『働きやすい職場』って、結局誰のため?|「で、誰がするん?」
あなたの職場に、『働きやすい職場づくり』と書かれていませんか。
でも、それは誰にとって働きやすい職場なのでしょうか。
そして、そのために職場では何を変えているのでしょうか。
僕は最近、この『働きやすい職場』という言葉を見るたびに、少し引っかかるようになりました。
働きやすい職場をつくる。
言葉だけを聞けば、反対する人はほとんどいないと思います。
僕だって、働きにくい職場より働きやすい職場の方がいい。
でも、「働きやすい職場を目指します」と言ったところで話が終わると、なんとなくモヤモヤするんです。
少し前、僕の職場でも心理的安全性について話し合う機会がありました。
僕は司会進行をして、みんなから出た意見をまとめました。
「聞きやすい雰囲気が必要」
「もっと声をかけた方がいい」
「コミュニケーションが大切」
どれも、その通りやと思いました。
でも会議が終わったあと、僕の頭に残ったのは別のことでした。
「これで明日から、何が変わるんやろ?」
そこからです。
「働きやすい職場」という言葉そのものが気になり始めました。
誰に読んでほしいか
会社で「働きやすい職場づくり」と聞くけれど、いまひとつ実感がない人。
会議ではいろいろな意見が出るのに、そのあとどうなったのか分からない人。
制度はいろいろあるけれど、それが自分たちの日々の仕事とどうつながっているのか分からない人。
そんな人に読んでもらえたらと思っています。
今回は、「働きやすい職場とは、こういう職場です」と答えを出す記事ではありません。
僕自身も、まだ考えている途中です。
ただ、自分が2度休職した経験から、どうしても引っかかっていることがあります。
僕は誰か
僕は長く会社員として働くなかで、仕事を抱え込み、2度休職しました。
当時の僕は、「自分の仕事は、自分で何とかするもの」と思っていました。
仕事が増えてくる。
思うように前へ進まない。
残業が増える。
休みの日も、頭の中では仕事のことを考えている。
それでも、「大丈夫?」と聞かれたら、「大丈夫です」と答えていました。
今振り返れば、僕自身にも反省するところがあります。
もっと早く相談していればよかった。
もっと周りを頼ってもよかった。
そこは、今でもそう思います。
でも、2度の休職を経験したあと、別の疑問も持つようになりました。
「なんで僕がそこまでいくまで、仕事の方は変わらなかったんやろ。」
「本人がもっと早く言えばよかった」
それだけで終わらせてしまっていいんやろか?
今回、このテーマを書きたくなった理由はそこにあります。
この記事をどう役立ててほしいか
この記事を読んで、「うちにも制度はあるな」で終わるのではなく、
「その制度で、実際に誰の何が変わっているんやろ」
と、一度だけ自分の職場を見てほしいんです。
制度があるかどうかではなく、その先。
実際の仕事の回り方まで見てみる。
それだけでも、「働きやすい」という言葉の見え方が少し変わるかもしれません。
調べてみたら、逆に分からなくなった
今回、「働きやすい職場づくり」について調べてみました。
育児や介護との両立。
柔軟な勤務時間。
休暇制度。
在宅勤務。
復職支援。
メンタルヘルス対策。
会社によって、いろいろな取り組みがあります。
どれも必要なものやと思います。
でも、見ているうちに僕は逆に分からなくなってきました。
「これって、結局誰向けなんやろ?」
育児をしている人と介護をしている人では困っていることが違います。
若い社員と60代の社員でも違う。
休職から戻ってきた人と今まさに仕事を抱え始めている人でも違います。
それを全部まとめて、『働きやすい職場づくり』と呼ぶから、僕には少し分かりにくかったのかもしれません。
誰向けなのか。
何に困っている人を助けたいのか。
そこがもう少し見えた方が、働く側にも分かりやすい気がします。
僕が気になるのは、制度のその先
たとえば、職場のAさんが休職したとします。
休める制度があり、Aさんは仕事から離れて休むことができた。
まずは、それが大切です。
でも、職場にはAさんが持っていた仕事が残ります。
誰かがやらなければなりません。
「じゃあ、しばらくBさんにお願いしよう」
こんなことは、珍しくないと思います。
Bさんも、「分かりました」と引き受けるかもしれません。
