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二次創作 秒速5センチメートル 第3篇 運命の再会 (閲覧注意⚠️) 

運命の歯車

美鳥は考えた。

貴樹と明里を会わせたい。

「どう、会ってみる?」

「わたし、怖いです…」

震えていた。その小さな肩が震えるのを見て、美鳥は答えた。

「わかった。もう少し時間置いてみよう。それでしのちゃんの気持ちの整理着いたら、会おう」

「彼、貴樹くん、たぶん私のこと忘れてるかも知れないし、もし今、彼女いたら超迷惑ですよね」

「それとなく聞いてみるよ。あ!私の携帯番号教えていたけど、私は貴樹くんの番号聞き忘れていたわ!」

美鳥は、財布を引っ張り出して中身を見た。

「あれー、確かもらったんだよね。えっとえーっと」

「何をですか?」

「名刺。貴樹君の」

そう言うと、美鳥は名刺を一枚取り出し、高らかに宣言した。

「あったよ!名刺!電話してみる。会社に。」

「美鳥さん、あの。」

「なに?」

「まだ私の事言わないでください。彼に余計な事思って嫌な気持ちになったら悪いし…」

「大丈夫。それとなく、かまかけてみるけど」

いたずらそうな目をしてにっこり笑う美鳥。

しかしその顔は明里を思いやる母の顔だった。

正社員歓迎会がいつの間にか、初恋の人と再開する話になっていたことに、明里は驚いていた。

一人、マンションのドアを開けて、部屋のスイッチを入れる明里。

今まではバイトだったけど、明日からは正社員。やっと大人への第一歩なんだと思った。

「貴樹君、やっと私は大人になれたかな。たぶん貴樹君は立派な大人になったんだろうな。怖いけど会いたい。でもやっぱり怖い」

第4章 すれ違い

それからしばらくして、美鳥が2週間ぶりに紀伊国屋書店に来た。

マネージャーの西田が従業員に声をかける。

「講師の輿水先生がいらっしゃいまいらっしゃいました!しのちゃん、例のあれ?もうできてるよね?」

「あ、はい。大丈夫です!」

「大橋君!君も出来てるよね?」

「はい!もちろん!」
大橋とは、明里が正社員になった後、バイトとして入った男性である。やはり氷河期のあおりを受けて、未だ正社員になれず、転々とバイトをしている最中である。

「みんなおはようございます。またよろしくお願いします!」

美鳥は4月のイベントの時以来だ。
あれからまだ高樹君との話はしてないが、5月の連休で、子供達に天体のワークショップを企画したので、講師としてまた美鳥にきてもらった。今回も美鳥さんの知見が大いに役に立つ企画と思い明里が責任者となった。

「わー、面白いね。大橋さんのコーナー。イモムシだらけね!」

マネージャーの西田が一言告げる。

「いやはや、大橋君、どうしてもやりたいと言うもんだから。彼、一応弁護士事務所希望の就活中のバイトなんだけど、面白いから作らせました。はは」 

「そっかー。地に足をつけろって?面白いわ。対象的にしのちゃんの所がメインで、ロケット!前回は飛行機だったから、今回は宇宙。イモムシと宇宙。さてどんな企画になりますやら!」

手応え十分として、ニヤニヤ笑う美鳥。

「今回もよろしくお願いします。それで早速なんですが一つお願いしたい事が」

「いいよ。なんでも聞いて。しのちゃんの事ならなんでも聞いてあげる。結婚でもなんでも!」

「えー!しのちゃん結婚するの!?まだ正社員になったばかりじゃない!まさか辞めるの?」

「な、何いってるんですか!私は彼氏いないし、そんな話、全くありません!やめてくださいよう!輿水先生!」

その慌てぶりに、誰もが何かを感じ取っていた。

西田がそっと美鳥に聞く。

「あのさ、彼氏いても構わないけど、結婚しても辞めないように言ってよ。即戦力なんだから、彼女は!」

「わかってる。まだまだ先よ、結婚は」

企画の打ち合わせも終わり、美鳥は明里に声をかけた。

「しのちゃん、例の件なんだけど、いいわよ。今度の水曜日なら私も行ける。久しぶりだな、プラネタリウム!」

「すいません。ロケットとなれば、星のことも知ってないとですから。本では得られない最新の知識、アップデートしないとと思い。」

「わかった。それとさ、もう一つの件。まだ連絡とれないんだけど、彼の会社に連絡してみる。」

「え?あ、はい」

明里は戸惑っていた。
確かにお酒の勢いで過去のこと話してしまい、貴樹が時々この紀伊國屋にきているということもわかった。

でもこの3年、一度も彼を見かけたことは無かった。よほど縁がないのかなと思ったけど、あれからまだ彼を見ない。

でも、美鳥さんが連絡して私のことを話せば、会えるかも知れない。でも怖い。会わないほうがいいのかも知れない。会うことでこの12年間の思いが崩れてしまうのが怖かった。

約束の水曜日になった。

待ち合わせ場所は西武新宿線の改札前。
平日の午後にここに来ることはあまりない。

「やあー。しのちゃん。今日も可愛いね!」

「何言ってるんですか!もう私26歳ですよ!」

「だってほんとなんだもーん」

イタズラな目でからかう美鳥

こんな童心みたいな塊の人といると幸せな気分になる。なんだか自分が素直になれる。子供の頃の気持ち、大人になっても忘れてはいけないんだって思える。

電車に乗ってしばらくすると席も空いてきたので適当な所に2人で座った。

「あのさ、電話したんだ。高樹君の会社に」

どきっとした。いきなりきたので、心臓の音が聞こえてしまうほど高鳴った。

「でさ、辞めたんだって、会社」

「え?辞めたって、貴樹君、会社辞めたの?」

驚きだった。あの真面目1本の貴樹君が辞めた。何故なんだろう?急に明里の頭はぐるぐる疑問でいっぱいになった。

「ごめんね。個人情報だから彼の電話番号もダメなんだって。だから貴樹君から電話来ない限り、会えないかもしれない。でもさ、時々紀伊國屋に来てる見たいだから、きっと会えるよ、ね!」

いつのまにか、私が彼に会いたいという話になってしまったようだった。

でも確かに会いたい。

怖いけど会いたいって気持ちが、この2週間で強くなってきたのも事実だった。

「だからロケット展考えたんでしよ?明里は。」

急に呼び捨てになる美鳥

この人は全部わかるんだ。
嘘つけないな。

「無意識なんですかね。なんかダサいですよね、私」

「そんなことないよー。ダサいなんて言葉使っちゃだめだよー。明里の気持ち痛いほどわかる。私ね、昔、妹が打ち明けられなかったことで別れてしまったのを見てるから、今度は結ばれて欲しいんだよ!」

「でも会うのも確率からして低いのに、会って結ばれるなんて、ほとんどゼロだと思うんですけど」

「モンテカルロ法って知ってる?数学の理論なんだけど」

わからないって顔の明里

「本好きのしのちゃんでも知らないか」

「私、数学苦手で、ははは」

「じゃ教えてあげる」

電車はその時に、目的の駅に着いた。

「プラネタリウムで話す。さ、行きましょう!」

私たちは宇宙を型どった異様に大きなオブジェを見ながら、プラネタリウムに入った。

続く


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