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「ただ一人、キミの色だけが視えない」【SF×ラブコメ】あなたに安らぎを届けられたら幸せです。

 この記事に
ご興味を持ってくださった
あなたに心から
感謝いたします。

「#創作大賞2026」
が終了して寂しさを
感じていました。

 そこへ、
「#創作大賞感想」
というハッシュタグを
発見しましたので、
記事を書かせて頂きました。

 また、このところ、
若いマンガ家さんの
ラブコメを読む機会が
ありました。

 テーマの組み合わせが
素晴らしかったので
私も【SF×ラブコメ】で
創作させて頂きました。

 よろしければ、
お時間のある際に
お読みいただければ幸いです。


あらすじ


人の感情が色で視える
高校生神崎蒼。

嘘も好意も見えてしまう
その能力のせいで、
人を信じることも
恋をすることも苦手だった。

そんな彼の前に現れた
転校生、白石紗季。

なぜか彼女だけは
感情の色が見えない。

初めて心の中が分からない
相手に惹かれていく蒼。

しかし紗季にもまた、
大きな秘密があった――。

「視えすぎる」
二人が出会ったとき、
本当の恋が始まる。

SF要素を織り交ぜた、
少し不思議で優しい青春ラブコメ。


「ただ一人、
君の色だけが視えない」

 〜プロローグ〜


 桜の花びらが
風にほどける季節だった。

 人の感情が、
色であふれていた。

 だからこそ、
透明な君に
心を奪われたんだ。

 〜 一章 〜
 「ボクの秘密」


 神崎蒼は、
人には言えない秘密を
抱えていた。

 それは、
人の感情が
色で視えてしまうのだ。

 怒ると赤。
 悲しいと青。
 嬉しいと黄色。

 恋をすると淡い桃色。

 その色はオーラのように
人の周りに浮かぶ。

 幼い頃は、
それが楽しかった。

 しかし、
成長するにつれて、
それは面倒な
能力になった。

「大好き!」
と言いながら
真っ黒な嫉妬を
まとっている人。

「気にしてないよ」
と言いながら
濃い青色を
抱えている人。

 人は思った以上に
本音と建前が
ちぐはぐな状態で
生きている。

 蒼はいつしか人を
信じるのが
苦手になっていた。

 そんなある日。
 クラスに転校生がやってきた。

 白石紗季。

 黒髪を揺らす、
少し大人びた少女だった。

 教師が紹介を終える。
 クラス中の視線が集まる。

 蒼は目を見開いた。

「白石紗季の色が視えない。
そんなバカな‼︎」

 〜 二章 〜
「キミの謎を解きたい」


 人には必ず
感情の色が浮かぶ。

 なのに彼女だけ、
透明だった。

 まるで無色透明の
空気のよう。

「どうした?」

 友人の大地に
声を掛けられ、
蒼は慌てて首を振った。

 しかし、
気になって仕方がない。

 数日後。

 掃除当番で紗季と
二人きりになった。

「転校してきて大変じゃない?」

 蒼が聞く。

「別に」

 紗季は淡々と答える。
 やはり、色は見えない。

「友達とかできた?」

「まあ、それなりに」

「趣味は?」

「読書」

 会話が続かない。
 だが、蒼は不思議と
彼女が気になっていった。

 感情が視えない唯一の存在。
 まるでミステリー小説の
謎解きのようだった。

 それから、
蒼は少しずつ紗季と
話すようになった。

 放課後の図書室。
 帰り道。
 コンビニ。

 気づけば二人で
過ごす時間が増えていた。

 だが、
相変わらず色は見えない。

 ある日、
蒼は思い切って聞いた。

「白石ってさ、
あんまり感情出さないよな」

 紗季は少しだけ笑った。

「そう見える?」

「見える」

「じゃあ、そうなのかも」

 曖昧な返事だった。

 その時だった。

 廊下の向こうから
女子たちの声が聞こえた。

「神崎くんって優しいよね」

「わかる」

「ちょっとかっこいいし」

 桃色の感情が
ふわふわ漂っている。

蒼はうんざりした。

 色が視えるせいで、
自分が誰に
好かれているかも
分かってしまう。

 だからこそ、
恋愛が苦手だった。

 相手の気持ちが
分かってしまうから。

 驚きも、
ドキドキもしない。

 だがしかし、
今回は初めてのケースだ。

 紗季だけは違う。
 何も分からない。

 だから、
知りたいと
思ってしまう。

 その日の帰り道。

 蒼は自然と口にした。

「俺さ、
白石のこと好きかもしれない」

 〜 三章 〜
「私の色が閉じられない」


 蒼はそう言った瞬間、
自分でも驚いた。

 紗季は立ち止まった。
 夕日が横顔を照らす。

 沈黙。
 数秒。

 やがて彼女は言った。

「そう」

 たった一言。

 蒼は苦笑した。

「その反応は傷つくな」

 すると、
紗季は小さく
ため息をついた。

「じゃあ聞くけど」

「うん」

「私が今どんな気持ちか分かる?」

 蒼は首を振る。

「分からない」

「でしょ」

 彼女は少しだけ
寂しそうに笑った。

「私ね。
