「涙の数だけ強くなれる」は本当? 挫折と「心的外傷後成長(PTG)」の光と影
「苦しんだ分だけ、人は強くなれる」
これって私たちが「信じたい」言葉ですよね。
私だってそうです。アニメやドラマでも、繰り返し語られるテーマです。子どもの頃から、素朴に信じていました。
日本人は特に「我慢」が得意な国民性で、この信念が強いかもしれません。
「苦労は買ってでもしろ」。
「涙の数だけ強くなれる」なんていう歌もありました。
この記事はこんな人におすすめです
大きな挫折や困難を経験した方
自分の苦しみに意味を見出したいと感じている方
「苦労は買ってでもしろ」という考えに疑問を持つ方
しなやかに生きていくためのヒントが欲しい方
こんにちは。メンタルケアマガジン「それでもきっと、だいじょうぶ」へようこそ。
冒頭に書いた通り、「苦労した分、強くなれる」……。
そう信じたかったのですが、私のように、実際に大きな困難が続くと、「そんないいもんじゃない」っていう現実にも気づきます。
多少の傷があっても、まっすぐ伸びた木は安定しています。
途中で折れた木は、その部分がまた折れやすくなります。
そんなイメージを持っていました。
でも実は、心理学的にも
「苦しんだ分、人は強くなれる」
理論について研究が行われています。
心的外傷後成長(Post-traumatic Growth: PTG)
です。
今日はこれについて見ていきながら、私たちにとっての「挫折」と「人生」がなんなのか、少し考えてみましょう。

心的外傷後成長(PTG)とは?
PTGは、トラウマや非常に困難な状況に苦しんだ結果として生じるポジティブな心理的変化です。
まさに、「人は苦労した分、強くなれる」という理論です。
起源は1980年代頃までさかのぼります。
アメリカの心理学者、リチャード・テデスキとローレンス・カルフーンが、大人になってから、深刻な身体的障害や外傷的悲嘆を経験した人々に聞き取り調査を行いました。
すると、「むしろ、以前と比べて人間的に成長できた」といったポジティブな変化が見られたというのです。
心理学の分野で定式化されたのは、1996年です。
トラウマ的出来事を経験した人々を対象に、肯定的な結果を測定するための尺度として発表しました。
以下が主要な項目です。
新たな可能性(New Possibilities)
他者との関係(Relating to Others)
人間としての強さ(Personal Strength)
精神性的な変容(Spiritual Change)
人生に対する感謝(Appreciation of Life)
出典:Tedeschi RG, Calhoun LG. The Posttraumatic Growth Inventory: measuring the positive legacy of trauma. J Trauma Stress. 1996 Jul;9(3):455-71. doi: 10.1007/BF02103658. PMID: 8827649.
ちょっと抽象的なので、具体的にざっくり言うと……。
困難を経たことによって、
人生の新しい道筋が開けた
より良いことができるようになった
人を頼ることのありがたみが分かった
人に思いやりや感謝の気持ちが持てるようになった
人の弱さに寄り添えるようになった
自分自身を信頼できるようになった
困難に対処する力が上がった
自分の中の新しい「強さ」に気づけた
「心」についての理解が深まった
人生の優先順位が変わった(出世→幸せ、自己利益→みんなの利益、など)
人生の価値に気づけた
困難に遭った人々の多くがこれらの良い変化を経験したというのです。
どうでしょう、あなたの「困難」はこういうポジティブな影響をもたらしてくれましたか?
もしそうなら、それには心的外傷後成長(PTG)という名前がついています。
実際には…
この理論、すごく勇気づけられますよね。
なんだかこれまでの苦しみが報われるような気持ちになります。
実際にはどうでしょうか?
私の個人的な経験で言えば、
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