「本音を話してよ」で「本音」を話すと、むしろすれ違う心理学的理由
「本音を話してほしい」「腹を割って話そう」「ありのままの気持ちを教えて」
こんな風に言われたこと、ないですか?
そして、実際に「本音」らしきものを話したら、「そんな風に言われるとは思わなかった」と、想定とは逆の反応をもらう……。
経験があるのは、私だけじゃないはずです。
この記事はこんな人におすすめです
・「本音を話して」と言われて正直に話したら、相手を怒らせてしまった経験がある方
・相手の言葉の裏を読むのが苦手で、コミュニケーションに疲れを感じている方
・自分を取り繕わず「ありのまま」でいたいけれど、人間関係も大切にしたい方
・愛着スタイルとコミュニケーションの関連について知りたい方
フランスには
「すべてを理解することは、すべてを許すことである」
ということわざがあります。
そして英語には、
「すべてを理解することは、何も許さないことに等しい」
という言葉があるそうです。
これらは、矛盾するようで、考えてみれば、どちらも真実であるように思えます。
今日は、なぜ相手の要望のままに本音を話したのに、理解されず、かえって関係が悪化してしまうのか……について、私の経験や、社会心理学の研究を引用しつつ、考えてみたいと思います。
「腹を割って話そう」の罠
まずは、私自身の経験からお話してみます。
前提はかいつまんで話しますが、昔、上司と飲みの席で
「YeKuさんの本音を教えてよ。今日は腹を割って話そう」
と言われたことがありました。
なんて懐の深い上司なんでしょうか!
私は本音を言うことにしました。
「まず、みんな明日も朝から休めない仕事なのに、こんな時間(22時過ぎ)まで会がお開きにならないのは、明らかに○○課長が今も話し続けているからです。まず一旦解散して、参加したい人だけで2次会を開くべきではないでしょうか?」
沈黙が落ちました。
上司は何度か頷き、下を向いてしまいます。
そしてグラスからお酒を一口、飲みました。
彼はしばらくして言いました。
「ずっとそんな風に思ってたんだ……。ショックだよ」
ちなみに、飲み会はその後30分も延長されました。
あるいは、母との会話でもこんなことがありました。
「YeKuちゃん、もっとこう、親子のコミュニケーションをするべきだと思う。心を開いて欲しい」
そうか、心を開いて欲しいのか。
私は言いました。
「正直、過去の十年近くの経緯があるから難しいんですよね。お母さんは私が当時の話をしても途中で遮って聞いてくれないし、私に言ったことは忘れて、自分は悪くないと言い続けるので、話す気がなくなってしまいました」
(※私は、13歳頃から大人になるまで、母とは基本的に没コミュニケーション状態でした)
母は泣き出して「帰って。もう来ないで」と言いました。
今振り返ると、母と上司の反応は無理もないと思います。
掛け値なしの本音を伝える必要はなかった。
もっと相手が、優しい気持ちになれる言葉をかけられたら、良かった。
「思いやり」という言葉の難しさ
私は昔から空気が読めないというか、自分の言葉を聞いて相手がどう反応するかを予測するのが苦手でした。
「なんて思いやりがない子なの」というのも、よく言われて育ちました。
でも、そういう言葉に、何も感じないわけではありません。
「私は思いやりがないんだ」
と思って嬉しい訳がありません。
問題が根深いのは、「思いやり」という言葉です。
「自分がされて嬉しいことをせよ」とか、「自分されて嫌なことはするな」というのは、自分と人の感性がある程度一致している時だけ、機能する側面があります。
私のように、そもそも自分が嬉しいと思うことを多くの人が喜ばず、自分がされて嫌ではないことも、多くの人が嫌がる。
こういう場合には少し、ほかの人よりも周囲に軋轢を生みやすく、生きづらさを抱えやすいんですよね。
今は、自分では理解できなくても、経験で補っているところが大きいです。
そう、「どうも、失敗したらしい」とは分かるんですよね。
そしてアプローチを重ねると、「こうすれば相手を傷つけずに済む」という経験も積み重なります。
そして学んだこととして、私が思っていた以上に、人は「言葉にされなかった」ことも何となく読み取りながら生きているようだと分かりました。だから、はっきり言葉にしなくても良い場面は多いようですね。
日本に来てしばらくした海外の方が、同じような感想を述べているのをよく見ます。
もしかすると日本のハイコンテクスト文化が、私には特別適応しづらいものだったのかもしれません。
人が本当に求めている「本音」とは
noteでも、本音を書いて欲しいと言われて、本音やありのままの話を書くと、なんだか微妙な反応を頂くことが多い気がします。
私にとって不思議なことでした。
「本音を話してほしい」と言っていたとしても、どうも「本当の本音を聞きたい」ということではないらしい。
どういうことなのか、調べてみると、面白い研究が見つかりました。
実は人って……、
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