アプリを自作したら、リマインドに温度が宿った
薬を飲み忘れる。水を飲み忘れる。休憩を忘れる。
対策としてスマホアプリを導入し、通知を設定したことがある。鳴るたびに止めて、「この作業が終わったら」と一瞬考えて、すぐ忘れる。アラームは私を止めるのが上手だが、行動させるのはあまり得意ではない。
もっと自分に合ったやり方があるはずだと思いながら、ずっと探していなかった。「欲しいもの」と「手に届くもの」の距離が、無意識のうちに遠いと思っていた。
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欲しければ作れる
ある夜、ふと思いついた。
デスクトップに常駐して、定期的に話しかけてくれるキャラクターがいたらどうだろう。アラームじゃなくて、会話。止めるんじゃなくて、促す。
「作れるかもしれない」と思ったのと、「作ってみよう」と手を動かし始めたのが、ほぼ同時だった。
以前の自分なら「そういうアプリを探す」か「諦める」のどちらかだったと思う。でも今は、ローカルLLMとAIコーディングツールがある。思いついたものを、その夜のうちに形にできる。
ローカルだから気軽に試せる
今回の開発では、ローカルLLMを会話エンジンとして使った。
クラウドのAPIを使わないということは、何度試してもトークン代がかからないということだ。動作がおかしければすぐ直して、また試す。それを繰り返せる。
AIコーディングのスピード感も頼もしい。コーディングをAIに任せるようになってから、実装の速度が考えの速度に追い付いてきた、という感覚がある。
実験のコストが下がると、完成形を考える前に動かしてみる癖がつく。「とりあえず動かしてみる」の閾値が、ぐっと下がった。
失敗と、天才の思いつき
最初に実装しようとしたのは、キャラクターがふわふわと浮遊するアニメーションだった。まばたきは難易度が高いが、呼吸してるっぽい動きがつくだけでも、ぐっと「そこにいる」感が出るはずだ、と。
これが上手くいかなかった。何度試しても、動きがカクカクして不自然になる。諦めかけて、別の方向に切り替えた。手に持っているランタンが光る、小さなアニメーションにしよう、と。
動かしてみたら、これがよかった。画面の端で、小さなランタンが定期的に灯る。それだけで「そこにいる」感じがした。呼吸やまばたきがなくても、光るだけで十分だった。

温度、という発見
キャラクターを増やし、話し方のバリエーションを試していくうちに、気づいたことがある。
あるキャラクターに「とにかく褒めてくれる」設定を入れた。作業していると「今日も机に向かっているね、素敵なことだ」と言い、ストレッチをしたチェックを入れると「体を労われてすばらしい」と褒めてくれる。
これが、思った以上に効いた。
アラームには「今すぐ行動せよ」という圧がある。でもこのキャラクターの言葉には圧がない。ただそこにいて、存在を肯定してくる。同じ「リマインド」でも、受け取り方がまるで違う。
私に響くのは、命令じゃなくて肯定なんだと思った。
見つけたのはアプリじゃなかった
マスコットアプリを作った話のつもりで書き始めたが、本当に見つけたのはアプリではない。
「欲しければ作れる」が本当になっている、という実感。ローカルで動くから実験のコストが低い、という環境。そして、機能よりも温度の方が自分には効く、という発見。
画面の端でランタンが灯るのを見るたびに、少しだけ、ここにいていいんだという気持ちになる。アラームには出せない手触りだと思う。