感情を隠してるんじゃないの」

 その瞬間。
 初めてだった。

 透明だった
彼女の周りに、
淡い色が滲んだ。

 桜の花びらみたいな桃色。

「え……」

 蒼は息を呑んだ。

「私も、人の感情が見えるの」

 世界が止まった気がした。

「だから昔から怖かった」

 紗季は続ける。

「誰が嘘をついてるか分かる。
誰が嫌ってるか分かる。
だから、人を信じられなくなった」

 蒼は言葉を失った。
 自分と同じだった。

 ずっと一人だと思っていた。

「だから私は感情を閉じたの」

 紗季は笑う。

「周りから視えないように」

「そんなことできるのか?」

「練習した。凄く。」

 蒼は思わず吹き出した。
 紗季も少し笑う。

 そして、
ゆっくり言った。

「でもね」

 桃色が少しずつ広がる。

 夕焼けより優しい色だった。

「神崎くんといると
閉じられなくなる」

 蒼の胸が高鳴る。
 これまで何千人もの
感情を見てきた。

 だが今見ている色が、
一番綺麗だった。

「それって」

 蒼は確認したくなる。

「言わせるの?」

 紗季は頬を赤くした。
 蒼は笑った。

「視えないほうがドキドキするな」

「今さら?」

「今さら」

 二人は顔を見合わせる。
 春風が吹いた。

 人の感情が
視えるせいで、
恋なんてつまらないと
思っていた。

 けれど違った。

 本当に好きな人の
気持ちは視えても
嬉しいのだ。

 さらに言えば、
相手を知りたいと
思う時間さえも
最良の時間になる。

 つまり、
それも含めて恋だった。

 〜エピローグ〜


 窓の外では、
夕日が校舎を赤く染めている。

 出会った頃の紗季は、
何も色を見せなかった。

 透明だった。

 近づけば近づくほど
分からなくなる存在だった。

 だけど今は違う。

 嬉しい時。
 照れた時。
 怒った時。

 少しずつ色が見える。

 それは紗季が、
心を開いてくれた
証拠だった。

 そして、
蒼は気づいていた。

 視えない感情も
あるということに。

 言葉にならない想い。
 仕草に隠れた優しさ。
 沈黙の中にある安心感。

 誰かを信じたいという願い。
 誰かの隣にいたいという気持ち。

 それらは色では視えない。
 けれど確かに存在している。

 放課後を告げるチャイムが鳴った。
 教室には二人だけ。
 紗季が鞄を持ち上げる。

「帰ろうか」

「ああ」

 蒼も立ち上がる。

 教室の扉へ向かう途中、
紗季がふと足を止めた。

「神崎くん」

「ん?」

 紗季は少しだけ
視線を逸らした。

 そして、
小さな声で言った。

「好きだよ」

 一瞬、
 時間が止まった気がした。

 蒼は目を丸くする。

「急にどうした?」

「たまには言おうかなって」

 そう答えると、
紗季は少しだけ
目を潤ませながら笑った。

 頬が真っ赤になっている。
もちろん色も見える。

 その笑顔は、
蒼が今まで視てきた
どんな色よりも美しかった。

 けれど。

 蒼はそれを
視なかったことにした。

 代わりに彼女の表情を見る。
 震える声を聞く。

 勇気を振り絞ったことを感じる。
 それだけで十分だった。

「俺も好きだよ」

 そう答えると、
紗季は安心したように笑った。

 その笑顔を見ながら蒼は思う。

 人の感情が見える能力は、
きっと消えない。

 これからも
色は視え続けるだろう。

 嬉しい色も。
 悲しい色も。
 誰かの恋心も。

 だけどもう、
それに振り回される
ことはない。

 なぜなら蒼には、
色よりも大切なものが
できたからだ。

 隣を歩く少女。
 そのぬくもり。
 その笑顔。
 その未来。

 蒼はそっと
紗季の手を握った。

 一瞬驚いた紗季が、
照れくさそうに
握り返してくる。

 夕焼け色の廊下を、
二人は並んで歩き出した。

 長く伸びた影は、
まだ一つにはならない。

 けれど。

 その影は
同じ未来へ向かって、
どこまでも寄り添うように
続いていた。

 春に出会った
透明な少女は、
もう透明ではない。

 そして、
蒼もまた、
色に縛られていた
少年ではなかった。

 本当に大切なものは、
色の向こう側にある。

 そのことを
教えてくれた彼女の手を、
蒼は少しだけ強く握った。

 夕日が沈む。

 けれど、
二人の物語は、
まだ始まったばかりだった。


おわりに

 最後までお読みくださり
ありがとうございました。

 7月に入り、
私が関心を
持たせて頂いている
ラブコメが第二期に
突入していました。

 その影響もあり、
試行錯誤しながら
【SF×ラブコメ】に
挑戦させて
頂きました。

 あなたの気持ちを
ほっこりと安らぎのあるものに
できたら幸いだと
思っております。

 どんなときも、
あなたからの
『スキ』、『フォロー』、『ご支援』
に心から感謝申し上げます。

 それでは、
あなたの心を軽くしたい
もっちんでした。


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