庵野秀明がProductionI.G役員になるという
ニュースで知ったんだけど、庵野秀明が今秋からProductionI.G取締役就任だって?
ビックリしたなぁ、もう・・。
そういや、もともと「エヴァンゲリオン」もガイナックスとProductionI.Gの共同制作で作る予定だったんだよね。
庵野さんと石川光久会長は、めっちゃ古い付き合いである。
ちなみに、報道によると、ProductionI.Gの中長期計画の中に「巨大ロボット企画」というのが含まれてるらしく、このたびの庵野さんの取り込みはその布石なんじゃないか、とのこと。
・・なるほどね。
庵野秀明

庵野さんってさ、結構<愛されキャラ>だと思わない?
巨匠/宮崎駿(および鈴木敏夫)に可愛がられてるのは昔から有名な話だが、一方で今春旋風を巻き起こしたサンライズ⇔スタジオカラーのコラボ、あれは、よくよく話を聞くとサンライズ側からのアプローチだったみたいだね。
そして、今回のProductionI.Gの件。
・スタジオジブリ(そのバックに宮崎駿)
・サンライズ(そのバックに富野由悠季)
・ProductionI.G(そのバックに押井守)

・・なんかさ、まるで庵野さんを巡って業界のBIG3が凌ぎを削ってる構図にも感じちゃうんですわ(笑)。
いや、そうは言っても、今回のProductionI.Gの件に押井さんは関与してないだろうし、「GQuuuuuuX」の企画にも富野さんは直接関与してなさそうだし、別にBIG3が庵野さんを争奪してるというわけでもないのよ。
なのに、なぜだろう?
庵野さんを中心点とし、彼らBIG3が絶妙な正三角形を描いてるように感じるのは私なんだけでしょうか。

ただね、私の眼から見て、宮崎駿/富野由悠季/押井守にはあって、庵野秀明には無いモノ、というのが実は1つあるんですよ。
それは何かというと、
<自己肯定力>
なんです。
・・というのもね、BIG3の御三方はそれぞれ言葉にはせずとも、「こういうことをやらせたら俺は誰にも負けない」という「自負」みたいなものがあると思うのよ。
「自信」というべきかな?
まぁ彼らほどの人たちなら自信をもってて当然なんだろうが、しかし一方、庵野さんにはそういうのを意外と感じないんだよね。
あれほど成功をおさめてる人ならもっと自信に漲っててもおかしくないのに、たまにこういうことを言うんですよ↓↓
「自分は<空っぽ>の人間」

「僕のようなアニメや漫画ばかりを見てきた世代は、パッと浮かんだことに大体いつも元ネタがあり、時に嫌になる」とも発言している。
多分だが、こういうところが彼の自分を肯定できない部分なんだろうね。
自分が何を創作したところで、結局それは必ず誰かが創ったものの借り物にすぎない、と。
・・まぁ、言わんとしてることは分からんでもないんだが、でもそんなこと言ってたら何も創作できなくなっちゃうじゃん?
そういや、昔の話だが庵野さんが「エヴァ」のことで永井豪先生に謝った、という話を聞いたことがある。
多分、「勝手に『デビルマン』のアイデアをお借りして、申し訳ありませんでした」ってことなんだろうけど、いきなり謝られたら永井先生もビックリだよね(笑)。
・・えっ?「エヴァ」って「デビルマン」参考にした話だったの?と先生もそこで初めて知ったかもしれない。


・・いやね、確かに「エヴァ」には色々なエッセンスが詰まってるし、それが時に永井豪だったり、実相寺昭雄だったり、諸星大二郎だったり、市川崑だったり、村上龍だったりもするんだろうが、じゃ我々ファンがそれを見て「うわ~、パクリじゃん?だっせ~!」と小馬鹿にするかというと、そんなことはないでしょ?
大体の人は皆、元ネタがあることを全然悪く捉えてないんですよ。
というより、我々は庵野さんの「元ネタ以上にカッコよく表現する」スキルにこそ痺れてるわけであって、いうなれば彼は<DJ型のアニメ作家>なんだよね。
既存の音源をセンスよくREMIXし、1つの曲に仕立てるという新しいタイプの作家である。

だけど、多分こういうDJはDJとして、どれだけ世間から喝采を浴びようと「でも俺、自分で作詞/作曲してないし・・」という一種のコンプレックスみたいなものがあるんじゃないの?
「違うんだよ、俺がホントに目指してるのはDJじゃなく、シンガーソングライターなんだよ」と言いたいんだと思う。
「あぁ、中島みゆきになりてぇ~っ!」

といったところなんでしょうね。
そりゃまぁ、確かに中島みゆきにはなってみたいけど・・。
でもね、庵野さんに与えられた天賦の才とは、繰り返すけど「元ネタ以上にカッコよく表現する」スキルであり、これは誰にでも出来ることではないんですよ。
ここをご理解いただく為、今回は「元ネタ」として、このアニメを皆さんにご紹介したいと思います。
「魔王ダンテ」原作/永井豪

