リアルスクールウォーズ
ご機嫌いかがでしょうか。Yukiです。
前回、僕の記憶に強く残る印象的な学生時代の先生を3人ご紹介しました。そのうち、T先生はエピソードがありすぎて、1つの記事にした方がいいのではないかと思い立って、今回はT先生と僕とのエピソードをご紹介します。一部前回と重複するかもしれませんが、ご了承ください。
T先生について
まずは、人物像を紹介しよう。T先生は僕が高校時代にお世話になった理科系の先生で、1年の2学期から物理の授業で半年間お世話になった。
また、強豪アメフト部の監督として指揮を取っていて、過去に何度も全国大会出場へ導いた名将なのだ。
T先生は僕が授業でお世話になる以前、胃がんで闘病していたことがあって、胃を摘出する手術をしたことを授業内で話している。以前とは比べると体型は大幅に変化したと話すが、後にそれを感じさせないパワフルさを僕は感じることとなった。
明るさを与えてくれた
T先生は僕が高1の2学期から物理を担当するようになった。T先生の授業は非常にユルい。授業とは一切関係ない他愛ない話で時間が過ぎ、チャイムが鳴ることは珍しくなかった。しかし、話のセンスが良いのか皆大爆笑で隣で授業していても、その声が大きく響くぐらい。それは僕を元気にさせるほどだった。僕が部活での失言を引きずっていたときのこと、落ち込んでいて、最初は笑えなかった。しかしその後、先生のトーク術からなのか気がついたら自然に笑えるようになった。
また、成績評価も先生の意向で赤点が付くことはほぼ無い。非常に器の大きい先生だった。物理を苦手としていて、20点台を連発していた僕だったが、評価はギリギリの3を付けられていた。
愛校心を呼び覚ます
T先生の言葉によって我々の「愛校心」を開花させるという出来事は非常に印象的だった。
ある日、部集会が開かれたとき、T先生が登壇した。その内容は母校と合併する新校名が公募の結果、近隣校の名が票を集め決定してしまったという話だった。
「なんでなん?」
T先生はこの言葉を数回連呼し、淡々とおごそかに、期待通りに行かなかった驚きと寂しさを滲ませていた。
続けて先生は、校歌の声量の小ささや覚え切れていないことを指摘した。この当時は校歌をあまり覚えている人は少なく、声量はあまりにも小さく弱々しく聴こえた。その危機を看破され、そこから学校が大きく動いた。体育の時間の一部を校歌を練習に充てることとなったのだ。音楽の授業でも充てられそうだが、選択制だったため、このスタイルとなった。加えて、野球部は練習前にも校歌の練習に時間を割くことになって、グラウンドには大きく校歌がこだまし、弓道場にも響いてきた。
すると、校歌斉唱の声量は大幅に増し、活力を取り戻したような雰囲気だった。僕の中だけの話だが、「愛校心」が大きくなったような気がして、今や母校の誇りを持てるまでになった。
1人の先生の熱意と鶴の一声で学校を変革するという力は凄まじかった。そして、我々の「愛校心」を呼び覚ましてくれたのだと僕自身は感じている。
応援団と僕が輝いた瞬間
僕が3年になったある日、T先生は部集会にて。
「文化祭で応援団をやろう」
「愛校心」の集大成、閉校前の思い出作りとして、文化祭で応援団のパフォーマンスをやると提案したのだった。一通り振り付けを教えられた後、先生は誰かパフォーマンスの前座の台詞を言わないかと募った。僕はそれを聴き、自己否定を回復させ、自分が輝くチャンスだと思い、他2人とともに名乗りを上げた。練習のとき、僕は元から声量が大きかったのか、特にダメだしを食らうことは無く、いい雰囲気で練習できた。
そして、文化祭本番。「お前、あの子にええとこ見せんでええんかよ」と友人に突っ込まれながらも、「これから輝くんや、見とけ!」心の中で叫びつつ、多くの人にはこの後のことを内緒にし、そのときを待った。
時が満ち、T先生の太鼓一発の合図で、我々3人は前へ。僕の台詞からスタートするのだが、緊張したのか、最初で噛んでしまい爆笑の嵐。それでも、やり遂げようと台詞を言い直し、2人目、3人目と続き、パフォーマンスに繋げる僕担当の〆の台詞は、大きく胸を張って、1噛みもせず言い切った。
本番後、先生は出だしについて「何してんねん!」とツッコミつつも「緊張したか」と温かな言葉も掛けられました。「終わり良ければ、全て良し」というところだろうか。それでも、僕自身が高校時代1番輝いたのは大きな成果だと僕は思う。
最強の教師
これらを綴るにあたって、僕は先生の名を検索していた。調べると、T先生は前任校でも母校に匹敵する手腕を発揮していた。荒れていた生徒の更生や様々な困難を抱えた生徒たちへの「厳しくもきめ細かな指導」をアメフトを通じて実践し、県から教育表彰を受けた実績を持っている。
改めてT先生の指導能力の高さ、人の良さを知った僕。個人的には「リアルスクールウォーズ」のようにも感じて、今まで出会った中で最強の教師だと僕は思う。
自己否定の強さでイケてなかった高校時代において、僕が1番輝いた瞬間を作ってくれた部分でも、実力の片鱗を目の当たりにしたことになると思った。
新聞の人事異動欄では定年後の再任用で今でも教鞭を取っているそうだ。いつか、もう一度会いたいと僕は願って止まない。僕を勇気付けたあのパワフルさをまた、肌で感じてみたい。
いいなと思ったら応援しよう!
ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。