墨跡|先週描いたもの。3月8日〜14日まで
そういえば8日の朝は
絵を描かずにバイクを出した。
朝焼けを見たくて冷え込む風の中、スロットルを回した。
横須賀の馬堀海岸まで行くつもりだったが、あまりの寒さに一旦コンビニに避難。温かいコーヒーにすがる。
口にしながら見上げた空は白々しく空けていて、どのみちもう日が昇りそうだったから、そこから一番近い海沿いへと進路を変えた。
もう一杯温かいコーヒーが欲しかったけど、近くの自販機は全部冷たいものになっていた。いつも切り替えが早い。
フェンス沿いに停めたバイクにまたがり、寒さに縮こまりながらオレンジに染まっていく空と滲む雲を見ていた。

会いたかった朝日は、思った以上に美しかった。
昇り続ける太陽を背に、帰路に着いた。
9日。
先日、公園を歩いた時に見た桜の枝には、少しだけ芽が育っていた。
そこに名残り雪がかかる様子が心に浮かんだ。

”芽をつけ始めた桜の木と、なごり雪。
なんの躊躇いもなく続いていく道はない”
10日。
この日も公園で見た木を元に描いた。そしてこの日も、なごり雪を。

”今朝もなごり雪。
誰かに縋りついて、救われる道はない。
自分が立ってこそだ”
11日。
雀の絵を届けた人のことを思い出して、このなごり雪に加えようと考えた。
ただ、その時も苦労したが、私は雀を描くのが苦手だったのだ。

”なぜ掴めないのか、やっとわかった気がする。
「雀=可愛らしい」という構図が、頭に刷り込まれている。
私の心の奥と、一致しない”
12日。
この日も雀を描いた。桜の芽となごり雪の中に。

”尾の流れがおかしいし、なんの原風景もない。
またいつかやり直し”
13日。
”いつか”ではなく、またこの日も雀を描いた。
ようやく、”雀=かわいい”という固定観念が私の中を出た。
とはいえ今はまだ、そこまでの話だ。

”雀が春を告げていた。
空の自由について問うと、
空にも規則はあるとそっぽを向いた”
14日。
雀を描くのは一旦寝かせようと考えながら、
思い出したのは、海沿いを走った日のことだった。
静かな海だった。

”松林の向こうには、静かな海。
それは、心の奥底へ続くかのように”
絵は入り口にもなり得る。
ただ、本当の自分を知るための。
明日はまた雀を描くと思う。
2026年3月15日
