円盤爆死の「チェンソーマン」、劇場版で巻き返せるのか?
現在、劇場版「鬼滅の刃」の大ヒットが話題沸騰だが、おそらくこの騒ぎがおさまる9月頃、次も同じく集英社ジャンプ系で劇場版「チェンソーマン」が公開される運びとなっています。
劇場版「チェンソーマン」

この作品の原作者は名作「ルックバック」でお馴染みの藤本タツキ先生で、この人は妙にカリスマ性があるというか、とにかく信者数が多い。
それもあってか、「チェンソーマン」がアニメ化された時(2022年秋)には彼ら原作厨たちが「このアニメは全然ダメだ!」とディスりまくってたことは記憶に新しい。
でも、私はそういう彼らの声を聞いて正直「??」となってたんだよね。
なぜならアニメ「チェンソーマン」は個人的に
めっちゃ面白かったから・・

特に、このヒロイン↑↑のパワーちゃんがめっちゃツボでねぇ・・(笑)。
彼女の精神年齢の低さって、だんだんクセになってくるよね。
まるで幼稚園児を見てるみたいで、愛しくなってくる。
ちなみに、私はこれの原作を読んだことはない。
原作厨は「アニメより原作の方が遥かにいい」と皆口を揃えて言ってるので、多分、実際そうなんでしょう。
でも私の眼から見ると、彼らが言うほどアニメは悪いふうには思えなかったのよ。
というより、めっちゃクオリティ高かったし。
ただ、制作がMAPPAだったせいか、主人公のデンジ/アキ/パワーの3人組がMAPPAのヒット作「呪術廻戦」の虎杖/伏黒/釘崎という3人組に思いっきりカブってた感じは確かにあったかな・・。


いまどきの少年漫画というのは、こういう「恋愛感情ゼロの男女3人組」というのがひとつの文法なんですかねぇ・・。
何にせよ、MAPPAがこの「チェンソーマン」に懸けてた意気込みは凄かったと思うのよ。
それはOP曲が米津玄師というだけならまだしも、ED曲がアニメーションも含めて毎回変わるという超贅沢な作りで、どんだけおカネかけてんねん!とこっちはツッコみたくもなったさ。

多分、MAPPAにとって「音楽」「スタイリッシュ」はひとつの生命線なんだろう。
そこがブランド性ってやつだよね。
あと、
脚本/シリーズ構成:瀬古浩司
悪魔デザイン:押山清高
音楽:牛尾憲輔
など、なかなかのメンツを揃えている。
で、何より驚くのは、これだけ潤沢な予算をかけて作っておきながら、実はこの作品、MAPPAの単独出資だったという。
つまり、いまどき珍しく、いつもの「製作委員会方式」を採らなかったのよ。

一応、製作委員会とは何かを知らん人の為に説明しとくとね、じゃ、例えば製作費20億かかるアニメの企画がひとつあったとしよう。
この20億というのは結構大きい金額なので、リスクヘッジとして3つの会社で出資することになりました。
これが、俗にいう「製作委員会」というやつなんだが、まぁ、分かりやすくこんな感じ↓↓の出資のカタチだと思ってください。
<A社>10億出資
<B社>8億出資
<C社>2億出資
で、仮にこのアニメがヒットし、円盤売上で50億の利益が出たとしましょうか。
すると、この利益は出資比率に応じた配分となるので、
<A社>25億の配分
<B社>20億の配分
<C社>5億の配分
という感じになります。
・・で、ここで気になるのがC社ですよね。
ここは2億出資して、得られたのが5億、差し引き3億の黒字。
まぁ黒字だから良かったんだけど、それにしてもビジネスとしてはショボい商いだと思いませんか・・?
しかし大体のパターン、このC社の位置づけになってるのがアニメ制作会社なんですよ。
もともと資金力のない制作会社は、大きな額の出資などできない立場。
よって、A社やB社など代理店、放送局、出版社等の資金力を頼るわけだが、すると、たとえ作品が大ヒットしたところで、最後、おいしい思いをするのは常にA社やB社なんですよ。
C社「私たちが一番頑張ったのに・・(涙)」

そう、なぜかアニメというのはA社/B社など<非制作>部門が儲かるばかりで、肝心のアニメを作っているC社のところには、あまり富が配分されないようにできてるんだ。
だから近年「製作委員会制度」というのはよくない、という論調が強まってきて、だからMAPPAは敢えて「自社単独出資」という大きな賭けに出たわけだね。
実際、彼らがどうやって資金調達をできたのかはよく分からないけど・・。

ただね、結局この賭けにMAPPAは勝てたのかどうかという件だが・・




・・分かります?
この殺伐としたリアクションの空気感w
なぜだか、ネット民たちがこぞって「チェンソーマン」バッシング、MAPPAバッシングを始めたのよ。
既存の「製作委員会」制度に一石を投じよう!という決意で臨んだMAPPAの高尚な心意気は、よりにもよってファンたちから踏みにじられるという悲惨な結果になってしまって・・。
典型的な「出る杭を叩く」、日本の<ムラ構造>がイヤな形で露呈した一例である。
で、このファンたちは何でこんなにも大袈裟なリアクションをしてるのかというと、結局のところ「チェンソーマン」の円盤売上が爆死したからみたいなんですね。
一説には、2000枚程度しか売れなかったとやら・・?