僕も昔なら、たぶんそう言っていました。
でも、そこで気になるんです。
「Bさんが今までやっていた仕事は、どうするんやろ?」
Aさんの仕事を引き受けた分、何かを減らすのか。
納期を変えるのか。
別の人にも分けるのか。
それとも、今までの仕事の上にAさんの仕事を積むだけなのか。
もし最後の形になったら、Bさんは最初のうちは頑張れるかもしれません。
でも、
1か月。
2か月。
3か月。
その状態が続いたらどうでしょう。
休職した人を支えることは大切です。
でも、そのあとに残った人まで無理をしていたら、同じことが別の人に起きるんちゃうかな。
僕は、そこが気になります。
「困ったら言って」で、本当に届くんやろか
職場ではよく、
「困ったら相談してください」
「無理しないでください」
と言われます。
ありがたい言葉です。
でも、僕は言えませんでした。
いや、正確には、言わなかった。
「もう少しできる」
「これくらい自分で何とかしないと」
「みんなも忙しいしな」
そんなふうに考えていました。
だから最近は、
「相談できる場所をつくるだけではなく、相談してこない人をどう見るかも必要なんちゃうかな」
と思うようになりました。
今まで質問していた人が、急に何も聞かなくなった。
残業が増えてきた。
いつも同じ仕事で止まっている。
誰かを助けることが増えて、自分の仕事が後回しになっている。
本人が「しんどいです」と言う前に、仕事の方に変化が出ることもあると思います。
最後に残ったのは、「で、誰がするん?」
ここまで調べたり、自分の経験を振り返ったりして、僕の中に最後まで残った疑問があります。
「で、誰がするん?」
仕事が一人に偏っていたら、誰が見るのか。
残業が増えていたら、誰が確認するのか。
助けに入った人まで忙しくなったら、誰が調整するのか。
納期を変えた方がいいなら、誰が決めるのか。
今やらなくてもいい仕事があるなら、誰が止めるのか。
ここが決まらないまま、「みんなで助け合いましょう」と言っても、結局は誰かの善意や頑張りに頼ることになります。
僕は、それではあまり変わらないような気がするんです。
仕事を抱えている本人だけでは変えられないことがあります。
同僚が手伝うだけでは解決しないこともあります。
仕事の優先順位や納期、担当そのものを変えなければならないこともある。
だったら、
そこを誰が判断するのかまで決めないと、仕組みとは言えないんちゃうかな。
今はそんなふうに考えています。
僕にとっての「働きやすい職場」
僕にはまだ、働きやすい職場の正解は分かりません。
でも、自分が2度休職した経験を振り返ると、1つだけ思うことがあります。
働きやすい職場とは、制度が多い職場だけではない。
誰かの仕事が増えたとき。
体調を崩したとき。
家の事情で、それまでと同じようには働けなくなったとき。
そんなときに、「本人が何とかしてください」で終わるのではなく、仕事の方も変えられる職場。
僕にとっては、そっちの方が「働きやすい」という言葉に近いです。
もちろん、それだけで休職する人がいなくなるとは思っていません。
休職が必要なときは、きちんと休むことも大切です。
ただ、仕事の抱え込みや仕事の回し方が原因の1つになっているなら、その前にできることはなかったのか。
そこは考えておきたいと思っています。
あなたの職場では、どうですか
もし職場に、『働きやすい職場づくり』という言葉があったら、一度だけ考えてみてください。
誰にとって働きやすい職場なのか。
何を変えようとしているのか。
そして、
誰かがしんどくなったとき、誰が動くのか。
そこまで見えるでしょうか。
僕は2度休職しました。
だから今さら、「会社が何とかしてくれたらよかった」と言いたいわけではありません。
僕自身にも、もっと早くできたことはあったと思っています。
それでも、「本人が言わなかったから分からなかった」で終わらせたくない。
誰かが休職したあとに、「そんなにしんどかったとは知らなかった」と言うより、その前にできることはなかったのか。
僕は、そこをもう少し考えてみたいと思っています。
次は、きれいな言葉だけではなく、誰が、いつ、何をするのか。
次の記事では、そこまで具体的に考えてみます。
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