「エヴァ」の元ネタになったのが永井豪「デビルマン」だということは前述の通りだが、この「魔王ダンテ」は「デビルマン」を連載する前に永井先生が描いてたやつで、運悪く掲載誌が休刊となってしまい、未完のままで一旦終了してしまった、いわくつきの作品である。
で、この時の「ダンテ」のプロットを少しアレンジして少年マガジン編集部に持ち込み、それが「デビルマン」という作品になった、とされている。
つまり、「ダンテ」は「デビルマン」の元ネタということなんだね。

ちなみに「デビルマン」はアニメ化もされたんだが、皆さんご存じの通り、漫画とアニメは物語が全くの別モノである。
アニメの方は、脚本家/辻真先さん考案のオリジナルスーリーだから。
永井作品のメディアミックスって、結構こういうのが多いんですよ。
確か、「デビルマンレディー」でも原作とアニメが全くの別モノになってたと思う。
ただ、この「ダンテ」は珍しく原作とアニメが符合した例で、ある意味では貴重なサンプルといえるかな。
でも、最初に言っておきます。
このアニメは作画もダメだし構成もダメだし、ハッキリいってクソアニメです。
ただし、
「エヴァ」の元ネタ副教本としての価値なら、このアニメを超えるものは他にないと思うぞ?

この「ダンテ」のプロットを分かりやすくいうとね、
<悪魔>=主人公=「エヴァ」の<アダム>
<神>=ヒロイン=「エヴァ」の<リリス>
ということなのよ。
で、<悪魔>が永い眠りから覚醒して、それこそ「使徒襲来」みたいな騒ぎに・・。
このへん、流れが「エヴァ」と一緒でしょ?

実は太古の昔、先に地球にいたのは<悪魔>の方で、後から乗り込んできたのが<神>なのね。
で、やがて<神>の端末としての人類が地球上に生まれた・・という流れ。
このへんも、「エヴァ」におけるアダム⇔リリス⇔人類(第13使徒)の構図とほとんど同じといえると思う。

で、最終話は、<悪魔>(アダム)と<神>(リリス)が接触⇒融合して、サードインパクトが起こる⇒世界(宇宙)が消滅

しかし、再生したセカイで主人公/宇津木涼とヒロイン/宇津木沙織が2人だけなぜか生きており、この2人が新世界のアダムとイブになるのかも?という感じで物語は終幕・・。

・・ね?
「魔王ダンテ」のストーリーって、ほとんど「エヴァ」の構造そのまんまでしょ(笑)?
で、皆さんはこう思ったはずだ。
「同じようなプロットの構造なら、『魔王ダンテ』ってかなり面白いアニメなのでは?」
・・いいえ、はっきり言いましょう。
「魔王ダンテ」は、クソつまらんアニメです!
(ぶっちゃけ、見なくていいですからね?)

というか、ワケ分からん荒唐無稽なストーリーだから面白くないのはむしろ当たり前で、同様にワケ分からんストーリーなのになぜか面白い「エヴァ」の方が異常だと私は思うんだが?
・・そう、ポイントはまさにそこなんだよね。
そこが永井豪と庵野秀明の差である。
永井先生は、ワケ分からんことをただストレートにやるだけなので、ホントにワケ分からんままで終わる・・(笑)。
一方、庵野秀明も十分にワケが分からんのだが、でも演出諸々がうまいからワケ分からんままでも不思議と皆「面白かった!」となっちゃうのよ。
この才能を、庵野さんはもっと誇るべきだ!

・・と、こういう書き方をすると私が永井先生をディスったようにも感じるでしょ?
いや、違うのよ。
永井先生の真の凄さはその演出面じゃなく、発想そのものにあるんです。
永井先生は庵野さんと違い、シンガーソングライターだから。
まず、私はさらっと上に「ダンテ」の宇宙消滅⇒再生のくだりを書いたが、これ、1971年のアイデアだからね?
こういうのを普通に出せる永井先生って、凄いと思いません?
あと、「デビルマン」もシリーズとして続編「バイオレンスジャック」と「デビルマンレディー」があるんだが、この続編ふたつはどっちも<飛鳥了がセカイ崩壊(不動明死亡)後に新創造したセカイの物語>なんです。

ぶっちゃけると、このバイオレンスジャック↑↑は、再生した不動明です。

ぶっちゃけると、このデビルマンレディー↑↑とは、再生/分裂し、女体化した飛鳥了です。
・・ね?
ワケ分からんでしょ(笑)?
もうね、発想が天才すぎて私はこのへんになると正直ついていけないんですよ。
だけど当の永井先生は満足そうに「いや~、『デビルマンレディー』は正直『デビルマン』を超えたんじゃないか?」とか言ってる始末・・(笑)。
私からすればオイオイ・・という感じだが、永井崇拝者の庵野さんはこれら作品の「何度も繰り返されるセカイ創造」というアイデアをきっちり拾って「エヴァ」新劇場版シリーズを作ったわけよ。
つまり、これは
どんな音源も無駄にしないDJ魂

というやつですよね。
うん、庵野さんは無理にシンガーソングライターを目指さなくてもいいよ。
今のまま、マニアックな音源のREMIXを究極のところまで突き詰めていってほしいですね。


