【YM_DESiGN#003】見えないけれど、たしかにあるもの〜「八百万の神」と、ものを大切にする感覚〜
はじめに
古い布や道具に惹かれる理由は、自分でもはっきり言葉にできないことが多いです。
しかし、使い込まれてきた時間の重みや、人の手の温もりを感じるからかもしれません。
そうしたものを見ると、自然と丁寧に扱いたくなり、次の世代につなげたいと思うようになります。
この感覚は、日本に昔から根付く「八百万(やおよろず)の神」という考え方に通じるところがあると感じています。
1. 「八百万の神」に宿る見えない力
「八百万の神」とは、自然の山や川、木や石だけでなく、道具や食べ物、行いにまで神が宿るとされる日本独自の思想です。
これは宗教や信仰の枠を超え、生活に根付いた感謝や敬意の気持ちとして日々の暮らしに息づいています。
たとえば、もう使わなくなった針や人形に感謝を込める「針供養」や「人形供養」。
これらは、ものに魂やこころがあるという感覚の表れです。
壊れたから捨てるのではなく、「ありがとう」と手を合わせる日本の文化には、ものを大切にする深い精神性があります。
2. 日々の暮らしに息づく「もったいない」の心
ものづくりを進めるなかで、古い布や素材に触れる時間が増えました。
そのなかで無意識に「どう活かせるか」「どうすれば無駄なく使い切れるか」と考えるようになりました。
これは単に経済的な効率の問題ではなく、ものを粗末にしない心の現れだと思います。
目の前の布や道具に敬意を払い、丁寧に向き合うことが、わたしの制作の原点になっています。
3. 使い古された布に刻まれた歩みと温もり
わたしのものづくりは、ゼロから新しく作り出すのではなく、既にあるものの価値や歴史を活かすことが中心です。
使い込まれた布には、その布が歩んできた時間や人の温もりがしっかりと残っていて、
それを感じながら縫い直す時間が、わたしの大切な制作の一部です。
これは単なる修繕や再利用にとどまらず、今あるものを敬い、大切に使い続ける気持ちのあらわれだと考えています。
4.世界にもある、自然やものへの敬意
こうした「ものに宿る命」や「自然への敬意」という考え方は、日本だけのものではありません。
アフリカやアマゾンの先住民族、北米の先住民、古代ケルトの自然信仰、中国の道教、ハワイの古代宗教など、世界各地の文化にも共通して見られます。
地域や文化は異なりますが、自然や身の回りのものに対する敬いの心は、世界共通の感覚と言えるでしょう。
5.八百万の神から祭りへ
日本各地で行われる祭りは、地域ごとに特色が異なりながらも、八百万の神々や自然への感謝や祈りを込めた行事です。
祭り装束や神輿、太鼓などの祭具は、単なる衣装や道具ではなく、神聖な意味や地域の歴史が息づいています。
これらは地域の人々が心をひとつにし、祈りや願いを形にする大切な手段となっています。
おわりに
私たちの日常には見えないけれど確かにある「気配」や「想い」が息づいています。
八百万の神思想は、ものや自然に敬意を払うことの大切さを教えてくれます。
わたしの制作活動の根底にあるこの感覚を、これからも大切に育てていきたいと思っています。
そして、この思いを次のnoteでは日本の祭りや祭り装束に繋げ、さらに深めていきたいと考えています。
🧵 わたしの制作やリメイクの様子は、Instagramでも発信しています。
今回のnoteで綴った想いや考え方が、どのように形になっているのか、ぜひのぞいてみてください。
