ渡すとき、僕は言いました。
「一度使ってみて。分かりにくかったら改善するから」
すると後輩は、
「自分がやりますから、また確認してください」
と答えました。
その言葉が、素直にうれしかった。
僕が代わりに操作して、仕事を終わらせるのではない。
後輩が自分でやってみる。
分からなければ、また一緒に確認する。
それでええんやと思いました。
ただ、マニュアルを1冊作っただけでは、僕の抱え込みは終わっていませんでした。
僕の頭の中にしかない判断。
仕事を手伝っても、名前が残らない同僚や後輩。
完成するまで誰にも見せなかった書類。
まだ僕が握ったままのものが、いくつもありました。
2回目の復職で考えたのは、仕事を減らすことだけではありません。
自分がいなくなったあと、職場に何を残すのか。
そして、これからも働くために何を手放すのか。
後輩の「自分がやります」という言葉が、そのことを考えるきっかけになりました。
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ここからは、僕の頭の中にあった判断を、どのように職場へ残したのかを書きました。
関わった同僚や後輩の仕事を、どのようにその人の実績として残したのか。
完成するまで見せなかった書類を、なぜ途中で共有できるようになったのか。
そして、最後まで手放せなかった上司への反発についても書きました。
すべてをきれいに変えられた話ではありません。
変えられなかった部分まで含めて、僕の2回目の復職だったと思っています。
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