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香港で合気道を習ったら

 日本で生まれた武術、合気道。

・・・を香港で習い始めた私。

香港で合気道をされていた友人の彼氏さんにご紹介してもらい、まずは見学。香港だから結構なんちゃってかな~と思っていましたが、ちゃんと皆道着を着て、体育館に備え付けの畳を敷いて、真剣に黙々と練習していました。

その 「しん」、とした空気と、体軸のぶれない美しい身の裁きに私は目を奪われ心を鷲掴みにされ、その日そのまま入会しました。

そこは何と週7日制で、月額300$(約4000円)で、通いたい放題でした。もう、それはそれは体得したくて、楽しくて週に3~4日通いました。

では、こんなに心を揺さぶられたのに何故たった3年で終わってしまったか・・・。(結論早っ)

結論①言葉の壁

これが一番の原因ですが、この頃、私は全く広東語ができませんでした。香港赴任直後だったので、英語の聞き取りも全然ダメでした。

(当時私のコミュニケーション言語は北京語オンリーでした。)

でも、合気道のレッスンは英語か広東語です。週7日制で曜日ごとにコーチが決まっているのですが、

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こういうスケジュールでした。

合気道レッスンはオフィス向かいの公園にある体育館でやっておりましたので、私は基本平日の仕事終わりに練習していました。すると、何を言われてるのかさっぱりわからない・・・(;^_^A

 困り果てて、週末の日本人コーチのレッスンに行ってみましたが、日本人の先生も、香港人やフィリピン人やタイ人やイギリス人がいるから完全英語。

日本人だから日本語で説明してやろうとか、そういう事は全くありませんでした。(当時は今ほどヨウツベ先生も多くありませんでしたし)

結論②システムの問題

そもそも、初心者の為にわざわざ特別な時間を割こう、というシステムがそこには存在していませんでした。

完全なる初心者の私は、もちろん基本動作の練習をすべきですが、初心者クラスもなければ、「初心者集まれ~」的な分割もありませんでした。

毎回の2時間レッスンの内、ウォーミングアップの後、全員で列を着いて、前で立ってみているコーチに向かって一人ずつ順番に受け身をするのです。

前受け身、後ろ受け身と二順回ってきます。

私、とか初心者の番になって、ちょっとペースを乱したりすると、脇に場所をずらして、後続の人が私達のペースに邪魔されることなく続々とやっていきます。(じゃあ初心者は列に並ばなくていいじゃん、って感じですが)

で、その外れた横っちょで、その日のコーチや大先輩あたりが、動作をやって見せてくれるのですが、何を言われてるか、さっぱりわからない。

見様見真似・・

なのに、皆が二順したら終わりなので、レッスンの間に回転受け身を練習する時間が10分くらいしかないわけです。なので、回れても回れなくても一回で終~了~!

合気道の受け身は柔道の受け身と少し違って、基本は刀での立ち回り、または素手の自分と刀を持った敵との立ち回りの実戦を想定しているので、受け身をとってもすぐ起き上がります。

やった事のない方は、ピンとこないと思いますが、でんぐり返しとは全く別物で、上から下まで一直線で行くでのはなく、右から左、左から右と手→肩→背中→腰、と斜めタスキ掛けの対角線上にショートカットで回ります。

参考に柔道と合気道の前回り受け身を貼っておきますので、お時間ある方はどうぞご覧ください。

これが最初の内は、受け身のリード線となる「手を張る」感覚がなかなかつかめないのです。

「え?手一本でこの体重を支えるの?!」って感じで、ビビってしまってなかなかできません。でも手を弧に張れないと、潰れて直接肩を打ったり、鎖骨に衝撃を与えてしまい怪我してしまうのです。

私も合気道をやめる直前まで、どうしても怖くて、受け身の練習時間がほとんどないのをいい事に、なんちゃってのままでした。(←オイ!)

ついでに、更に特徴的な後ろ回り受け身も貼っておきます。

受け身は防御の基本ですから、コツをつかむまではしっかり身体に覚えさせる必要があると思いますが、レッスンの中ではそういう時間がなかった事。

そしてもう一つ、合気道には「膝行(しっこう)」という膝で歩く技(?)があるのですが、コーチによっては全然やらない人、逆にこれで鬼ごっことかさせるコーチとかいるわけです。

すると動作の正確さよりも、皆逃げる事に必死になるので、正確さが後回し。ですが、膝での歩行なので下手にやると膝関節にもろに負担がかかるという恐怖の鬼ごっこ。

私が膝を傷めた原因の一つもコレかもしれません。

結論③理論、力用を理解できずにやっていた人が大半だった問題:

武術は科学です。

合気道は間接を決める技が多いので、正しい方向に落とせば、技を掛けられた方は、倒れるしかありません。ここで下手に抵抗しようもんなら、筋を傷めたり、骨を折ったり、自分が痛い目を見ます。

やられるしかない。I have no choice!ってヤツです。

正しい運用ができれば、技を掛ける方は小さな力で、技を掛けられる方は自分からやられに行くしかない、という、すごい力学に基づいた「The 護身術」な技も多くあります。

ところが、レッスン中は、ただただ実践あるのみで、技の前にコーチがデモンストレーションを行う時も「右手を摑んで、自分がこっちに移動して、下に引く」的な、見てわかる事を言ってるだけなので、技に籠められている巧みさが全く伝わらない訳です。

すると、何が起こるかって?力で無理やり持って行くわけですよ。

大半が男性生徒でしたから、皆かなり「力づく」でした。

無理やり抑えつけに来られるわ、技が正しく掛かってないから抵抗できてしまうわ、抵抗するから、更なる馬鹿力で抑えつけられるわ、で、やっぱりケガ人続出でした・・・。

でも、練習後の「レッスン2」という名のご飯で、皆がワイワイ広東語で騒ぎながら食べるのを観察するのも楽しくて、自分が仕事以外に、こうした香港人ソサエティの一員になっている事が嬉しくて、皆合気道に関しちゃコーチや数名を除いてダメダメだけども、中国に練習に行ったり、誰かの家に集まったり、かなりの仲良し集団でした。

そして、香港の人たちは基本的に「忖度」という事は一切無しなので、「おい、このシステムおかしいぞ。ビギナークラス作れよ。」的な意見も何でも躊躇なく活発に出ていました。日本人的には、年齢、立場、全く関係なく恐ろしい程対等でした。

受け身もできない、技の理屈もわからない、合気道自体は上達しないけど、気のいい仲間達との楽しい時間。

そう、私の人生を変える、あの人が現れるまでは―――。

・・・って、香港合気道〇会がダメダメ、という事ではなくて(問題がない、とは言わないけど)、合気道を真に理解する事が、とても難しい事だという事を伝えたかったのです。

コレ↓↓は香港合気道〇会のデモンストレーション演武です。

一分半以降立ち技になってから、本当に美しい、体重とか衝撃とかを感じさせない合気道らしい猫のような受け身が見られますので、お時間許せば是非見てください。

つづく

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