AIが書いた小説の方が「面白い」時代に。それでも「書く意味」はなんですか?(前編)
「もう、私が書く物語は、AIに勝てないのかもしれない」
そんな日が来たら、あなたはどう感じますか?
創作という、とても人間的な営みのすぐ側まで、AIが迫ってきている。
そんなSFのような現実を前に戸惑いを感じる。
きっと私だけではないはずです。
この記事は、こんな人におすすめです
創作活動をしていて、AIの進化に不安や焦りを感じている方
自分の「好き」や「得意」が、いつかAIに取って代わられるかもしれないと漠然と感じている方
創作や表現活動への意欲が、少し揺らいでしまっている方
自分だけの「価値」って何だろう、と考え込んでいる方
こんにちは。
メンタルケアマガジン「それでもきっと、だいじょうぶ」へようこそ。
今回は、AIと創作、そして私たちの心、という少し特別なテーマについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。クリエイターの方々に、特に読んでいただけたら嬉しいです。
AIが書いた物語の方が「面白い」という現実
少し前に、衝撃的なある研究論文に出会いました。
2025年(今年)に発表された「Of love & lasers: Perceptions of narratives by AI versus human authors」という論文です。
この研究がやろうとしたのは、とてもシンプルな問いに答えることでした。
「AIが書いた物語と、人間が書いた物語。人はどちらを高く評価するのか?」
研究の結果は、私にとってかなり衝撃的でした。
没入感、楽しさ、読み応え、キャラクターへの共感度、ストーリーの巧みさ。
これらの項目で評価した時、なんとAIが書いた小説の方が、人間が書いた小説よりも高い評価を得ていたのです。
もちろん、これは限定的な研究の結果です。
でも、比較されたのは、そこらの素人が書いたものではありません。クリエイティブライティングを専門に学ぶ大学院生たちが書いた小説と、ChatGPTやGeminiといった、フロンティアAIが書いた小説の比較です。
創造性という項目だけ、かろうじて人間がAIを上回ったものの、その差はごくわずか。
芥川賞作家の九段理江さんが、受賞作の一部をAIで執筆したと公表し、大きな話題になったことも記憶に新しいですよね。
もう、お絵描きも、音楽も、そして物語でさえも。
AIが生み出したものが世に溢れ、いずれ人間が作ったものと見分けがつかなくなり、やがてはAI製の方が「質が良い」と評価されるようになるかもしれない……。
そんな遠い未来、と思っていたことは、すでに未来ではなく、「現在」になっている。そんな現実を、この研究は教えてくれます。

私が、創作の価値を見失いそうになった日
実は私にも、似たような経験があります。
プログラミングという、多分詳しくない方からすれば、創造性のなさそうな作業についてですが……。
ある種のプログラマ―にとって、「プログラミング」というのは創造性を発揮する場でもあるんですね。いかに美しく、考え抜かれたコードを書くか。それはエンジニアの腕の見せ所でもあった。
でも、最近ではAIに指示すると、ほんの数秒。
私が頭の中で描いていたイメージを、曖昧な言葉で指示するだけで、AIは美しいコードを何千行も書いてくれます。
何時間も、時には何日もかけて一つのソースコードを仕上げる私。
でもそれをさらにブラッシュアップして美しいソースコードにするには、多くの時間がかかります。
だから、そのあまりの速さとクオリティに、しばらく言葉を失いました。
「便利になって、嬉しい」
という気持ちもありつつ。なんだか一種の無力感を覚えます。
「私が、私たちが、これまで時間をかけて積み上げてきた技術や感性って、何だったんだろう……」
それは、文章を書く時も同じです。
構成に悩み、言葉を選び、何度も書き直して、やっとの思いで一つの文章を紡ぎ出す。その苦しみも喜びも知っているからこそ、「AIの方がうまい」という現実は、自分の存在価値そのものを揺るがすような衝撃を与えてきます。
もう私が書く意味なんて、ないんじゃないか。
そう感じて、PCを閉じた夜もありました。
でも、私たちは「誰よりも上手いから」書いてきたわけじゃない
心が弱っていると、つい「AIに勝てるか、負けるか」という土俵で考えてしまいます。
でも、少し冷静になって、自分の心に問いかけてみると…。
そもそも私たちは、「この世界で誰よりも文章がうまいから」という理由で、創作を続けてきたのでしょうか。
きっと違いますよね。
自分よりも圧倒的に上手な作家さんの本を読んで打ちのめされたり、才能の差に嫉妬したり……。そんな経験は、AIが登場するずっと前から、誰もが経験してきたことのはずです。
それでも、私たちは書いてきた。
描いてきた。
作ってきた。
なぜなら、そこには技術の上手い下手だけでは測れない、もっと大切な何かがあったからです。
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