確かに、売れてないなぁw
でも「チェンソーマン」だけでなく、当時としてはかなり評判のよかった「陰の実力者になりたくて」なんかも全然円盤は売れてないんだね。
あと、「僕のヒーローアカデミア」第6期が800枚、これも同じ少年ジャンプだけど、大丈夫なんでしょうか?
もはやここまでくると、円盤売上を「覇権」の基準とすること自体、ホントにこのままでいいのか?という気がしてきますけど。
ただ、後々になって公式にMAPPAから発表されたことですが、
実は「チェンソーマン」、黒字決済だったらしいんですよ。

・・そう、アニメの収益って円盤だけじゃないということ。
そこを踏まえず、円盤売上が悪いと見るや「それ見たことか」と嬉々としてMAPPAバッシングをしてた人たち・・。
私、チャレンジした人のこと嗤う人間はホントにサイテーだと思ってるし、そもそも「原作と違うから」というだけでここまでアニメを叩ける人たちの感覚が、私には全く理解できません・・。
繰り返すが、アニメ「チェンソーマン」は普通にクオリティ高かったですよ?

基本、製作委員会というのは3~10社ほどの複数の企業でリスクを分担するシステムなんだが、こういうのは絡む企業が多ければ多いほど作品は「最大公約数」的なところに落ち着き、商業的、かつ、無難な落としどころになるものなのよ。
基本、そういうところでは「冒険的試み」は否定され、「とりあえず原作に忠実にやっとけばいいんじゃね?」という作品になるので、おそらく原作厨にとっては保守的な製作委員会制度の方が歓迎なんでしょうね。
でもMAPPAは今回単独出資ということで、この作品に限っては自分たちなりに再構築する「冒険」をしたと思うんだ。
結局、そこを原作厨たちに全否定されちゃったんだけどね・・。

なんかさ、ネットというのは不思議な媒体で、たとえ「チェンソーマン」のアニメの出来は最悪!と思ってる人が10人中1人しかいなかったとしても、こういうディスりたい人のモチベというのは熱量が高く、必ずやネット上で中傷文をアップするものなのよ。
逆に、好意的に捉えている人たちは「サイレントマジョリティ」というやつなのか、特にネット上への書き込みはしないものである。
・・結果、ネット上では中傷が過半数を占めてしまい、まるでこのアニメは駄作だという認識が「正しい世論」であるかのような錯覚を与えてしまうんだよね。
こういうの↓↓は、つくづくネットという媒体の悪いところだと思うよ。

まぁそれはともかくとして、
なぜ「チェンソーマン」の円盤が売れなかったのか?
の検証は必要だと思う。
私、ちょっと思うんだけどさ、
仮に単独出資でなく製作委員会制度にしてれば委員会メンバーの代理店/放送局/出版社の販促力で、ぶっちゃけ円盤はもっと売れてたのかもしれませんよね・・

このへん、正直難しいところですわ。
思えば、今まで制作会社の単独出資で成功した例といえば
宮崎駿監督作「君たちはどう生きるか」

庵野秀明監督作「エヴァ」新劇場版シリーズ

といった作品で、「特に販促しなくてもファンが勝手に劇場に来る」という特殊な位置づけだったともいえる。
ぶっちゃけ、ジブリもカラーもこれでボロ儲けしてます(笑)。
やっぱ、監督の知名度って大事だよなぁ。
で、次の劇場版「チェンソーマン」も多分MAPPA単独出資だと思うんですが、じゃ監督は誰なのかというと、吉原達矢という人なんですわ。
何?吉原達矢監督作品か?見に行かなきゃ!

という人は、かなり少ないと思います・・(笑)。
つまり、「販促せずとも客を呼べる」前提にはないわけです。
藤本タツキのファンは多いから客は入るんじゃない?という見方もできるが、でも前回のテレビアニメ「チェンソーマン」であそこまで原作厨が拒否反応を示してたのを見るに、彼らはもう来ないでしょう。
だからこそ、ここからがMAPPAの試金石なんですよ!

9月の公開まで、あと2か月足らず。
その間、(製作委員会制度じゃないがゆえ)広告代理店も放送局も頼れないMAPPAが果たしてどんな販促を仕掛けていくのか、私はそこに非常に興味があります。
もし、この映画が当たれば(興収10億以上)「単独出資ってありだな・・」という論調が出てくるだろうし、逆にコケれば「やっぱ何のかんのいっても結局、製作委員会方式しかないよな・・」という論調になると思う。
MAPPA、これマジで正念場だぞ?
私は応援してます!

