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なぜ、あの日の後悔だけが生々しいままなのか? 「自分を許せない」心の仕組み(前編)

心の引き出しに、鍵をかけて仕舞い込んでいる記憶はありませんか。

今も、昨日のことのように思い出せる、あの後悔。

「あの時、私が違う選択をしていたら、あの人を傷つけることはなかった。……でも、もう取り返しがつかない」

人生経験を重ねるほど、誰の心にも一つや二つ、そんな風に自分を責めてしまう記憶があるものです。

なぜ、私たちは自分を許せなくなってしまうのでしょう。

そして、どうすればその重荷を下ろすことができるのでしょうか。

今回は、「自分を許すこと」をテーマにしたいくつかの研究を参考に、私たちが「自分を許せない」と感じる心の仕組みについて、じっくりと見ていきたいと思います。


この記事はこんな人におすすめです

  • 過去の失敗をいつまでも引きずってしまう方

  • 特定の出来事について、強い罪悪感や後悔を抱いている方

  • 「自分を許せない」という感覚に苦しさを感じている方

  • 自分を責める癖をやわらげたいと思っている方


※この記事は前後編の前編です。参考とした論文は、最下部にまとめて記載します。

自分を許せなくなる、たった一つの理由

私たちは、日常の些細なミスで、何年も自分を責め続けることはあまりありません。

では、どんな時に「自分を許せない」という深い後悔に繋がるのでしょうか。

研究によると、その理由はとてもシンプルです。

それは、「自分の行動が、誰かや自分自身に、取り返しのつかない害を与えてしまった」と認識した時。

特に、家庭や職場といった身近なコミュニティや、守るべきだと感じていた相手(子どもやペットなど)、そして自分自身が大切にしている価値観を裏切ってしまったと感じる時に、その傷は深くなりやすいことが分かっています。

具体的には、以下のような出来事です。


・コミュニティや他者への裏切り

「職場で追い詰められている同僚に気づいていたのに、見て見ぬふりをした。その人は、心を病んで辞めてしまった」

・守るべき相手を守れなかった

「ほんの一瞬、子どもから目を離した隙に、一生残る火傷を負わせてしまった」

・自分の価値観への裏切り

「いつも誠実であろうと決めていたのに、酔って記憶をなくし、大切な友人をひどく傷つける言葉を言ってしまったらしい。もう関係は元に戻らない」


そして何より辛いのは、その多くが「もうやり直せない」……つまり、今から努力してもどうにもならないという事実です。

考えただけでも、胸が張り裂けそうになりますよね。

自分が誰かを助けられたかもしれない、その責任があったはずだ、という状況は、もし果たせなかった時、このように耐えがたい罪悪感を生むきっかけになるのです。

私自身、こうした苦い後悔をいくつも抱えています。

仕事で、十分にケアできなかった後輩や同僚のこと。セクハラに気づきながらうまく助けられなかったこと。きつい一言を投げかけたまま、亡くなってしまった先輩……。

「私にもっとできたことがあったはずだ」
「どうしてあんなことを言ってしまったんだろう」

取り返しがつかないからこそ、その思いはいまだに私を暗い気持ちにさせます。

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