伝わらないと悩む前に。「思いを優しく届ける」アサーティブなコミュニケーション
「言わなきゃよかった」
「思い切って伝えてみたら、意外と理解してもらえた」
あなたは、どちらの経験が多いですか? 自分の気持ちを素直に伝えるのは、意外と難しいものですね。
私たちの会話の中の「見えない壁」
「あの人に迷惑をかけたくない」「嫌われたくない」「でも本当は…」
日常の中で、こんな思いを抱えながら言葉を飲み込んでしまうこと、ありますよね。私自身、相手の反応が怖くて本音を言えなかったり、逆に感情的になって後悔したり。そんな経験を何度も繰り返してきました。
人間関係には、大きく分けて3つのタイプがあります。
・攻撃的なコミュニケーション
自分の主張ばかりを押し通し、相手の意見や感情を軽視してしまうパターン。短期的には自分の要求は通るけれど、長い目で見ると関係性が壊れがち。
・非主張的なコミュニケーション
自分の気持ちは脇に置いて、相手に合わせてばかり。一見円満に思えますが、心の中に不満が積もり、いつか爆発することも。
・アサーティブなコミュニケーション
自分も相手も大切にする対話法。お互いの思いを尊重しながら、最適な着地点を探していく姿勢。
誰かと本当に分かり合えるとき、そこにはアサーティブなやり取りが生まれています。
「察してほしい」の落とし穴
よく「空気を読む」「察する」という言葉がありますが、本当のところ、他人の気持ちを100%読み取ることはできませんよね。気づかないうちに、小さな誤解が積み重なっていることもあるかもしれません。
私の母も、「言わなくても分かって欲しい」と思う方で、すれ違いの多い関係でした。あなたにも、「察してよ」という気持ちの押し付け合い、心当たりがあるかもしれません。
思いは言葉にしない限り、相手には届きません。
でも、どう伝えたらいいの?
伝えようとすると、ケンカになってしまう。
そんな方に知って欲しい技法が、「アサーティブコミュニケーション」なんです。ここからは具体的な方法をお伝えします。
気持ちを運ぶ技術
アサーティブに自分の思いを伝える基本は、シンプルです。
・まず、自分の気持ちを知る
感情は複雑です。「なんとなくモヤモヤする」から一歩踏み込んで、「寂しい」のか「不安」なのか、自分の心の声に耳を傾けてみましょう。「怒り」や「苛立ち」があなたの根本的な感情でしょうか?
「本当は、蔑ろにされているみたいで、寂しい」「本当は、爪弾きにされているようで、不安」といった本音が隠れていることもあります。
よくよく自分の感情を振り返ってみると……「怒り」の感情の裏には、たいていの場合、「傷つけられた」「私のことを大切にしてもらえなかった」という悲しみが隠れている場合が多いと思います。あなたは、どうでしょうか?
・「私は〜と感じています」と伝える
「あなたがこうだから」ではなく「私はこう感じている」と伝えると、相手も受け取りやすくなります。例えば「あなたは約束を守らない」より「約束が変更されて私が困ってる」と伝える方が、相手の防衛反応が少なくなります。
・具体的な行動や状況を示す
「いつも」「絶対」といった過去の相手を責めたり、抽象的な言葉は避け、「今日の打ち合わせで」など特定の出来事について話すと伝わりやすいです。
分かってはいても、責めたくなるその気持ち、分かります。でも、「相手に向かって話しかける」ということは、「相手に分かってもらいたい」という願いが隠れているはず。「自分の言葉の刃で相手を傷つける」ということは本当の目的じゃない場合がほとんどですよね。その「根本的な願い」に立ち返りましょう……。そして、安心して愚痴を言える場所も用意しましょう。
例えば「何でいつも連絡してくれないの?」は非アサーティブなコミュニケーションですが、「連絡がないと不安になるから、連絡してくれたら助かる」という伝え方はアサーティブです。
どうでしょう、なんとなく掴めるでしょうか。
先日、上司が「電話したのに連絡がつかなかった」と怒っていました。以前なら不満をため込むか、感情的に訴えていたかもしれません。
でも、自分の状況(その日は電話連絡はないと聞いていたので、電話に出れる状態で待機していなかった。しかし、電話に出れなかったことで、あなたの時間や配慮を無駄にしてしまい、申し訳ない)と気持ちを冷静に伝えたら、「そうだったんだ」と意外にもあっさり納得してもらえたんです。
相手の話を「受け取る」技術
伝えるだけでなく、相手の話を聴くことも同じくらい大切です。心理学者のカール・ロジャーズは、人間関係を育む3つの条件を提案しました。
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