蒼の魅力
蒼は、ただの色ではありません。
静かで、深くて、少しだけ寂しさを含んでいて。
目に映るだけで、心の奥にそっと手を差し伸べられるような感覚があります。
私は昔から、強く鮮やかな色よりも、曖昧でぼやけた色に惹かれてきました。
はっきりと「こう」と言い切れないものの中に、
むしろ安心を見出すのです。
蒼という色には、不思議な余白があります。
悲しみにも寄り添えるし、希望を閉じ込めることもできる。
そのどちらでもあって、どちらでもない。
朝焼けの前の薄明かり。
雨が止んだあとの濡れた空気。
夜の深く静かな水面。
蒼には、そうした“間”のような時間の匂いがします。
一日の中でも、人の心の中でも、
“言葉にならない瞬間”をそっと包み込んでくれる色。
私は「うまく話せないこと」をたくさん抱えて生きてきました。
強い言葉や、正解のような答えが求められる場面で、
立ち止まってしまうことがよくあります。
でも、蒼はそういう私を責めません。
何も言わず、ただ静かに、そこに在り続けてくれる。
だから私は、蒼という色を通して、
自分の気持ちを表現したいと思うのかもしれません。
誰かの心の中にも、きっと同じように
言葉にできなかった想いや、曖昧な感情がある。
そんな気持ちに寄り添える色として、
蒼を選んでいきたいと思っています。
いつか、誰かの夜にも
そっと灯るような蒼を。
― 蒼ノ間(あおのま)
