ピーク予測578億の大型薬ジャスケイド (肺線維症)発売開始
2026年7月15日、日本ベーリンガーインゲルハイムが肺線維症の新薬ジャスケイドの発売開始を発表した。肺線維症領域の新薬は約11年ぶりとのこと。中医協の薬価算定資料によれば、ピーク時売上予測は578億円となる。近年は大型品が減っており、2025年に薬価収載された新薬55成分のうち、ピーク予測が500億円を超えたのはMSDのエアウィン(肺高血圧)のみ。
ジャスケイドは経口ホスホジエステラーゼ(PDE)4B阻害薬であり、効能は指定難病である特発性間質性肺炎の一種、特発性肺線維症(IPF)と、より広い概念である進行性肺線維症(PPF)の2つ。
既存薬として販売されている抗線維化薬であるオフェブや、ピルフェニドンとは異なる新規作用機序の薬剤である。第3相試験(FIBRONEER)では、既存治療薬を併用せずネランドミラスト18mgの投与を受けた患者で、プラセボと比較して59%の死亡リスク低下が有意な差で示されている。
薬価はオフェブを比較薬とする類似薬効比較方式で算定されているが、有用性加算Ⅰ(35%)と市場性加算Ⅰ(5%)、合計40%の加算が加算前薬価5,973.60円に乗り、最終的な薬価8,363.00円となっている。有用性加算35%の根拠として、中医協の算定組織は「新規作用機序医薬品であること」に加え、「臨床試験において、既存の抗線維化薬との併用群も含めて有効性が認められたこと」を挙げている。
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001719807.pdf

患者プールも広く、PPFは膠原病関連の間質性肺疾患や過敏性肺炎など、200以上ある間質性肺疾患のうち進行性の経過をたどるものを広く含むことになる。2022年に国際的に提唱された比較的新しい疾患概念で、全国規模の患者数推計はまだ存在せず、患者数が多くなることが予想される。(中医協資料でのピークは1.8万人)。
AnswersNewsによれば、2025年に薬価収載された新薬55成分の合計ピーク予測額は6,743億円(1成分平均で約123億円)で、100億円を超えたのは25成分(45%)にとどまる。前述の通り500億円を超えたのはMSDの肺動脈性肺高血圧症治療薬エアウィンのみ(544億円)。
多くの新薬のピーク予測が数億円から数十億円のレンジに集中する中で500億円台は極めて稀有な存在になっている。
ちなみに中医協資料で参照されているアメリカの価格は9mg, 18mg共に40819.5円。9mgは日本の価格の10倍弱、18mgは5倍弱となっており、両国の価格の乖離はやはり大きい。

