「私は孤独だ」と考え続ける人ほど、心は苦しくなっていく。
友だちがいない。
話し相手がいない。
自分のことを分かってくれる人が、どこにもいない気がする。
人生において、誰しも一度はそんな感覚に襲われたことがあるのではないでしょうか。
けれど、最近の研究で、1つ手がかりになりそうな知見が出ています。
孤独を「感じること」よりも、孤独について「繰り返し考え続けること」の方が、苦しい時がある。
この記事はこんな人におすすめ
・ふとした瞬間に「自分は一人だ」と感じて、気持ちが沈みやすい方
・人に囲まれていても、どこか満たされない感覚がある方
・孤独について延々と考え込んでしまう自分に、疲れている方
・今は元気だけど、いつか孤独を感じたときの備えが欲しい方
こんばんは。今日もお読みくださり、ありがとうございます。
孤独って、普段は感じていなくても、例えば体調が悪い時や、イヤなことがあった夜には、特に強く感じることがありますよね。
午前3時に起きて、「誰も私の側にいてくれない」とクヨクヨ考えてみたり。SNSで楽しそうに交流している誰かを見て、「どうして私は…」と比べてしまったり。
でも、こんな風に「孤独」を感じること……そのものより、頭の中でずっとリピートし続けてしまうことの方が、「心」には良くない。そんな研究を見つけました。
今日は、2025年にNature Mental Healthに掲載された研究を手がかりに、「孤独感」と「反芻」の関係について書いていきます。
まず整理したい、2つの「孤独」
「孤独」という言葉には、実は2つの異なる意味が混ざっています。以前別の記事でも書きましたが、
1つは孤独感(loneliness)、つまり主観的な感覚です。「望んでいる人との関わりと、実際に得られている関わりの間にギャップがある」と感じたときに生じる苦痛のこと。
もう1つは社会的孤立(social isolation)、つまり客観的な状態です。物理的に人との接触が少ない、関係の数が限られている、といった事実を指します。
この2つは、必ずしもセットではありません。
前にも書きましたが、私のように、一人暮らしで外出がほとんどなくても、「これが自分には合っている」と感じていれば、孤独感はさほどないこともあります。
逆に、職場にも家庭にも人がいるのに、「誰にも本音を言えない」と感じていれば、その人は孤独です。
周囲から見た状況と、本人が感じている痛みは、一致しないことがある。
ここを混同してしまうと、「友だちが何人いれば安心」「人と会う頻度を増やせばいい」という話になりがちですが、実際はそんなに単純ではないんですよね。
孤独と気分の落ち込みをつなぐのは「反芻」だった
香港大学らの研究チームが、900名を対象にネットワーク分析を行った研究があります。
「A network analysis of rumination on loneliness and the relationship with depression」(Luo et al 2025 Nature Mental Health)
この研究では、孤独感・反芻・うつ症状の3つがどのように結びついているかを、項目レベルで詳しく調べたそうなんです。
結果は、意外なものでした。
論文にはこう書かれています(意訳)。
孤独感そのものは抑うつ症状と堅固には結びついていない。
むしろ、「自分がどれだけ孤独かについて考える」という特定の反芻思考と、「どのくらいの頻度で孤独を感じるか」という孤独の項目が結びつくことが、孤独・反芻・抑うつのネットワークを維持する上で不可欠だった。
つまり、孤独を感じること自体が直接抑うつを引き起こすのではなく、孤独について「繰り返し考え続けること」の方に関連性がある。
「私はこんなに一人ぼっちだ」
「どうして私には人との関わりがないのか」。
答えの出ないまま何度も頭の中で反復してしまう。
この「反芻」と呼ばれる認知のパターンが、孤独感を気分の落ち込みへと深めていく経路になっている可能性が高い……。
という発見です。
研究の中では、この橋渡しの強さが偏相関係数で0.307と報告されており、ネットワーク全体の中でも際立って強い結びつきでした。
実は、この「孤独と反芻が、抑うつをつなぐ要になる」という見立ては、以前から別の研究でも示唆されてきました。
中国の高齢者施設で行われた6か月の縦断研究(Gan et al 2015 PLOS ONE)。
別の研究では、香港の成人およそ2000人を対象にして、孤独感と抑うつの結びつきが「反芻の強さ」によってどう変わるかが調べられています(Tong et al 2021 Innovation in Aging)。
つまり、今回紹介した2025年のNature Mental Health掲載の研究は突然出てきたものではなく、それまで「孤独と抑うつの間に反芻が関連している」と指摘してきた一連の研究を、さらに裏付けるものでした。
「考えるな」では止まらない
ここまで読んで、「じゃあ孤独について考えなければいいのか」と思った方もいるかもしれません。
でも、
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