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「犯人に恋をする」は本当?「ストックホルム症候群」という都市伝説

ストックホルム症候群(シンドローム)。
聞いたことがありますか?

「人質が、犯人に恋をしてしまう」

映画やドラマで、そんな展開を見たことはあると思います。
極限状態の中で芽生える、歪んだ愛の物語。

私自身も以前、そんなシチュエーションを小説で書いたことがありました。
(※愛は生まれていません)

いずれにせよ、人質などが犯人に好意を持ったり、庇ったりしてしまう…こういう現象を指して、私たちは「ストックホルム症候群」と呼んできました。

私も昔から、「極限状態では、人の心にそんな不思議なことが起きるんだな」と、なんとなく信じていました。

でも、もしそれがただの「都市伝説」だったとしたら?

最近、とくに海外の小説などを読んでいて、「ストックホルム症候群」は存在しない、という話を聞く機会が増えました。

それで調べてみたのですが、実はこの有名な「症候群」、正式な病名ではありません…。

それどころか、科学的な根拠も乏しいという事実があるようです。

今日は、「心」について深く知る取り組みの一環として。

名前だけが独り歩きしているこの言葉の正体を、近年の研究などを元に、深掘りしたいと思います。

もしかしたら、あなた自身や大切な人の「理解できない行動」を解き明かす鍵になるかもしれません。

この記事はこんな人におすすめです

  • 「どうして逃げなかったの?」と、被害に遭った時の対応を責められた経験がある方

  • DVやモラハラ関係から抜け出せず、「自分がおかしいのではないか」と悩んでいる方

  • 心理学や、人間の心の防衛本能に興味がある方

  • 「ストックホルム症候群」という言葉に、漠然とした違和感を持っていた方


このブログはなるべく論文や参考書籍などの客観的な事実に添ってお届けします。個別の出典は記事中に[1][2]といった参照番号を記載しますので、根拠が気になる方は文末の出典一覧をご参照ください。

「ストックホルム症候群」ってそもそも何?

事の発端は、1973年。スウェーデンのストックホルムで起きた銀行強盗人質事件でした。

人質となった行員たちが、犯人を恐れるどころか、警察に敵対的な態度を取ったり、犯人を擁護したりした。
この不可解な行動を説明するために、当時の犯罪学者やメディアが名付けたのが「ストックホルム症候群」です。

それ以来、この言葉は

「被害者が加害者に好意や信頼を寄せる奇妙な現象」

として、世界中に広まりました。

精神医学の専門用語だと思っている方も多いでしょう。

でも実は、メディア報道の中から生まれた印象でできた「お話」なんですね。

実際に、アメリカ精神医学会が発行する『DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)』など、主要な診断基準に「ストックホルム症候群」という病名は存在しません。

なぜなら、それを定義づけるための検証された診断基準や、存在を裏付ける実証研究がほとんどないからです。[1][2]

ちょっと意外な話じゃありませんか?

なぜ「症候群」と呼ぶのは問題なのか?

「でも、実際に犯人をかばうような行動はあるじゃないか」
そう思われますよね。

確かに、被害者が加害者に迎合するような態度は見られるんです。トラウマティック・ボンディングとも呼ばれます。

でも、それを「症候群(シンドローム)」と呼ぶことには、大きな問題があります。

被害者の行動を「病気」や「異常」として扱ってしまうこと。

「あの人はストックホルム症候群だから」というレッテルは、加害者の暴力性から目をそらし、被害者を「奇妙な反応だ」と責めてしまう危険性があると思いませんか?

実際には、それは病気ではありません。
極限状況を生き抜くための、正常で合理的な「サバイバル戦略」。

「症候群」という言葉にしてしまうと、被害者が必死に生き抜こうとした経験を、単に「病気だから」というレッテルに貶めてしまうんですよね。

でも精神障害も、レッテルになりがち

私自身も精神疾患を抱えているので、「あの人は精神病だから、あの行動も症状のせいだ」といった言葉に少しモヤモヤすることがあります。

実際に病気ではあるので、どこまでが私の「人格」でどこからが「病気」なのかは自分にとっても判然としません。

でも、自分が考えて取った行動の全てを「病気だから」で片づけられるのって、なんだか屈辱的に感じることがあります…。

逆もよく聞きます。

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